タイトル | うわさの翠くん!! |
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原作・漫画 | 池山田剛 |
出版社 | 小学館 |
山手翠、十五歳。
趣味も特技も好きな言葉も、
「サッカー」という蹴球少女は、
自らを弄んだ天才少年に、
サッカーでの仕返しを宣言し、
何と男子校に入学して……。
良い意味で漫画的な展開の中で、
翠の明るさと熱さが映える、
女子サッカー選手青春物語です。
うわさの翠くん!!のあらすじ紹介
サッカー大好き少女、山手翠。
体格もむしろ小柄でしたが、
友達の中ではずば抜けてうまく、
良い素質を感じさせましたが、
競技でゴツゴツと
上を狙う気はありませんでした。
しかし、翠にサッカーを教え、
大好きにさせてくれた少年、
氷野司が、数年後に、
とても不誠実な真似をして
弄んできたことがきっかけで、
翠はサッカーでの打倒を決意。
しかし翠は、マネージャーでなく、
あくまでも「男子選手」として
男子校に入学する道を選びます。
当然露見したらすぐさまアウトの、
ハードな状況でしたが、
普段は家の中では裸という、
大らかな生活スタイルが裏目に出て、
自分と同学年のカズマに
秘密がバレてしまいます。
しかし翠は、男子と一緒の
練習や学校生活にも順応し、
周りから評価されていきました。
うわさの翠くん!!のネタバレと今後の展開は?
山手翠十五歳。
離島で生まれ育ち、
趣味も特技も、さらに言えば
好きな言葉もサッカーという、
超サッカー大好き少女ですが、
小さな島ですので、
競技としては打ち込んでいません。
もっとも翠は、島の友達と
サッカーをやるのが楽しくて、
仕方がありませんでしたが、
ある日東京のチームが、
合宿にくるという話を聞きます。
サッカー好きとして興味があり、
興味深く見ていましたが、
そのチームに所属する、
超天才として有名な、
氷野司こそ、かつて翠に、
サッカーを教えてくれた、
少年だったのです。
久しぶりの再会に胸躍らせる翠。
司もまた、久々にあった翠に、
恋人としての思いを見せ、
二人は特別な関係に至りますが、
実は司は翠に興味はなく、
単なる賭けのネタとして、
翠を弄んだに過ぎませんでした。
司に幻滅した翠は激怒して、
全力のシュートを彼にぶつけ、
サッカーで倒すと心に誓い、
東京の名門校への進学を
決意するのでした。
しかし翠が選んだ青葉第三学院は、
完全な男子校であるため、
翠は性別を偽って、
サッカー部に選手として入ることに。
しかし全裸で部屋でくつろぐ癖が
災いし、同じ新入生のカズマに
あっさり秘密がバレてしまいます。
もちろんバレたら即アウトですが、
カズマは誰かに密告したりせず、
一方の翠も持ち前の情熱で、
周りとむしろ溶け込み、
人気者になっていきます。
しかし、島で友達と
サッカーをしていた翠には
公式戦の経験すらなく、
司をサッカーで倒すには
多くの努力が必要なのでした。
うわさの翠くん!!の読んでみた感想・評価
のっけから重い展開なのですが、
それに負けずグイグイと進む
ドライブ感も素晴らしいですね。
「キャプ翼」や「ホイッスル」、
そして「オフサイド」など、
様々なサッカー漫画を読みましたが、
本作の爽やかな熱さはそれら名作にも
共通するものがありましたね。
まず、主人公の翠ちゃんがいいですね。
近年は女子サッカー人気も素晴らしく、
フットサルなどの選択枝もありますが、
本作ではイケメン選手へのリベンジに、
何と「男子サッカー選手」として、
男子校に潜り込むという、
超ハード展開が待っています。
女の子が男子のフリして
学校生活を送るという作品は、
他にもいくつかありますが、
コンタクトスポーツのサッカーを、
しかもハードな高校サッカーに
挑むというのは大変珍しいです。
しかし彼女ならいけるというぐらい、
翠ちゃんは明るく元気で、良い意味で
女の子っぽくない部分もあり、
グイグイと物語に引き込まれました。
また作品自体のリズムも良く、
悲しんだり、葛藤しているなら、
とにかく前へ、という翠ちゃんの熱さを
全面バックアップしている雰囲気があり、
科学的になり過ぎない、スポ根の
良さが実に良く出ていました。
一方で年頃の女の子としての
恋愛模様もあるので、少女漫画としても
非常に満足な一作でしたね。
うわさの翠くん!!はこんな方におすすめな作品!必見
科学的に、合理的にと、時代が進むにつれ、
体力勝負のスポーツの世界も、知的に
練習や試合を進めていくことが多くなり、
それに伴ってスポーツ漫画も、
かつてのスポ根ではなく、とても
理にかなった作品が大勢を占めています。
これは世相の変化の結果でもあり、
説得力を増す結果でもありますが、
一方で漫画ならではの
「無茶な突破力」が少なくなり、
小さくまとまった印象も否めません。
しかし本作は、イケメン選手から、
不誠実に扱われたサッカー少女が、
何と男子校に入り込んで、
サッカーで仕返しするという、
かなり強烈なものになっています。
もちろん、理屈で言えば
男子校より共学がいいとか、
体のラインを隠さないと、とか、
色々と言うこと自体はできますが、
翠ちゃんはとにかく一本気で、
彼女ならという説得力に満ちています。
細かな理屈による整合性ではなく、
全力で熱さと「夢」を求める姿勢が、
本作に漫画的な「力」を生んでおり、
そのパワーは「キャプテン翼」が、
サッカー人気を定着させたような、
ハードな面白さにつながっています。
現実をなぞった、忠実に再現した、
そういった作品ではなく、あくまで
漫画ならではの「画力」が豊富な、
作品を堪能したい方に
本作はまさしく最適と言えるでしょう。