タイトル | プライベート・プリンス |
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原作・漫画 | 円城寺マキ |
出版社 | 小学館 |
研究者志望の大学院生、都は、
論文作成の取材のために
潜入したパーティで、
美男子王子ウィルの
意外な素顔を目撃してしまい……。
楽しくて夢があるだけでなく、
「現実」にも根ざした部分がある、
「王子もの」物語の良作です。
プライベート・プリンスのあらすじ紹介
旅館の娘であり、跡継ぎに
なって欲しいと熱望されている、
桜川都。
しかし都本人は研究に全力で、
学者としての進路を
周りに納得させるためにも、
論文を仕上げる必要がありました。
そこに海外からやってきたのが
美青年ウィル王子。
美貌と知性があり、しかも
日本とも繋がりがあるため、
来日中は超人気ですが、
ウィルの曾祖母であるリツコこそ、
都の研究テーマ上において、
非常に重要な女性でした。
そこで都はパーティの際に、
友人のコネを使って
うまく忍び込みますが、
慣れない格好で転んでしまい、
そこを介抱されたのをきっかけに、
王子に「興味」を持たれてしまいます。
プライベート・プリンスのネタバレと今後の展開は?
英都大学の大学院史学科に
籍を置く桜川都。
彼女は研究に対して
情熱を燃やしていましたが、
実家の旅館業との兼ね合いで、
家を継ぐことを強く期待され、
そのため周りを納得させる
大きな実績を求めていました。
そこにエストリア王国の
王子ウィルフレッドが、
来日してきました。
ウィルに「目的」を持ち
近付こうとする都は、
友達からのコネで、
迎賓館でのパーティに
出席できることに。
まったく慣れない大胆なドレスを
身にまとい、抜群のスタイルを
晒す形で現地入りします。
しかし普段の格好とは
違い過ぎることが災いし、
パーティ会場でまさかの転倒、
都は救護されることになりました。
そこでウィルと会話をする
機会を持てた都は、
素直に自分の目的を語ります。
一旦は失望しかけたウィルですが、
都の関心が曾祖母のリツコ妃に
あると知ると再び会話をし、
しかし「退屈しのぎ」にと
いきなり言い放って、
都に迫ろうとしました。
その場は逃れられた都ですが、
翌日すぐにウィルは大学に現れ、
「友達になって欲しい」と、
都に対して言い放ちます。
何とも人を食った態度ですが、
論文を書くためには都は
断ることはできず、
二人の奇妙な付き合いが
スタートすることになりました。
プライベート・プリンスの読んでみた感想・評価
オーソドックスな王子様と
庶民の恋と思いきや、
ひねりが効いていて良かったですね。
多くの場合、高貴な王子様が、
女性に「興味」を抱くことで
始まるのが「王子様」もの。
元々身分の壁があり、簡単に
庶民側からアプローチできないので、
必然的な流れはありますが、
本作は都さんの側が、
かなり大胆に踏み込んでいきますね。
しかも元々は都さんの方も、
リツコ妃のことが気になっており、
ウィルには興味がなかったりと、
いきなり気持ちが「スレ違い」
しているのも面白いところです。
その割にウィルはイマイチ
素直ではなく、好意を全面に
出せないのが可愛い感じですね。
見た目の印象はまるで違うのに、
恋愛ベタという点では似ている、
二人の初々しいやり取りを、
何となくニヤニヤしながら
読んでしまいましたね。
ウィルたちの日本との縁は、
都さんの実家の事情など、
本筋を固める設定も緻密で、
読んでいくほどに意外な
関係性が膨らんでくるのも
面白い要素です。
いかにもワガママそうな
雰囲気を滲ませつつも、
「外交」をとにかく大事にする、
ウィルの姿勢や都の懸命さなど、
キャラクターが良い意味で
「大人」なのも嬉しいですね。
プライベート・プリンスはこんな方におすすめな作品!必見
王子様や貴族とのロマンスと言うのは
恋愛物語において非常に定番ですが、
反面現実的な作品では少ないものです。
と、言いますのも一国の要人である
王子や貴族たちと「親密」になるには、
感情よりもさらに明確な「理由」が、
なければ対外的にも難しく、
条件を満たす人と言うのは
ほとんどいないからなんですね。
しかし本作のウィルは、相当に
ナンパというか肩が凝らないタイプで、
気に入った女性にはガンガン行く、
積極性のある人ですから、
破綻なく出会いが生まれています。
また、双方の関係を結ぶ鍵として、
「歴史上の人物」となっている、
リツコ妃の「情報」を示しており、
駆け引きの材料にも、ウィル達の
日本びいきの背景の解説にも
なっている点が秀逸です。
自然で破綻なく、しかもかなり
「非現実的」という、
「王子様」ものの中でも、
非常にしっくり来る作品を
楽しみたい方には
かなりオススメできます。
また、ヒロインの都さんが、
学生ではあるものの、
プロ的な「姿勢」を持つ、
良い意味でハンサムな女性なのも
物語を楽しむ上でポイントですね。