タイトル | モトカレ←リトライ |
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原作・漫画 | 華谷艶 |
出版社 | 小学館 |
中学時代付き合っていた、蜜と楓。
しかし上京して再会した彼は、
びっくりするほどイケメン化しており、
元々吹っ切っていなかった蜜は、
改めて恋愛感情を抱いていくが……。
元彼氏彼女の関係だった若者が、
改めて関係を模索していく、
新感覚が光る恋愛漫画です。
モトカレ←リトライのあらすじ紹介
大学に通うため上京してきた蜜。
挨拶のため隣室に向かうと、
そこには元彼である楓がいました。
彼もまた大学に通うとのことでしたが、
フラレたと思っていた蜜の心には、
煮え切らないものが存在していました。
しかし、昔よりもイケメン化しつつも、
相変わらず魅力的な笑顔を見せる楓に、
蜜は惹かれる部分もあり、
ちょっとしたきっかけから、
キスをするまでに関係を進めます。
しかし、イケメンになった楓の方にも
蜜に対しては強い感情を持っており、
ある企みを胸に抱いていたのでした。
モトカレ←リトライのネタバレと今後の展開は?
二ツ橋大学に通うべく、上京した蜜。
一人暮らしを始めることになりますが、
お隣に挨拶しようとしたところ、
出てきたのは元彼の平子楓でした。
しっかりと顔を合わすのは五年前、
しかし楓は高校で背が伸びて、
完全に声変わりも終えており、
何だか別人のようですが、
蜜はまだ昔を引きずっていました。
しかし楓の笑顔は相変わらず魅力的で、
蜜は心を惹かれていきます。
一緒に学校から帰った時に、
きっかけもありキスしますが、
途中でいきなり楓の態度が豹変し、
あんまりなことを言い始めます。
実は楓は、不誠実に自分をフッた
蜜に仕返しをしようと企んで
そのチャンスをうかがっていました。
しかし蜜にはまったくそんな気はなく、
結局は互いの行き違いで、
別れることになったことが分かり、
一旦は楓は混乱します。
蜜もまた楓の企みを知り、
新たな恋に挑みますが、
そこをタチの悪い先輩につけ込まれます。
しかし、部屋の前で絡まれる蜜の前に、
楓が現れ場を収め、その後に
自分の本心を口にします。
そして互いの思いを確認し合った、
蜜と楓でしたが、互いに「過去」があり、
すんなりと付き合っていくにも、
なかなか難しい部分があったのでした。
モトカレ←リトライの読んでみた感想・評価
冒頭からドロドロした話になると
思いきや、予想以上に純粋で、
そこが嬉しい作品でしたね。
一般的に初めて付き合った相手と、
結婚して一生添い遂げる確率は、
かなり低いです。
だから大多数の人が誰かにとっての
「元彼」や「元カノ」なのですが、
行き違いで別れてから、再び
恋愛関係になるという話も
全体からすればまた少数ですね。
そもそも物理的に出会いにくいですし、
一定以上距離を詰めたことで、相性が
合わないと分かった以上、
「良い友達」として
付き合っていくことが多いわけですね。
しかし本作は、いきなりお隣の部屋で
鉢合わせしてから距離を詰めるまで、
かなり急な展開です。
と、言うのも、蜜は楓にフラレたと
勝手に思い込んでいたので、
友好的に見える楓にドキドキし、
一方の楓は蜜に、不誠実に
別れを告げられたと錯覚して、
仕返しを狙っていたのです。
だからこそ二人はある意味
抵抗なく近付いたわけですが、
この互いの心の距離の違いを、
改めて読み返してみると、
なるほどと思える部分が多く、
非常に楽しむことができましたね。
また、月日が経てば人は変わりますが、
本作ではその点が非常に目立っていて、
バリバリの野球少年だった楓が、
わずか数年で、繊細さも見える、
女性ウケするイケメンになり、
その違いが面白かったりもします。
一方の蜜はそこまでの違いは
冒頭では見ることはできませんが、
それは多分、自分の変化に、
自ら気付くことは難しいからで、
本当は彼女も随分変わっているなと
思わせる細かな描写も面白いです。
結局のところで言えば、
互いの勘違いを軸に接近した
蜜と楓ですが、仲直りしても、
互いの「過去」が邪魔したり、
重層的な話の構成が、
非常に興味深い一作でもありますね。
モトカレ←リトライはこんな方におすすめな作品!必見
生きていくうちに色々と人間関係は
生じていくものですが、友達とは違い、
「彼氏」、「彼女」は難しいですね。
互いに好きで付き合い始める点では
友達と一緒なのですが、別れると、
顔見知り以上に疎遠になってしまい、
あるいは恨み合う関係になることも
少なくありません。
本作でテーマになっているのも、
そうした「元」カレカノの関係で、
しかも互いにすれ違いがあるために、
心に色々と抱えていた二人が主人公です。
しかし結局誤解が解けて
仲良くなったり、過去の思い出に
振り回されてしまったりと、
単なる正面的な感情の
行き違いだけではない複雑な気持ちが
垣間見える構図が素敵でした。
生きていると人間色々ありますし、
付き合う中でも様々な過去がある、
そうした現実的な、多くの作品では
フォローしにくい部分に
焦点を当てているので、リアルな
恋愛話を好む方に最適です。
また、一般的なエピソードであっても、
間の取り方が非常にうまく、
読者を飽きさせることがありませんし、
急な感情の変化にも、様々な
納得できる「理由」が備わっており、
違和感なく読めるところもいいですね。