タイトル | うらめしや |
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原作・漫画 | 魔木子 |
出版社 | 双葉社 |
霊や妖魔を
なりわいとする女
その名もうらめしやのお妖――。
強く美しいお妖だったが
周りからはうとまれ
孤独な過去を背負っていた。
しかし佐治という男と
出会ってからお妖の生活は
一変する――!
江戸時代を舞台に
人間のこころの光と陰
霊と妖魔の哀しい姿を描く!
残酷な欲望うずまく
怪奇と愛情の物語――。
うらめしやのあらすじ紹介
江戸時代――。
大雪の続く夜
一人の男が死んだ。
町では凍え死ぬものが
相次いでいたが
雪のせいかと噂されていた。
そんな中、お妖は
ひとり店で酒を飲む。
だが店主に
いられては迷惑だと
追い払われてしまう。
店から出たお妖は、
スリの男を捕まえる。
名前は佐治。
お妖は佐治を許す代わりに
酒を馳走させることにした。
すると佐治は自分の家に
お妖を招くという。
今まで人に忌み嫌われていた
お妖は戸惑うが
ついていくことにする。
途中二人は
橋の上に女が立っているのを見る。
お妖は佐治に女を無視するように
きつく言いつけ、
橋を渡ろうとするが――!
うらめしやのネタバレと今後の展開は?
二人が女のわきを
通り過ぎたとき
女が佐治に話しかけてきた。
「ねえ暖めて、お兄さん・・・」
思わずふりかえり
返事をしそうになる佐治。
だがお妖がすぐに佐治を止めて
二人は橋を渡りきった。
すると後ろからもう一人
橋を渡ってくる男がいる。
その男は佐治と同じ長屋の鶴吉。
橋の上の女は
すかさず鶴吉に話しかける。
その様子を見たお妖は言う。
「あの男はもう助からない。」
佐治は鶴吉のことを
羨ましがっていたが
お妖は橋の女を怪しいと言う。
そして佐治に
お前は命拾いしたと言うのだった。
佐治はお妖が橋の女に嫉妬したと思い
機嫌をよくして家に向かった。
そして佐治の家に着いた二人。
二人はたしかなぬくもりを
感じ合うのだった。
しかし次の朝
長屋に鶴吉の死体が運ばれる。
酒を飲んで、そのまま雪に埋もれ
死んだと周りは言う。
だが佐治は昨日見た橋の女と
お妖の言葉が忘れられない。
お妖は鶴吉が死ぬのを知っていた
そして見殺しにした――!
鶴吉と仲の良かった佐治は
お妖を責めた。
そこで周りからお妖が
うらめしやのお妖だと聞かされ――?
うらめしやの読んでみた感想・評価
本当に面白い作品で
一気に読んでしまいました!
基本1話完結で霊が登場しますが
全体を通し、人間の陰のこころ
暗い部分を表現している作品です。
霊はこういった
人間の陰の心に執着します。
しかし、人間には
光と陰があるのが当然だ
というのがお妖なのです。
お妖は、霊の存在もそのまま受け入れ
必要な時以外は祓うことはありません。
商売っ気がないのは
やる気がないのではなく
この考えから来るものでしょう。
そんなお妖なので気持ち次第で
とりつかれた人間を
どのようにするか、自由自在です。
ここが本当に面白いところでした!
お妖を怒らせたら
本当に怖い結果が待っています。
お妖が、直接人間を
攻撃することはありませんが
霊のしたいようにさせる。
これがとてつもなく
怖い結果を招くのです。
しかし、とりつかれた人間は
それだけの原因があるので
当然の結果ともいえます。
と、このようにお妖にも
陰の部分があるところが
とても面白いです。
おろかな人間たちが
最後どんな目に合うのか?
ハラハラしながらも
夢中で読んでしまいました!
うらめしやはこんな方におすすめな作品!必見
強く美しい女性の物語が好き!
という方に人気の作品です。
この物語の主人公、お妖は
とにかく強く、美しいです。
しかしお妖は正義の味方ではなく
時に自分の欲望に正直で
おろかな人間は地獄を見ます。
それが例え残酷な決断でも
何故か納得してしまう
説得力があるのがお妖なのです。
それはお妖が、相手が霊、人間
だれであっても、同じ決断が
できる人だからでしょう。
とにかく、お妖のファンに
なってしまうことは
間違いないですね!
人間は常に
清い心であるべきだ・・・
と普通は考える人間性についても
この作品では
少し違った描き方をされています。
全ての人に光と陰があり
そしてそれが自然なのだという
考えが、全体の軸になっています。
無理に影をおしこめると
とんでもないことが起こる・・・。
それこそがこの作品の
テーマだと言えるでしょう。
その世界観のもと、お妖が
人間と霊の間、また自分の心のはざまで
どうけりをつけていくのか?
お妖の魅力も勿論のこと
人間のこころについて
深く考えさせられる充実の作品です。