タイトル | 伝説の少女 |
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原作・漫画 | 明石典子 美村あきの |
出版社 | 講談社 |
元気な女子中学生、未来は、
病弱な双子の姉、永遠の思いを
引き継ぎオーディションに臨むが……。
姉のための「替え玉」が発端という
極めて異色のヒロインと、
ハードで熱い展開が連続していく、
異色のスター誕生ストーリーです。
伝説の少女のあらすじ紹介
上條未来は元気な女の子。
しかし体の弱い双子の姉、永遠が、
命懸けで受けてきたオーディションを
引き継ぐ形で芸能界に参戦し、
そこで業界人の注目を浴びます。
彼らは素人の未来に対して、
計略を使ってまで囲い込み、
映画デビューをさせようと目論見ますが、
その作品には未来が思ってもみなかった
ハードなシーンが含まれていたのです。
しかし永遠の思いもあるからと、
必死の思い出撮影をやり遂げた未来は、
周りからの予想外の評価に、
翻弄されることになるのでした。
伝説の少女のネタバレと今後の展開は?
元気な女子中学生、上條未来。
彼女には仲の良い永遠という
双子の姉がいました。
永遠は体が弱く、ずっと病院で
暮らしている娘であり、
母親の心配と愛情を、
一身に受けてもいました。
未来としてはそんな永遠が
羨ましくもありましたが、
最愛の姉という思いは変わらず、
彼女のためなら何でも
してやれる気でいたところ、
永遠からある頼みごとをされます。
それは服を入れ替えて、
永遠を外出させること。
心臓が弱い永遠にとっては
簡単なことではありませんが、
未来は外出していき、
しかもその用事は、
オーディションを受けるという
ハードなものでした。
永遠は無事病室に戻ってきましたが、
そこで倒れ込んでしまい、
二人の企てがバレてしまいます。
激しく怒られる未来でしたが、
息も絶え絶えの永遠に懇願され、
最終オーディションに参加します。
永遠にとっての夢を何とか現実にと
素人ながらも全力で
課題に立ち向かう未来ですが、
そこで思ってもみない展開に
直面することになるのでした。
伝説の少女の読んでみた感想・評価
「替え玉受験」をきっかけに
いきなりスターになったという
ラッキー少女を主人公にしつつ、
明るく楽しいと言うよりは、
シビアでハードなスターの世界を
あますところなく描いた良作です。
本作の特徴は、主人公の未来に、
元々まったくモチベーションが
なかったところが挙げられます。
小さい頃から夢に見続け、
協力的な保護者とともに、
常にレッスンし続けても、
達成できるかどうか分からない、
それがスターダムの世界なのに、
未来はすぐに勝ち抜くんですね。
とは言え当然それは相応の
「代償」を伴うものでもあり、
未来にとってはキツい話で、
しかし相手が堂々と来る以上、
断るのも難しく、読んでいて
かなりハラハラしました。
また、多くの作品だったら、
苦労を重ねて成功したなら、
多くの場合、賞賛を手にし、
とりあえずはハッピーと
なっていくものなのですが、
本作はむしろ逆なんですね。
理不尽な話ではありますが、
しかしそこがリアルでもあり、
芸能界の怖さへの実感がありました。
一方、キツい条件ではありますが、
売り出そうとする側には
熱心さはあっても「害意」はなく、
だからこそ後味の悪さは少なく、
厳しい社会だからこその熱度を
存分に満喫することができました。
伝説の少女はこんな方におすすめな作品!必見
サイト、ブログ、そしてSNS……、
今や誰もが世界中に「自分」を発信し、
その魅力をアピールできる時代です。
それは著名人、タレントやアイドルでも
例外ではなく、多くの優れた芸能人は、
思いのまま自分をアピールしていき、
そのことをさらに「仕事」へと
つなげているような感があります。
しかしそれ以前の芸能界では、
俳優やタレント志望者は常に
「受け身」になるしかない面があり、
だからこそ無理を通してくれる
ステージママやスタッフの
力が大きかったのも事実です。
本作はそんな現在よりもずっと
厳しかったとも言える芸能界に、
若くして亡くなった姉の思いを、
代弁する形でオーディションに
挑む形になった未来が主人公で、
そのため「受動的」なのが特徴です。
燃えるような思いがあったわけでも、
下地があるわけでもない状況で、
撮影の条件や仕事はキツくて、
要求されるハードルも高くと、
「ラッキーガールの苦悩」を
赤裸々に描いています。
「ガラスの仮面」などの
演劇寄りの作品とはまた違う、
いきなり「スター」になった人の、
大変さなど、今までの作品では
あまり語られてこなかった物語を
読みたい方にはオススメです。
また、定番で「古典的」な部分も
含まれていますが、時代背景的に、
それがギリギリ「通る」状況なのも、
ディティールを損ねていない面では、
非常に好評価ができました。