タイトル | ご近所物語 |
---|---|
原作・漫画 | 矢沢あい |
出版社 | 集英社 |
服飾を愛する女の子が、
自分と同じように夢を持つ友達と出会い、
夢を叶えていく物語です。
家族愛、友人愛、そして恋人との愛、
様々な愛の形をテーマとしており、
自分と重ね合わせながら
主人公と一緒に成長していける作品です。
ご近所物語のあらすじ紹介
おしゃれをこよなく愛する主人公、
実果子は、同世代の友達に馴染めない
幼少期を過ごしていた。
しかし服飾の世界を目指し、
矢沢学園に入学したことから、
彼女の夢は始まっていく。
入学後すぐに友達となった子や、
一緒に入学した幼馴染のツトムの
友達も交えて、サークルを作ることに
なった実果子。
周りよりもおしゃれに自信があったが、
様々な挫折をしていくことで、
成長を遂げる。
また幼馴染であったツトムとも
恋人関係になったことや、
過去に離れた父親との再会などにより、
愛に触れて一層強くなる実果子は
ついに夢の留学を手に入れる。
ご近所物語のネタバレと今後の展開は?
実果子はサークル仲間とともに
フリーマーケットをすることにより、
様々な成長をしていた。
時には親友との関係に悩みながらも、
支えてくれるツトムの愛を受け入れ、
一緒に支え合うようになった。
しかしツトムを狙うまりこが現れるなど、
実果子の心はいつも穏やかでない。
実は実果子には、
幼い日に母と離婚した父親がいる。
ひょんなことから父親の存在に
気づいた実果子は、ツトムの力を借りて
彼を探し出すことに成功した。
過去に触れ、涙が止まらない実果子は、
この後徐々に関係性が変わっていくことに
この時はまだ気づいていなかった。
実は母と父はその後合うようになり、
ついに再婚することになったのだ。
そんな両親の姿を見て、
一層強くなった実果子。
ツトムを愛することにより、
実は夢に対するベクトルが
だんだん離れてきていたのだ。
しかしこれまでの自分や
支えてくれる周りを信じ、
ついに実果子は夢に向かい、
留学することを決意する。
ツトムもそんな実果子の夢を、
そっと応援してくれるのだ。
ご近所物語の読んでみた感想・評価
前作の天使なんかじゃないでも、
当時は珍しい「王子を待つ女の子」
ではなく、
「夢を追いかけて自分で生きていく女の子」
が主役でした。
このご近所物語も、同じように
つらい過去をもつ女の子の
成長の物語となっています。
ただ強いだけなら頑張ってるなと
思うだけかもしれません。
しかし実果子という主人公は
等身大の女の子を表現されていて、
例えば幼馴染には心惹かれながらも
関係を壊したくない、
でも独占欲がある…
恋人関係になれれば、今度は
依存してしまい夢を諦めてしまう…
など、誰しもが忘れてしまいたい
過去を思い出してしまうほど、
リアルな「ダメな」女の子の部分を
持っているのです。
そんな実果子が、自分の才能や夢を
見失いそうになりながらも、
周りに支えられながら成長していく様子は、
本当に後の自分に
大きな影響を与えてくれました。
誰もがダメな部分を持っていて、
愛はそれに絶大な力を放ちます。
実果子ほど孤独に慣れている人でさえ、
愛に触れることで人に依存してしまう
弱さが出てくるのです。
しかし同時に、家族や友人、
もちろん恋人の愛がなければ
乗り越えられない壁もありました。
そのリアルな描写が
とても心に残っています。
ご近所物語はこんな方におすすめな作品!必見
人と自分はどこか違う気がする。
そう思って知らず知らずのうちに
周りと距離をとってしまっている人は
いると思います。
しかしそれはまだ自分の居場所が
見つかっていないだけで、
どこかに必ず居場所があります。
そんなことに悩んでいる人に、
ぜひ読んでもらいたいです。
物語は恋人のツトムとの関係性を軸に
動いていきますが、どちらかといえば
ツトムとの愛も1つの原動力として、
いろいろなことを巻き込んで
実果子が成長していく物語だと思います。
やりたいことが見つからない人も、
この物語には同じような人が出てきます。
そういう人たちが、実果子達のパワーに
触れてどう変わっていくのかも、
ぜひ見てもらいたいです。
矢沢あいさんの別の作品で、
「天使なんかじゃない」もあります。
こちらも日常を描いた
学園物ではありますが、その中で
主人公がいかに成長し、
夢を手に入れていくかが
丁寧に描かれています。
家族か夢か、恋人か夢か、
恋人か友人か…
何かの間に揺れている人には、
ぜひ両作品を読んでもらいたいです。