タイトル | キスから仕事はじめます |
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原作・漫画 | えびす華子 |
出版社 | 双葉社 |
会社の吸収合併により、若くして
主任になったものの、なかなか
仕事をこなせない出雲楓。
そんな彼女を助ける副主任鬼頭は
一見真面目なイケメンだが、
楓にある条件を突きつけてきて……。
部下から上司への命令という斬新さに、
吸収合併や妬みや孤立といった
大人の事情までをも盛り込んだ、
意欲的かつ個性的な
オフィスラブ・ストーリーです。
キスから仕事はじめますのあらすじ紹介
不動産会社の社員で、
会社の吸収合併を機に
若くして主任となった出雲楓。
しかし経験もなく、仕事が
うまくいかない彼女を、
副主任の鬼頭は、徹底して
サポートしてくれますが、
楓の軽口をきっかけに
態度を急変。
今後も仕事で協力して欲しいなら
身体をよこせという趣旨の要求を
突きつけてきます。
鬼頭が楓に従うメリットとして
楓は唇を彼に捧げますが、
なかなか主導権を握ることはできず、
結局は折に触れて彼に
助けられることになっていくのでした。
キスから仕事はじめますのネタバレと今後の展開は?
不動産会社に勤める若手社員、
出雲楓。
しかし自分の会社が同業他社を
吸収合併したために、楓は
二十五歳にして、課の主任という、
重責を担わされる形になります。
しかもその部署は、自分たちが
吸収合併した会社の人たちが
極めて多数を占める場であり、
年下で経験が浅く、しかも
「よそ者」である楓が、
信頼される様子はありません。
しかしイケメンな
鬼頭さんが副主任になったことで
やる気を新たします。
実際鬼頭さんは他の部下のように
嫌味な態度は取らず、仕事ぶりも
実に有能だったのですが、
突如としてG物産が参加を
見合わせたいと連絡を入れてきて
主任の楓は大ピンチになります。
しかしそこでも鬼頭さんは
自分の人脈をフル活用して、
状況を改善させますが、
楓の「色仕掛け」という
軽口がきっかけで態度を一変、
お前は嫌いだと言い捨ててきます。
しかも楓が上司命令を口にすると
鬼頭さんは「自分へのメリット」として
楓の唇を奪ってくるのでした。
去り際に、命令に従う条件として
「身体をよこせ」を言ってきた鬼頭さんに
楓は単なる拒絶でなく、
もっとビジネスライクな関係を
結んでいこうとしますが、
結局は彼に翻弄されてしまいます。
キスから仕事はじめますの読んでみた感想・評価
定番のオフィスラブものかと
思われましたが、かなり大人な
事情も絡んでおり、
会社あるあるとして
楽しむこともできました。
選択と集中、M&A……、
今時風の呼び名はありますが、
企業の合併は難しいものです。
話をまとめるまではもちろん、
実際に合併しても、
「上下関係」が生じやすく、
しかも元々の社風も違うので、
一丸となってまとまるには
かなり大変だったりします。
こういった「大人の事情」は
結局内輪揉めで爽快でなく、
作品で扱われにくいのですが、
本作ではそういった難しさを
ごく端的に示しています。
そこで出雲さんを巧みに
フォローするのですから、
鬼頭さんへの信頼は増しますし、
後に圧力をかけられても、
頼りになる存在のために
嫌悪感を抱かずに済みました。
実際鬼頭さんは漫画的な
オラオラや粘り強さでなく
あくまで現実的な形で、
仕事をまとめてくれるという
安定感がありますから、
人間として頼りになります。
圧をかけてくれる、強い
男子キャラが好きと言っても、
そこに伝わる気持ちがなければ、
単なる乱暴に過ぎなくなるわけで
本作のバランス感覚は、
実に素晴らしかったですね。
キスから仕事はじめますはこんな方におすすめな作品!必見
近年セクハラやパワハラといった、
職場内でもトラブルにもより厳しい態度が
取られるようになっていきますが、
基本的にこうした「嫌がらせ」は、
社長から社員、上司から部下などの
「身分の差」があることが多いです。
しかし本作では吸収合併した会社の
「部下」である鬼頭さんから
出雲さんが圧力をかけられる形で、
その導入もかなり斬新な感じです。
男性向け女性向けと、様々な
作品のジャンルがある中で、
どうしても「上から」になる、
「セクハラ系作品」がちょっと
肌に合わない方にも、本作は
馴染みやすいと思われます。
この手の作品だと、とにかく
理不尽な指示が上から飛び
翻弄される形になりがちですが、
本作は仕掛け人の鬼頭さんが
「部下」という形ですので、
それほどオラオラ感はありません。
とは言え経験がまだ浅いのに
吸収合併で規模だけが巨大化した
職場をまとめる出雲さんは、
なかなか「器」に見合った
働きができないので、フォローする
鬼頭さんも大変です。
その意味でストレスが溜まるわけで
圧力が「自然に」出てくるのも
本作ならではの立ち位置と言えます。