タイトル | ヴィンランドサガ |
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原作・漫画 | 幸村誠 |
出版社 | 講談社 |
11世紀初頭の北欧を舞台に繰り広げられる、
歴史を基にした大冒険活劇!
血生臭い戦場と謀略渦巻く政争の中、
主人公トルフィンが苦難を
突き進むストーリー。
戦争も奴隷も極寒の厳しさもない楽園
『ヴィンランド』にトルフィンは
到達できるのか?
ヴィンランドサガあらすじ紹介
11世紀初頭のヨーロッパ。
『ノルマンニ』『デーン人』、
あるいは『ヴァイキング』
と呼ばれ怖れられた者たちがいた。
フランク王国内での内紛。
少数の攻め手が砦を正面から
突破しようとして難航している。
裏手には激流へ続く湖に守られて
攻撃の手段がないためだ。
船を出そうにも周りは陸地。
高台から戦況を見物していた
ヴァイキングの首領アシェラッド。
砦に宝物の匂いを嗅ぎつけ、
攻め手に傭兵として加担しようと考える。
だが劣勢の兵士は気が立っていて、
使者を送っても話もできず
殺されることは珍しくない。
「拾ったガキなら殺られても
惜しくないだろ?」
とアシェラッドは
トルフィンという少年を指名する。
交渉成立なら金貨3枚出すとの条件を
「ざけんな」と一蹴するトルフィン。
薄く笑いながらアシェラッドは、
大将首を討ったなら要望に
応えることを約束する。
果たしてトルフィンは、
剣を突きつけられながらも
少年と思えぬ度胸と冷静な物言い。
攻撃に協力する代わりに戦利品の半分を
得るとの商談を成立させる。
そして翌朝。
なんとヴァイキングたちは
船を担いで戦場を横断し、
湖へと船を浮かべてしまう。
さらにはトルフィンも2本の短剣を
器用に使って砦の壁をよじ上り、
弓兵と指揮官をあっという間に殺してしまう。
フランク兵たちが城門を突破した時にはもう、
裏手から攻めたヴァイキングによる
凄惨な殺戮の跡が残るのみ。
フランク兵たちはヴァイキングの
圧倒的な強さに絶句するのだった。
指揮官の首を持ったトルフィンは言う。
父親の仇であるアシェラッドに
決闘を申し込む、と。
ヴィンランドサガネタバレ・今後の展開
決闘にこぎつけたものの
アシェラッドに軽くあしらわれ、
1人で落ち込むトルフィンは、
まどろぎながら幼い日の夢を見ます。
極寒の厳しさに人々が
たくましく生きるアイスランド。
快活に笑う少年トルフィンは
冒険者レイフ・エイリクソンの話に
好奇心を刺激され、未知の地への
航海に憧れていました。
レイフの話の中でも特に
トルフィンが夢中になったのは、
氷の海を越えた先にある楽園『ヴィンランド』。
そこでは極寒に悩まされることはなく、
小麦畑に適した肥沃な地が
どこまでも続いていると言います。
そんなある日、平和なアイスランドに
北海最強の軍隊ヨーム戦士団が軍船を
並べてやって来るという事件が起こります。
船団を率いるフローキは
『戦鬼のトールズ』に会いに来ます。
しかしその戦鬼と呼ばれるヴァイキングこそ
トルフィンの父トールズのことでした。
フローキは英雄として名高い
トールズの復帰を懇願します。
父親の武勇伝に大喜び。
自分も戦士になろうと
倉庫から短剣を探し出して
怒られるトルフィン。
果てには戦場へ向かう船へ
こっそり隠れて乗り込んでしまいます。
しかしフローキの目的は
トールズの抹殺でした。
上昇志向の強いフローキにとって
『戦鬼のトールズ』は
無視できない存在だったのです。
さらにトールズが相手では北海最強の
ヨーム戦士団さえ大損害を
免れないと考えたフローキ。
ヴァイキング首領アシェラッドに
暗殺を依頼します。
知勇を備えたアシェラッドさえ
トールズの前には子ども扱い。
しかしトルフィンが人質にとられたことで
トールズは剣を手放します。
これが全ての始まりです。
復讐に我を忘れたトルフィンは
アシェラッドとの決闘を条件に
汚れ仕事をこなしていくことになる。
やがて野心を持つアシェラッドが政争に
踏み込んで権力を得ようとするに従う。
トルフィンもまたデンマーク王国内の
政争に関わってしまうのです。
ヴィンランドサガ読んでみた感想・評価
とにかく戦闘シーンが圧巻の一言。
まだ当時の、風や潮流を利用できる
沖合に出るまでオールをこいで
浅瀬を進まなければならない時代。
ヴァイキングたちは人間とは思えない
腕力で斧や丸太を振り回します。
その中を小柄なトルフィンが
短剣2本で突き進んでいく様は爽快です。
一方で剣の耐久度があまり高くないことから、
受け太刀ではなく鎧に当てさせて
武器を損傷させるテクニックなどは渋い!
とうなってしまいます。
ヴァイキングたちの血生臭く野蛮で、
しかし活き活きとした日常は
何気に見所のひとつだったりします。
くだらない冗談を言い合い、
その冗談がきっかけで仲間同士の殺し合いが起きて。
略奪をしながら女たちを犯し、
犯した時の反応がデンマークより
イングランドの方がそそるからと
キリスト教への改宗を悩んだり。
そばかすだらけの少年が、
母親から家業を継ぐように諭されながらも
「俺は男なんだぜ」と大した技量もなく
アシェラッドに自分を売り込んで
ヴァイキングになったり。
舞台背景こそ殺戮の世界でありながら、
そこには現代の私たちと違わない、
1人1人の日常がしっかり描かれているのです。
少しだけ残念なのは、
魅力的な女の子たちの出番が
少ないことでしょうか。
トルフィンの姉ユルヴァはそんじゃそこらの
お姉さんキャラではありません。
極寒のアイスランドでお人よしの父、
病弱な母、まだ戦力外の弟を抱えて
日々奮闘する彼女。
理想論や感傷にひたることは
絶対にありません。
だからこそ、ユルヴァが1度だけ涙した時には
胸に来るものがありました。
幸い、トルフィンがアイスランドに
一時帰郷した際に再登場がありました。
しかしその辺の男よりずっと頼りになるんだし
いっそ乗船してしまえばいいのにと
思うのは私だけではないはずです。
血生臭ささとほのぼの日常が楽しめる作品
バトルやイベントのみならず日常を
しっかり描いてくれている作品です。
穏やかな時間が好きな方も
意外と楽しめると思います。
ちょっと血生臭いほのぼの日常。
萌えキャラ女の子ではなく
傷やヒゲだらけのおっさんで楽しむのも
乙なものではないでしょうか?