タイトル | 僕らの恋は死にいたる病のようで |
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原作・漫画 | 車谷晴子 |
出版社 | 小学館 |
高校生にして将来を誓い合う、
幼馴染でラブラブカップルの
紅子と空。
しかし空が紅子をかばう形で
交通事故で亡くなったことで、
紅子は復讐を味わうことに……。
幼馴染で双子といった、
定番性のある設定からは
想像もできないようなハードさが、
次々と襲いかかってくる、
新感覚愛憎系恋物語です。
僕らの恋は死にいたる病のようでのあらすじ紹介
まだ高校一年生ながら、
将来の結婚までも誓い合う
ラブラブカップルの紅子と空。
しかし空は紅子をかばう形で
トラックにひかれて亡くなり、
紅子は激しく傷つくとともに、
空の双子の弟である海に、
激しくなじられることになります。
そしてひと月以上経って、
ようやく落ち着いた紅子が
学校に出てみると、
別の学校に通っていたはずの海が
何故か転校してきており、
しかも空のように振る舞っていました。
海の「本性」を知る紅子からすれば
あまりにも唐突な変身でしたが、
そこには最愛の兄を亡くした弟の、
恐るべき愛憎が込められていたのです。
僕らの恋は死にいたる病のようでのネタバレと今後の展開は?
まだ高校一年生ながら、
家が隣同士の幼馴染なこともあり、
四年も付き合っている、
喜多川紅子と瀬野空。
二人は完璧なラブラブカップルで、
周りからも公認された仲でしたが、
紅子が十六歳になった日には、
空からは初めての指輪とともに
十八歳になったらと、
結婚の申し込みまでされることに。
紅子はすぐさま快諾し、まさに
幸せの絶頂にいたのですが、
それから日を置かず空は、
紅子をかばう形で
トラックにひかれてしまい
亡くなってしまいます。
最愛の人を急に失い、
放心状態になった紅子は、
葬儀の場で久しぶりに、
空の双子の弟である海と
再会を果たします。
海は事故の「原因」となった
紅子を激しくなじり、
紅子もまた納得していましたが、
精神が限界に達し気を失います。
それからひと月以上経って、
ようやく学校に出た紅子の前に、
「転校生」として海が現れ、
空と同じ風貌になった彼は
何故か態度までも空同様になり、
紅子に話しかけてくるのでした。
しかし海の本性は、
空と同様というわけではなく、
態度の急変には狙いがありました。
僕らの恋は死にいたる病のようでの読んでみた感想・評価
王道定番の三角関係ものかと思いきや、
予想外の急展開あり、
ハードな性的描写もありで、
ドキドキ感満載の一作でした。
本作のポイントは第一に
「意外性」があると言えます。
紅子と空という高校生カップルが、
まだ高校生の段階で結婚の意思を
固く持っているのもやや意外ですが、
まったく円満だったはずの二人が
交通事故死という形で
引き裂かれてしまうんですね。
しかもそれは紅子にも
「原因」があるかのような形で、
だから決して「楽」にはなれません。
ほとんどの作品では、
「死」をきっかけに手を取り合って、
将来に向かって進む感じになりますが、
本作では空の急な死が、まるで
トラウマを呼び覚ますように
二人にのしかかってきます。
その「呪縛」の強力さは、
非常に斬新ながらもリアルであり、
非道系キャラの海に対しても、
同情できる部分が多く、
ドキドキしながら
読み進めることができました。
また、画力が非常に高く、
かつセクシーですので、
冒頭からのエッチな展開にも、
目が釘付けになりつつも、
どぎつい感じを抱かずに
楽しむこともできましたね。
僕らの恋は死にいたる病のようではこんな方におすすめな作品!必見
兄弟や姉妹、とりわけ双子のが、
同じ子を好きになってしまう物語は、
歴史的名作「タッチ」を筆頭に、
様々な作品で描かれてきましたが、
やはり恋という独占欲がある以上、
双子でも微妙な雰囲気になりがちです。
しかし一方で恋人と兄弟は
比べることができない大切な人間であり、
本作は双子の弟である海が、
兄である空の恋人にして幼馴染でもある
紅子が「原因」で亡くなったと思い、
激しい憎しみと情熱をぶつけてきます。
多くの兄弟姉妹が絡む三角関係作品では、
踏み込めなかったハードな領域での責めを
堪能したい方にはオススメできる作品です。
また本作は、「弱み」を持つ紅子が、
海にいたぶられる展開でありながらも、
互いに最愛の人を亡くし傷ついており、
深い部分では共感するところがあったりと
人間的に深い部分に関しても
踏み込んでいるのも魅力だと言えます。
子供の頃の愛憎が生み出すラブコメや
対等な形でのぶつかり合いなどの
王道的展開を予想させる冒頭からは、
まったく異なる方向で展開されていく、
意外かつハードな世界観は、
他の作品にはないものがあります。
また、エッチでセクシーなシーンも
魅力的に描き切ってくれる、
色っぽい画風の素晴らしさも、
作品の熱をよりはっきりと
読み手に伝えてくれており、
ドキドキ度数もアップという感じです。