タイトル | すすきのみみずく |
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原作・漫画 | 聖 千秋 |
出版社 | 集英社 |
何の為に勉強し、どうして進学するのか…
誰しも一度は考えたことのあるような
疑問や不安…
高校3年生の男女5人が、
答えを見い出せないまま…
迫り来る大学受験から逃げ出すように家出。
それぞれに自分自身を見つめ直す事で
夢や人生の目標を見つけていく物語です。
すすきのみみずくのあらすじ紹介
高校3年生の主人公・望江は、
大好きな親友と同じ大学に進学する為、
受験勉強に勤しむ日々を送っていました。
しかしその親友は突然、
大切な模試の当日に自殺未遂を図ります。
模試を終えた後に
その事実を知った望江は
すぐにお見舞いに向かいます。
そこで親友から発せられた言葉…。
「アンタより優秀な私が
アンタと同じ大学にしか行けないなんて…」
誰よりも仲の良い親友だと思っていたのに
相手はそうは思っていなかったのだと傷つく…
成績が下がり、焦りや葛藤を抱いていた親友
そんな、親友の気持ちに気付けなかった
自分自身にも主人公は失望。
大学受験を機に親友も
大学に行きたい理由も失ってしまった主人公…
そんな時に偶然出会った…
同じ高校3年生の男女…。
彼らと共に、彼女は…
この現実から逃れるように家出を決意…
夜中にひっそりと自宅を後にします。
すすきのみみずくのネタバレと今後の展開は?
家出をして、
森の中で自給自足の生活を始めた5人。
ですが、初対面の彼らは
それぞれにクセがあり、
中々一致団結とは行きません。
また様々なトラブルにも見舞われ、
リーダーとして皆を森まで連れてきたヒロキが
大怪我を負い途中から別行動となります。
ヒロキを失った4人は険悪な雰囲気になり、
家出を中断して自宅に戻ろうという話も出ます。
そんな時にヒロキと入れ替わるように
登場する1人の男性…。
主人公をはじめ、
全員の気持ちを少しずつ素直にして行きます。
そして、それぞれが夢を見つけたり、
思い出したり、語り出すようになります。
自分が本当は何をしたいのか?
どんな大人になりたいのか?…
ここで初めて、
主人公の恋愛感情も動き出します。
甘えられる・素直になれる・
尊敬できる相手を見つけ、
望江は初めて自分の気持ちを自覚します。
そんな時に火災が発生し森が火の海と化します。
家出をして家族から離れる事を選んだ主人公。
ですが、火の海で彼女が思い出したのは、
他でもない家族の事でした。
すすきのみみずくの読んでみた感想・評価
幼い頃から親に「勉強しなさい」と言われ、
大きくなれば偏差値の高い大学への進学を迫られ、
気付けばとにかく勉強していた…。
私はなぜ勉強するのか、
大学に進学して一体何がしたいのか
分からないまま大学に入学してしまった一人です。
将来の夢や目標がまだ定まっていないのに
刻一刻と迫り来る大学受験に焦り、
とりあえず入学してしまったという人。
意外と多いのではないでしょうか?
本当はこの主人公たちのように、
立ち止まり、自分自身を振り返り、
きちんと自分の人生について考えたかった…
この物語には、
「なぜ勉強するのか」という問いに対して、
明確な答えは示されていません。
けれど主人公は
「分かった気がする」というのです。
そしてこの作品を読むと
私たち読者も同じように
「分かった気がする」のです。
主人公が見失っていたのは、
夢…人生の目標…自分にとって大切なもの…
それが何なのかという事だと思います。
これは生きる為の力として大切な事なのに、
今の私たちはこの事について
ゆっくり考える時間がないのかもしれません。
二児の母となった私は今、
自分の子どもたちにゆっくり考える時間と
機会を与えたいと思っています。
すすきのみみずくはこんな方におすすめな作品!必見
主人公のように「勉強する意味が分からない」
「どうして大学に行かないといけないの?」
と疑問を抱く学生にぜひ読んで欲しい!
そして年齢を問わず、
夢や目標がない…大切なものが分からない…
という方にもぜひ読んで欲しいです。
私の子ども達はまだ3歳と0歳ですが
中学生や高校生くらいになった時に、
この本を渡してみようと思っています。
また夢や目標の事だけでなく、この作品は
「好きな人が出来ただけで、人生が変わる」
そんな事も教えてくれます。
好きな人が出来るという事は、
大切なものが一つ増えるという事。
宝物が出来たのだという事に
改めて気付かされます。
そして物語の最初で主人公が
失ってしまった友達を最後に
また見つけるという形でこの話は終わります。
本当の友達とは何なのか?
その事についても考えさせられます。
全5巻と決して長くはないストーリーですが、
とても奥が深くい作品です。
読んだ後に多くの答えが見つかったような
スッキリ清々しい気持ちになれる作品です。