タイトル | 今日からヒットマン |
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原作・漫画 | むとうひろし |
出版社 | 日本文芸社 |
平凡なサラリーマンが暗殺者から
脅しを受けてヒットマンに転身!?
会社員と殺し屋のダブルワークという、
他にはない極めて斬新な設定と、
迫力あるアクションが胸を熱くする、
映画にもなった大人気アウトロー作品です。
今日からヒットマンのあらすじ紹介
平凡なサラリーマン稲葉十吉。
まだ新婚で部下からの受けが良く、
取引先とも話ができる中堅社員でしたが、
深夜高層現場に居合わせ、
暗殺者「二丁」に脅されたために
裏の社会と関わりを持ってしまいます。
しかも重傷を負い、恋人を囚われた二丁は、
「条件付き」の依頼をした上に
息を引き取ってしまったため、
やむなく稲葉は現場に向かい、
二丁の恋人、ちなつを助けることに。
機転がきいたこともあって窮地を
うまく脱出できた稲葉ですが、
それは後々まで続く、暗殺者生活の
始まりに過ぎなかったのです。
今日からヒットマンのネタバレと今後の展開は?
平凡な新婚サラリーマン、稲葉十吉。
三十四歳の会社員として、部下をフォローし
営業先にも積極的にモーションをかけるなど、
なかなか有能な働きを示していました。
しかし、仕事の関係で深夜まで酒を飲み、
車を運転しているところで、
強烈な現場に遭遇します。
人をひき殺したかと思った稲葉ですが、
実はそれは事故ではなく悪人たちの
抗争現場でした。
稲葉は生き残った男に銃を突きつけられ、
彼の指示通り車に死体を乗せて
再び動き出すことに。
もっとも生き残った彼も銃で撃たれて
大出血しており、フラフラの状態で
稲葉に「殺し屋の心得」を喋り始めます。
そして、その心得が四十数項目に
到達したところで男は、
二十四時間営業の犯罪集団「コンビニ」と、
そこにつながる特別な携帯の存在を明かします。
そして、六時間以内に標的が死なず、かつ
自分の女が助からなかったら、
稲葉と家族を皆殺しにしてくれと言い残し、
男はこの世を去ることになります。
稲葉は殺し屋「二丁」の「代打」として、
ちなつという女性を救出することになりますが、
そこで彼女は沢山のワルに囲まれており、
稲葉も暴力を受けることになります。
絶望的な状況ですが、
股間に忍ばせていた銃と機転により
敵を倒し何とか稲葉は窮地を脱します。
しかし本物の「二丁」が金を持ち逃げされ、
「現場」の片付けにも大金がかかる状況で、
暴力をちらつかされた脅しを受けた稲葉は、
やむなく暗殺者を続けることになります。
今日からヒットマンの読んでみた感想・評価
まさか、という感じの導入から、
血湧き肉おどるような展開で
胸が熱くなってしまいましたね。
言ってみればプロ中のプロが
その役を担うのが常識である
暗殺者の世界。
そこに平凡で穏健な
サラリーマンが入っていく展開に、
正直かなりビックリしました。
しかし、出オチ系の話と思いきや、
バトル描写は迫力たっぷり、
稲葉さんの方には「仕事」をする
理由も十分にあって、どんどん
物語に入り込んでいけました。
その背景も環境も、性格すら
およそ暗殺者的ではないからこそ、
かえって異常極まる世界に
順応していけたのかも知れません。
戦いの方も真っ向からの
衝突的な激戦ではなく、
心理の隙を突いたり、実力以外の
運のようなものが絡んだりと
いかにも暗殺者的で熱かったですね。
しかし全国チェーンの商店のように
暗殺組織がある世界というのも
個人的にはごめん被りたいですが、
だからこそ稲葉さんの方も
仕事が切れず「利用価値」が
残った部分も否定しがたいです。
「コンビニ」に属する
他のメンバーたちも魅力的で、
良い意味で暗殺者的でないのも良いですね。
今日からヒットマンはこんな方におすすめな作品!必見
いわゆる創作の世界で大人気なのが、
暗殺者やヒットマンという職種です。
老若男女様々な暗殺者を作品内で
見てきましたが、そのほとんどは
「家族」がいなかったですね。
「ゴルゴ13」があまりにも有名ですが、
「殺し」という非合法でも強烈な分野を
担当するだけに、「他人」を
身近に置きたくないという気持ちも
ごくごく妥当だと言えます。
しかし本作の稲葉さんは、
典型的な巻き込まれ型とは言え、
会社員と暗殺者の二つの顔を、
常に持ち続けることになり、
奥様との温かい生活を続ける形です。
他の暗殺者系作品では
どうしても味わえなかった心の交流が
存分に楽しめるという点で本作は、
まったくの新機軸であり
心理描写という点でも秀逸です。
また、守るべき家族がいる特殊事情から
完全に巻き込まれ型の稲葉さんも、
職業的とも言える勤勉性を発揮し、
どんどんと暗殺の「仕事」が
上達していくという構図も
なかなかに新鮮でした。
家族や守る対象がいるから
強くなれるという説得力ある展開を
無理なく見せられているという点で、
本作は究極の非日常である一方、
日常ものの面白さが出せていますね。
とは言え、どんな事情があろうと、
決して誇れる仕事ではないのも
確かなこととも思いますが……。