タイトル | ぴんちら 蒲田極道純情伝 |
---|---|
原作・漫画 | ロドリゲス井之介 |
出版社 | 実業之日本社 |
キョロとドンブリは
小豆組の下っ端組員。
男を磨こうと奮闘の日々ですが、
集金した金をスられたり、
女性絡みでカタギと揉めてみたりと
ハプニングが続きます。
暴対法が施行され十余年、
現代的だが不器用なヤクザたちの
日常を描くアウトロー・コメディです。
ぴんちら 蒲田極道純情伝のあらすじ紹介
暴力団の肩身が狭い現代にあって、
あえて男を磨こうとヤクザ道を選んだ若者、
キョロとドンブリ。
彼らは組員総数二十名あまりの三次団体、
小豆組の下っ端として日々奮闘しています。
しかし、稼ぎのいいシノギを見つける
要領の良さはなく、
掃除のことでどやされるなど、
彼らは冴えない組員でもありました。
そんなある日、若頭の提案で
兄貴分の仕事を手伝うという形で
シノギを回してもらうことになります。
集金の手伝いという簡単な任務でしたが、
キョロたちはお金をスられてしまいます。
ぴんちら 蒲田極道純情伝のネタバレと今後の展開は?
男を磨くということで
用心棒などをシノギとしている
小豆組に入って奮闘している
キョロとドンブリ。
しかし、自分に合った
シノギは見付からず、
事務所の掃除ができていないと
どやされるなど
冴えない日々を送っていました。
そんなある日、若頭の計らいで
兄貴分の集金を手伝うことになりますが、
そこでも金をスリ取られるという
大失態を犯してしまいます。
必死の捜索にも関わらず
金を取り戻すことはできなかった
キョロたちは指を詰めて
ケジメをつけようと思い詰めます。
幸い、指より金だと言われ、働くことで
金を返すことになったキョロたち。
しかし、途中で人の流れを
つなげることができ、
犯人を割り出すことに成功します。
ヤクザのメンツに賭けて
犯人たちを急襲するキョロたち、
しかし盗んだのは悪人ではなく、
限界ギリギリまで食い詰めた
外国人たちだったのです。
キョロたちは心底から
謝罪する彼らを目にし、
葛藤の末に何もせず立ち去り、
自分たちで金を稼ぐことにしたのでした。
ぴんちら 蒲田極道純情伝の読んでみた感想・評価
難しくないのが好印象です。
絵柄や全体の雰囲気、
そして作者のロドリゲス井之介氏の
作風や経歴、どれを取っても
ヤクザ漫画的ではないのですが、
実際に読んでみると、
名もなき青年たちの奮闘記といった
色彩が強く、普遍的な面白さがある一方で、
かなりしっかりと真面目に
「ヤクザ漫画」しているところにも
好感が持てました。
全体としては「独身3」のような
小ネタ的なギャグや
くすぐりを交えながらも、
最終的には真面目に
ヤクザ漫画の王道をひた走っていく
その姿勢は他の作品とも一致しており、
作者の誠実さが
滲んでいるようにも感じました。
一方で、市民社会とは
極めて隔絶されているようにも思える
ヤクザ社会を、どうやら一般の
それと同質の社会として
とらえているらしいところにも
好感が持てました。
ちょっとトボけた社長(親分)と
硬直的な組織をうまく接続して
仕事につなげるナンバー2(若頭)の
頼もしさとストレスが半端ではなかったり、
ブランクのある上司が提示してきた
ビジネスモデルがヤバかったりと、
普通の企業でもありそうなトラブルが
相次いで襲ってくるだけに、
作品の明快さと主人公たちの境遇に
同情を禁じ得なくなってしまうのです。
「らしくないヤクザ漫画」だけに、
ジャンルをさほど意識せずに
読み進めることができたのも
良かったですね。
ぴんちら 蒲田極道純情伝はこんな方におすすめな作品!必見
いわゆるヤクザもの、任侠ものとなると、
題材が題材だけにコワモテな作風が
非常に多いですが、そうなると
やはり非常に読後感が濃くなります。
エピソードが面白くても、
一気に読むと非常に疲れてしまうことも
少なくありませんでした。
しかし本作は、絵柄も作中全体の雰囲気も
非常に柔らかく、いい意味で
ヤクザ漫画らしくないのですが、
一方で話自体は本格派で、
安易な茶化しに走っていない
美点も備えている異色作です。
今までとはまったく異なる、
それでいてしっかり
「ヤクザ(チンピラ)」している作品を
探している方には
ぴったりとハマると思いますし、
そうでなくても、比較的
一般社会に近いヤクザ、
「変わったサラリーマンである」
ヤクザ像を描写しているだけに、
企業ものの作品を好んでいる方にも
「あるある」ネタが満載として
受け入れられるのではと思います。
また、暴排の気運が高まっている時期の
作品でもありますが、
「悪い」ヤクザのパターンに
ハマッてもいないので、
読み物としての後味も良く、
明快な作品を読みたいならばコレ、
という感じすらある快作だとも言えます。