タイトル | ビューティーポップ |
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原作・漫画 | あらいきよこ |
出版社 | 小学館 |
女子にはつきものの髪の悩み、
時には容姿が原因で、憧れの先輩から
ひどい言葉をかけられた彼女たちに、
底知れぬ美容技術を持つ綺里の
「魔法」がかけられていく……。
斬新な設定の少年誌的な展開が熱い、
痛快な美容漫画です。
ビューティーポップのあらすじ紹介
美容系に長けた男子たちが、女子を選び、
「シザーズ・プロジェクト」を開催する
とある高校。
美容業界トップの父を持つ鳴海をはじめ、
三人の美容系男子は有名人揃いですが、
小柴 綺里は何の興味もありませんでした。
しかし、旧友が侮辱されたことを発端に、
綺里が自分の美容の腕を発揮して、
「魔法」をかけたことがきっかけで、
鳴海は綺里に興味を持ち、
綺里もまた様々な場で、女子たちに
「魔法」をかけていくことに。
しかし綺里は、そのずば抜けた
美容の実力にも関わらず、
美容師になる気すらなかったのでした。
ビューティーポップのネタバレと今後の展開は?
色々なお店が立ち並ぶ
「あじさい通り」で暮らす少女、
小柴 綺里。
髪の毛を短く無造作っぽく切り揃え、
一見ファッションにも興味がない
雰囲気を出している子です。
一方、綺里の通う学校には、
「シザーズ・プロジェクト」という
イベントが開催されていました。
校内に、美容業界トップの御曹司、鳴海、
ネイルアートの南、
トータルビューティの落合という、
三人の美容のスペシャリストがおり、
彼らが一人の女の子を選び、
腕を披露するような催しでした。
綺里はそのイベントにまったく
興味を示しませんでしたが、
友人である青山 加奈子さんが、
落合に告白したところ、
断られた上散々に容姿をけなされる
仕打ちを受けたことで、
彼ら美容男子たちに反発します。
綺里のその態度に怒った鳴海は
明日プロジェクトを開始すると宣言、
一方の綺里は旧友である青山さんに、
自分の実力で「魔法」をかけます。
そして迎えたプロジェクトの場、
鳴海は改めて腕を見せつけますが、
その後に綺里の妙技により、
「魔法」をかけられた青山さんが登場。
別人のように美しくなった青山さんは
自らをフった落合に対して、
「これからは人を見る目も磨く」と
少し嫌味も交えてやり返し、
変わった自分を表現してみせるのでした。
ビューティーポップの読んでみた感想・評価
普段ほとんど髪型を気にしない
私にも痛快さが味わえました。
高校生男子たちが美容の腕を
同じ学校の子たちに披露という、
かなり強烈なキャラ付けからの、
高慢なところがある彼らの
高くなった鼻っ柱をへし折る、
天才少女の登場と、
絵柄もベースも完全に
少女漫画的ながら、
少年漫画を思わせる熱さが、
非常に心地良く面白かったです。
様々な人に素晴らしい美を
授け続けながらも、
自らはさり気ない髪型を通す
綺里のハンサムさは純粋に格好良く、
巻き込まれ型主人公とはかなり
根本から異なる強さを感じましたし、
ちょっとした工夫で、女の子たちの
切実な悩みをスパっと解消する手際も、
見ていて痛快そのものでした。
ライバル役の男の子達も、イヤミなだけの
使い捨てキャラではなく、しっかりと
内面を掘り下げ、多面的に描いているのは、
良い意味で少女漫画的なものを感じました。
熱さと面白さをあくまで前面に出し、
主人公を「強く」描いているため、
恋愛的なドキドキよりも、素直に、
美容師という職業の面白さと
やりがいを感じることができたのも、
美容師漫画として良い感じですね。
ビューティーポップはこんな方におすすめな作品!必見
いわゆる「美容」や「美」を前面に出した
ジャンルは沢山ありますが、男女関係なく
自分の力を十分に振るえて、
しかも、その作り手が前面に出られる
ジャンルとなると、「美容師」が
もっとも有名な一つとなっています。
そのため、素敵な美容師に
憧れるような作品は定番ですが、
高校生の段階で実際に美容をやり、
その腕を競い合うという本作の設定は、
むしろかつての少年誌的であり、
極めて異色ですが、
ただならぬ力量を持つ少女、綺里が、
目立たない生徒に「美」を与え、
腕自慢たちを粉砕していく痛快さは、
あの板垣 恵介先生の隠れた名作、
「メイキャッパー」をほうふうと
させるものがありますが、
「メイキャッパー」は化粧全般で、
本作の方がより美容師の妙味を
堪能できる感じになっていて、
少年誌ファンも納得の明確な
面白さがあります。
高校生美容師が沢山登場という
設定の斬新さもありますが、
かなり大胆な形で
美容師を「身近」に据えていき、
より現実味のある夢として
形にしている部分は、
若者に夢を与える少女漫画の
役割を果たしていると言えます。