タイトル | これは恋です |
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原作・漫画 | 遊知やよみ |
出版社 | 集英社 |
純粋な教師が教え子に恋をした。
決して周りにバレることは
避けなければならない感情を持ちつつ、
綾井は教え子遠藤と
様々なきっかけから
時間を共有していき……。
繊細な感情がうかがえる「大人の恋」を
じっくりと堪能することができる、
ドキドキの恋愛物語です。
これは恋ですのあらすじ紹介
生徒から人気がある、
若い男性教師綾ちゃんは、
教え子である遠藤さんに、
苦手意識を抱いていました。
しかしその感情は恋だと、
同僚の辺名に指摘されるとともに、
いくつかの偶然もあって、
綾ちゃんと遠藤さんは
共に時間を過ごし、心の距離を
縮めていくことになります。
しかしあくまで教師と教え子。
特別な感情を気付かれるわけには
絶対にいきませんでしたが、
純真な綾ちゃんの態度は、
傍から見ても明らかなほど
隠しにくいものに
なっていったのでした。
これは恋ですのネタバレと今後の展開は?
R高校で生徒たちに人気がある、
綾ちゃんこと綾井先生。
大柄で若い男性ですが、
生徒たちからいつも
軽口を叩かれています。
その日彼は用事のため、
学級委員長を呼びますが
もう帰ったということで、
日直の遠藤さんと
話をすることになります。
図書館の整理という
面倒な仕事にも嫌な顔せず、
快諾してくれる遠藤さん。
普段の生活態度も真面目で
むしろありがたいタイプの
生徒の一人のはずなのですが、
綾ちゃんは遠藤さんのことが
苦手でした。
何故なら彼女と話していると、
胃がせり上がる感じを抱いたり、
妙な感じになってしまうからです。
しかし、同僚にして友人である
辺名に相談してみると
「それは恋だ」との答えが。
反射的にその答えを拒否する
綾ちゃんでしたが、
そんな彼に遠藤さんの実家から
「まだ娘が帰っていない」との
連絡が入ってきました。
図書館に向かってみると、
外から鍵がかかっていて、
開けると中には遠藤さんが。
どうやら作業中に居眠りしてしまい、
その間に外から鍵をかけられ
閉じ込められてしまったとのこと。
家に先に連絡をしてから、
一緒に行って謝ると
教師らしい提案をする綾ちゃんですが、
部屋から外に出る前に、
再び外から鍵をかけられてしまい、
二人は閉じ込められてしまいます。
これは恋ですの読んでみた感想・評価
ちょっと意表を突かれる形で、
ドキドキし続けてしまいました。
多くの作品では生徒の側が
教師に惹かれることが多いですが
本作では逆に教師の綾ちゃんが、
遠藤さんを好きになってしまう
意外なスタートがありました。
その上、生まれてきた感情を
自分では気付けないほどの
純粋さがあって、そこが
いかにもタフそうな
綾ちゃんの風貌とは
ギャップがあって良かったです。
好きな遠藤さんの前だと
露骨に態度が変わってしまって、
周りにかえって心配されたりと、
まるで綾ちゃんの方が、
生徒たちより年下っぽいような、
逆転現象が起こっているんですね。
一方遠藤さんも、綾ちゃんが
好きになっただけあって、
元気でチャーミングで明るくて、
ただその一方で少女らしい
儚い部分が見えていたりと、
とても素晴らしい女の子です。
しかし、互いに生徒か教師であれば、
問題なさそうな二人でも、
身分という壁があるので、
なかなか簡単にはうまくいかず、
そこに良い意味でヤキモキを
感じることもできました。
辺名君や校長先生など、
脇を固める人たちも
皆いいキャラで面白く、
ストーリー全体としても
違和感なく読み進められるのは
ラブコメとして良かったですね。
これは恋ですはこんな方におすすめな作品!必見
教師と生徒の恋を扱う作品は、とても多く、
年齢差も様々ですが、共通するのは
教師側が「大人」だという点です。
現実的に考えても教師の側が、
学生並の勢い全開では恋愛にまで
発展は難しいところですし、
作品的にもなかなか、大人の
良さと言うか魅力の部分も
出てこないため必然的とも言えます。
しかし本作の綾ちゃんは、
タフで気さくで思いやりがあり、
まさに大人な部分を満載しながらも、
人に「恋する」という感情を
友人に言われるまで気付かず、
困惑してしまうほど純真です。
それこそ作中の生徒たちや
読んでいる若者たちの方が
恋愛に関する経験はあるのではと、
思うぐらいな感情の揺れで、
特に作品上の教師としては
とても斬新な感じがありました。
他の作品にはない教師像を
満喫するなら本作は最適ですし、
また逆に王道の恋愛ものとしても、
作中人物の細かな心の機微や
表情の違いなどのディテールが、
情感を持って迫ってきています。
画力も極めて高く、繊細で清潔さを
感じさせる絵柄を活かす構図の
仕上がり方も非常に完成されていて、
こうした王道系の少女漫画の
一つの形としてお手本にさえ
なり得るような作品と言えます。