タイトル | どんぶり委員長 |
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原作・漫画 | 市川ヒロシ |
出版社 | 双葉社 |
真面目で高飛車な「委員長」が
「恋」に落ちた!
片時も忘れることができない、
その相手は「どんぶり」。
美味しくお手軽な「どんぶり」
ワールドに今日もどっぷりはまり込む!
作品中のレシピも実用的で
二度美味しい、
学園「飯テロ」コミック決定版!
どんぶり委員長のあらすじ紹介
とある高校の調理実習。
クソ真面目、高飛車の「委員長」は
これまで見たことのない
「食べ物」を目の当たりにする。
クラスメイトの吉田が、課題
(チキンソテー)を無視して
つくったそれは「親子丼」。
短時間で、手際よく、しかも
忍耐の限界に近づくくらいに
「美味しそう」な出来栄え。
それをとても美味しそうに食べる吉田。
食に関しては作法を含めて
厳しく躾られてきた委員長。
本能の赴くまま、むさぼるように食す
「どんぶり」ものはまさに
未知の食べ物だった。
その魅力にすっかり取りつかれてしまった
委員長は、こうなる原因をつくった
当事者・吉田を巻き込む。
「あたしのためにこれで
どんぶりを作ってくれる?」
いつものような高飛車な態度で
接してくる委員長に、
最初は断っていた吉田だがいつの間にか
言われるままにつくるようになって……。
オーソドックスな素材から
変わりダネのものまで、
多種多様な内容のどんぶりが
今日も委員長の食欲を満たしていく。
どんぶり委員長のネタバレと今後の展開は?
結局のところ、ほとんどすべてのどんぶりを
吉田に作らせることになる委員長。
最初の親子丼は
自分で再現しようとして失敗。
その穴埋めを吉田自身に
行わせることにする。
そこからこの物語が始まっている。
吉田自身は母親不在で、
吉田家の台所を守ってきたこともあり、
そこそこの料理の腕をもっている。
最初のうちはあまり乗り気でないところも
あったが、回を重ねるにつれて
委員長のリクエストをある程度予
測できるようになり、
もはやあきらめムードのようにもなる。
親子丼や牛丼、角煮丼、チキン南蛮丼、
ローストビーフ丼など
比較的オーソドックスな丼ぶりでも、
一工夫加えたり
(親子丼にさらに温玉を加える)、
ありあわせの食材でそれらしく作る
(なんちゃって●●丼など)、
といった具合に工夫をこらしたレシピを
展開していき、そのたびに
委員長を喜ばせていく。
2人の関係については、吉田の方が
なんとなく委員長に気があるような
展開になっていくが、
本編においては
具体的な決着はつかないまま。
ただし、最終話おまけで、
数年後に委員長らしき女性が
「目玉焼き丼」を吉田らしき男性に
振る舞うシーンが収録されており、
「これが一番簡単だから」
というオチで物語は終わる。
どんぶり委員長の読んでみた感想・評価
ジャンルとしては、学園もの、
というよりもグルメもの、
になるのだろうか。
絵のタッチとしては
グルメものにしてはシンプルになっている。
ただし、毎回吉田によってつくられる
どんぶりと、それをほおばり
至福の時間を過ごす
委員長のシーンをみると、
絵のタッチなど関係なくなる。
近年いくつもの作品が「飯テロ」認定を
受けているが、この作品も間違いなく
「飯テロ」ものであろう。
事実、複数の書店の販売ポップで
「飯テロ」の文字が躍っていることが
ネットニュースなどで確認できる。
物語の進展は、一方的に振り回される
吉田と高飛車な委員長、
という構図でずっと続けられていくが、
よくみていくとワンパターンなようで、
意外とキャラクターの心情が
少しずつ変化しているので、
注意してみてみるとよい。
委員長は明らかに
「ツンデレ」である。
あくまで「どんぶり」目当てと
豪語しているようにもみえるが、
時に強がりつつも頬をほのかに染める
委員長は可愛らしくもある。
吉田も最初は、委員長のことを
他のクラスメイトと同じように
うざったい対象ぐらいにしか
見ていなかったが、
途中から変化が表れてきている。
委員長の一挙手一投足に、
多少の妄想を絡めて多大な期待を
抱いては砕かれて、意気消沈もしたり。
なんだかんだでめげずに一途な
吉田少年が哀れにも
見えるのだが……。
どんぶり委員長はこんな方におすすめな作品!必見
レシピを伴うグルメコミックのなかでは、
とても優秀なものの
ひとつではないだろうか。
登場キャラクターが調理をしながら、
その料理について解説していくという
オーソドックスな方式をとっているが、
この作品(=料理)の特徴としては
「とにかくわかりやすい」
「簡単にできる」
「手に入りやすい材料を使っている」
ということだろう。
グルメコミックの読者層としては、
一人暮らしで自炊している人が
参考に購入している割合が
多いという話もある。
代表的なところでは現在も
連載を続けている「クッキングパパ」
(うえやまとち・講談社モーニングKC)
なのは周知のところ。
かの作品は本編中の解説+まとめ
レシピページからなっているが、
実はこの作品も
同じような体裁になっている。
といっても、紙媒体ではなく
webからであるが。
web連載していた
双葉社のサイトにおいて、
この作品で紹介されたレシピが
公開されており、しかも、各レシピは
ほぼ3~4行でまとめられている。
長くても5行どまりで
実に簡潔になっている。
本格的な材料をつかったり、
手間暇をかけなくとも美味しいものが
できるというのは何ともうれしい。
一人暮らしや在宅勤務・SOHOなどで
食事時間が惜しい、という人にとっては
実用的なコミックであろう。
もちろん、クッキングパパをはじめ、
グルメコミック好きの人も楽しめる
作品であることはいうまでもない。
私の中では「飯テロ」認定書籍、
のうちの一冊となっている。