タイトル | ナニワトモアレ |
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原作・漫画 | 南勝久 |
出版社 | 講談社 |
昭和から平成に移り変わったあの頃、
熱く勢いがあった大阪を舞台に、
グッさんとマーボが駆け回る。
暴走族とはまた違う、
けれどもストイックでもない、
「走り」にハマった若者たち。
車に喧嘩に、そしてナンパにと
大暴れする彼らの友情とトークが、
心を熱くする、傑作不良漫画です。
ナニワトモアレのあらすじ紹介
平成元年、暴走族から走り屋に
「不良」のトレンドが変わる中、
一念発起し教習所に通い始めた
マーボとグッさん。
動機は「女性受け」だったりと、
必ずしも純粋ではなかったものの、
教官の説教や試験を乗り越え、
無事に免許を取得。
その次は車を買うわけですが、
一括で買える資金はありません。
ローンをということになる中、
ヒロちゃんの車に乗せて貰いますが、
そこで見咎められてしまいます。
しかしヒロちゃんは慌てず騒がず、
愛車を巧みに操り、
一気に逃げ切ってしまいました。
ナニワトモアレのネタバレと今後の展開は?
先輩のヒロちゃんに連れられる形で、
「環状」デビューを果たした、
グッさんとマーボ。
免許すら取って間もない状況のことで、
ヘロヘロになってしまいましたが、
女性をナンパしたいという目的から、
グッさんたちは車を新調することに。
しかも街乗りレベルではなく、
レーサーっぽく見せたいがために、
超本気のセッティングを試みます。
足回りにもハンドルにもこだわり、
出血大サービスで五十万円。
そのお金を稼ぐためグッさんは、
必死に仕事をこなした上、
セットの手伝いまでこなし、
ついに街道デビューに至ります。
爆音を響かせる超カスタム車、
その効果は強烈で、
見事女の子のナンパに成功。
しかし調子に乗って酒を飲み過ぎ、
またもヘロヘロになったところで
ヒロちゃんと鉢合わせ。
女性たちはヒロちゃんと親しく、
既に弱っていたグッさんから離れ
車で去っていってしまうのでした。
しかし二人はあくまでめげず、
自らシミュレートしてまで
目標を達成しようと試みます。
ナニワトモアレの読んでみた感想・評価
車も街の雰囲気の描き方も良く、
懐かしさを感じましたが、
個人的には皆の「ダベリ」が好きです。
中学や高校の頃よりは大人で、
教師の目を気にする必要もなく、
かと言って世間が怖い年齢でもない。
そんな、人生で一番自由な時間を
ぱっと見無駄遣いしているような、
他愛なく、そして品のないお喋り。
しかし往々にして、そんな時間の方が、
後に会社で過ごす膨大な時間よりも
鮮明に覚えていたりするものです。
私も経験がありますが、
ヤンキー系の作品で走り屋という、
極めて動きが多い中にあって、
「かけがえのない無駄な時間」を
徹底的に丁寧に描き切っている、
希少な作品だと思います。
また、十八歳以上の主要キャラが、
良い意味での不良さを貫いており、
中学や高校でヤンキーだったとしても、
無理して生き方を「卒業」せずとも、
楽しく生きることができるという
しっかりしたメッセージを感じました。
もちろん悪さばかりではダメですが、
青春の全てを否定することもない、
そんな雰囲気がありましたね。
ナニワトモアレはこんな方におすすめな作品!必見
いわゆるヤンキー系とされる漫画の中でも、
時代によって流行り廃りは明確にあります。
昭和の時代に流行したのが暴走族系漫画、
それより少し後になるとギャング系や
半グレ系といった感じですね。
一方、マシンに重点を置いた場合、
暴走族系と走り屋系に分かれます。
本作は平成元年のスタートで、
ちょうど暴走族が別の潮流に
取って代わられた頃の話です。
様々な文化が過渡期であり、
微妙な空気の違いがあった頃ですが、
そのあたりのディテールが完璧です。
パフォーマンス重視の暴走族から
走り屋に移行したものの、
後の時代ほど徹底はしていない、
また個々人としても、
少年暴走族よりは大人だけれど、
家族や会社を支えるような強さは
まだ持っていなかったりと、
あらゆる点で微妙な状況です。
こうした状況を描写すると、
通常はかなり煮え切らない感じに
物語が進行してしまいがちですが、
本作に限って言えば、
マーボやグッさんたち主要キャラが
良い意味で「アホ」であり、
全体としてスカッと抜けた感じの
潔さというか爽やかさがあります。
人間ドラマも車も、
かなりじっくり描写しているので、
懐かしいあの車の記憶が
蘇ってくるような気分に
どっぷり浸ることもできます。