タイトル | ああ探偵事務所 |
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原作・漫画 | 関崎俊三 |
出版社 | 白泉社 |
電話帳の一番最初に載っている、
「ああ探偵事務所」。
その所長妻木は、やたらと風変わりで、
しかし仕事には誰よりも熱心で、
突飛な行動すら辞さない……。
古き良き探偵ものの構図に、
今風のギャグやお色気を盛り込み、
しかも痛快さを一切損ねておらず、
全体的なテンションの高さも心地良い、
ドラマ化もされた、傑作探偵漫画です。
ああ探偵事務所のあらすじ紹介
電話帳の一番最初に載っている、
「ああ探偵事務所」。
明朗会計で仕事着手は手早く、
料金も安かったりしますが、
探偵でありながら探偵マニアの、
所長妻木がイマイチ的外れで、
頼りなかったりもしました。
しかし妻木は、警察にはない、
独自の調査力とハチャメチャな
行動力を持っており、
僅かな手がかりや勘から、
一挙に事件解決にまで持っていく、
突破力をしばしば見せていきます。
また、持ち込まれる依頼の多くは
平凡な雰囲気がありますが、
それでも妻木は全力で
推理力をフル回転させていきます。
ああ探偵事務所のネタバレと今後の展開は?
若い女性井上涼子が、決心して
「ああ探偵事務所」に入ると、
そこにはイケメンの姿がありました。
彼の名は妻木、「キタロー」な髪型と
自信満々な態度が印象的な彼は、
会うなりズバリと涼子の正体を、
音楽教師だと推理してしまいます。
姿勢も発声も良く、若い女性なのに、
爪だけはしっかり切っているのは、
演奏の邪魔だからだと、
妻木は確信を持って言いますが、
涼子は普通のOLでした。
推理が大好きだが当たったためしはないと、
普通に語る妻木に涼子は、不安を覚えますが、
彼女には依頼するだけの理由がありました。
警察官である涼子の兄が、突如として
失踪してしまったのです。
その事情を聞いた妻木は、
「私がもっとも嫌いなのは警察だ」と
一しきり不満を口にするものの、
結局涼子を丸め込むように説得し、
人探しの仕事にとりかかります。
独自の情報網を駆使して、
彼の足取りを追ってみると、
どうやらある犯人を、追っていたと、
涼子の兄の足取りが見えてきます。
しかし妻木が探偵ならではの、
推理力を駆使して調べていくと、
彼と涼子は涼子の兄の、
変わり果てた姿を目撃するのでした。
ああ探偵事務所の読んでみた感想・評価
とてつもなく様々な、ギャグとダメを
要素として盛り込みながらも、
古き良き探偵ものの爽快さを、
決して失うことのない構成が、
ジャンルのファンにも嬉しい、
野心的な一作でした。
本作の特徴は、まず何よりも
「型破り」なところにあります。
探偵と助手が大活躍し、
事件を解明し犯人を捕まえる、
「探偵もの」の世界は、
元々が古き良き欧州文化の
流れを汲んでいるからか、
基本的に品が良いんですね。
しかし本作の妻木は、
物腰は基本柔らかいものの、
割と「小さい」タイプです。
一般人でもここでは、という場面で、
ハードボイルド探偵のように、
凄みを効かせるわけでなく、
「素」のキれ方を見せたり、
見当外れのことを言ってみたり、
強烈な人間味を感じました。
また事件自体も結構ふわっとした、
温和なものが多かったりするので、
ボケが「許容される」局面も多く、
「もっとしっかりやれよ!」と
熱くなった読者が怒るような、
状況が少ないのもいいですね。
個人的には大事件が連発し、
人がバタバタ死んでいくような、
正統派なミステリーが、
心にキツい時も数多く、
その点本作のような作品は、
屈託なく読めるので嬉しかったですね。
ああ探偵事務所はこんな方におすすめな作品!必見
ホームズとワトソンの名コンビを筆頭に、
「探偵と助手」という構図は、
科学捜査が進展を極めて現在でも、
非常に人気がある創作上の
シチュエーションの一つと言えます。
しかし、このジャンルは、ホームズという
偉大な先達がいるのはもちろん、
個人である探偵が警察の代わりをし、
しかも時にはボケ担当の助手を
正さなくてはならないことから、
優秀な探偵という縛りがあります。
だからこそ見当違いな推理や
お粗末な逆ギレなどはなく、
そこが「面白み」に欠けるという、
現代ならではの課題もありますが、
本作はその問題を、
スパッと解決してしまっています。
何故なら主人公の探偵、妻木は、
もちろんやる時はやるものの、
何かにつけてズレており、
しかも自分たちと職務が
バッティングする警察を、
嫌っているというキャラ付けです。
さらにはキれ方のしょうもなさや、
普段の生活態度など、
様々な懸念点が満載であり、
探偵ものの醍醐味を味わいつつ、
全体的にダメ臭も漂っている
風変わりな主人公を、
満喫したい方にはオススメですし、
野心的な型破りという点で言えば、
探偵ものファンにも適していますね。