タイトル | ときめきまっくん! |
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原作・漫画 | 小池田マヤ |
出版社 | 芳文社 |
デブでトロくて冴えない「まっくん」こと
笹ヶ崎真紅は、家庭的で純粋、
そして明るく真面目なOL。
手先は器用だけど恋には不器用なので、
社内一のモテ男である黒沢に
片思いしていることも周囲にもバレバレ。
だけど「見てるだけで幸せなの」と、
健気に思いを寄せ続けている。
そんなまっくんを取り囲む、
幼馴染みの元ヤン桃子や
転勤してきたお調子者の白井、
同僚や後輩たちが繰り広げる、
恋と笑いのオフィスラブ4コマコミック!
ときめきまっくん!のあらすじ紹介
まっくんの勤める会社に将来有望な
営業マン、白井が転勤してきた。
その補佐についたまっくんだが、
仕事のトロさに白井はイライラ。
だけどすぐにまっくんの仕事が
丁寧なことに気づき、
少しずつ気遣いをするように。
ちょっと褒めるだけでもすぐに
照れてしまう純粋なまっくんが社内一の
モテ男の黒沢に恋をしていることも、
白井にすぐバレてしまう。
もちろん社内でも周知の事実。
白井はまっくんの幼馴染みである
元ヤン桃子に思いを寄せるが、
桃子のほうは一度食ったら
もう用はナシ。
白井はといえば、
それでも果敢にアタックし続けるが、
あっという間にスケベ丸出しの
お調子者だということが社内に知れ渡る。
一方純粋で仕事の丁寧さにも定評がある
まっくんは、別の部署にいる片思い相手の
黒沢の仕事まで引き受けてしまうお人よし。
恋ゆえとはいえさすがに周囲も呆れ顔。
でもそんなまっくんを放っておけなくて、
ついつい世話を焼いてしまう桃子。
まっくんを都合よく利用する黒沢が
桃子は大嫌い。
同僚のOLたちも、
まっくんをからかってばかり。
それでもめげないまっくんは、
いつも明るくマイペース。
恋と女の友情、オフィスの日常を
ストーリー4コマで描いた
小池田マヤの名作コミック。
ときめきまっくん!のネタバレと今後の展開は?
まっくんの元ネタは
「ときめき まっくん!」より
少し連載が早かった
「すーぱータムタム」の
タムタムだそうだ。
また、作者曰く
モデルも存在するとのこと。
ただし本作はタムタムと違い、
まっくんが垢抜けるわけでもなく、
デブでトロくて冴えない
OLのまま話は進んでゆく。
家庭的な面が強いまっくんは、
市販の服をアレンジしたり
リフォームしたりといった
裁縫も得意としており、
桃子の服のアレンジを手がけることも
多々ある。
また、同じマンションに住んでいる
桃子に手料理を作ったり、
クリスマスはレストランも真っ青な
ご馳走を作ったりと、
半端じゃない女子力を発揮している。
想いを寄せている黒沢に対しても
セーターを編んでみたりはするが、
いつも手渡せずにいる。
そのセーターを桃子が「ラッキー」と
ばかりに貰ってしまうが、
察しのいい黒沢は桃子が着ている
セーターを褒め、それを聞いた桃子が
「欲しけりゃやるよ」と
黒沢に渡してしまう場面も。
物語が進むにつれて、
まっくんと黒沢の距離は
徐々に縮まってゆく。
いつもまっくんを利用して
仕事を押し付けていた黒沢は、
次第にまっくんを食事に誘うように。
それを嬉しく感じるまっくんだが、
「私なんか」という劣等感が邪魔をして
素直に黒沢を信じる勇気が持てない。
一方黒沢は、まっくんが悲しまずに
済むように、それまで関係していた
すべての女と手を切ることに。
なかなか引き下がらない最後の一人との
関係を清算する際には、
桃子を利用する場面も。
すべての女性関係を清算した黒沢に
プロポーズされたまっくんは、
劣等感を乗り越えて、
涙を浮かべながら笑顔で受け入れる。
結婚後、黒沢は小説家に。
まっくんは元の職場に復帰し、
同僚たちに笑顔で迎えられる。
ときめきまっくん!の読んでみた感想・評価
小池田マヤが得意とする
ストーリー4コマの中でも、
名作中の名作といえるのが本作品だ。
コミカルな場面、
ほんわりと温かくなる場面、
少し切なくなる場面。
4コマのオチもそれぞれが秀逸で、
読んでいて飽きない。
この作品の中で私が最も好きなのは、
まっくんと桃子の関係だ。
桃子がまっくんを利用する場面は
多々あるが、単に利用するだけではない。
桃子は桃子でまっくんが大変なら
手を差し伸べてしまうし、
何よりも他の同僚が調子に乗って
まっくんをからかうと、
更衣室でキツい報復をしてしまうほど。
まっくんを大切に思うからこそ、
彼女の気持ちを知っていて
利用する黒沢が許せない。
そんな桃子のまっくんに対する気持ちには、
何度も温かい気持ちにさせられた。
そんな二人の関係、特に桃子が
まっくんを思う気持ちが
最大限に発揮されるのが、
物語のクライマックスともいえる
黒沢が女性関係を清算するシーンだ。
黒沢の「長い付き合いに
なるかもしれないだろ?」の言葉に
涙を浮かべる桃子が、
これまでずっと一緒だったまっくんを
取られてしまうという悔しさと、
まっくんの幸せを願う気持ちとが
滲み出ていて、読んでいるこちらまで
ホロリとさせられた。
4コマ漫画なのに
何度でも読み返したくなる、
私にとってお気に入りの作品だ。
ときめきまっくん!はこんな方におすすめな作品!必見
この作品は、劣等感のある女性に
ぜひ読んでもらいたい。
「私なんか」という気持ちを持っていると、
どうしても物事を
ネガティヴに捉えがちだ。
けれどまっくんが社内一のモテ男を
射止めたのは、その真っ直ぐで
思いやりのある姿。
黒沢がまっくんに自分をどう思っているか
聞かれた時に、唯一嫌いだと言ったところが
「私なんかと言うところ」だ。
それ以外は全部好きだ、
と黒沢は告げた。
同僚にからかわれても貶されても、
まっくんは決して相手を悪く言わない。
恋以外では沈んでもすぐに浮上する。
ときどき天然ぶりを発揮して
周囲を困らせるけれど、
そこもなんだか可愛らしい。
エステやメイクで女磨きをするのも
いいけれど、一番磨くべきは
内面だと思わせてくれるのがこの作品だ。
その証拠に、一般的な女の子として
描かれている同僚ののりこには、
可愛らしさは感じられない。
実らないと思われていた
恋を実らせたのは、まっくんの
真っ直ぐな人柄ゆえだ。
太っていようがトロかろうが、
相手を思いやる気持ちと謙虚さを忘れずに、
まっくんのような素直で
明るい女の子でいることが、
恋を実らせる一番の近道だと思う。
また、小池田マヤ作の
「すーぱータムタム」もオススメだ。
こちらは太っていて冴えない女の子が
大変身を遂げて恋を実らせる物語だが、
まっくんとは違った意味で
楽しめる作品となっている。