タイトル | 同居 |
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原作・漫画 | BSさん |
出版社 | Rush! |
漫画家志望の川下慎之介は、
旧友虎井倫太郎からの電話を受け、
その彼女と三人で暮らし始めることに。
しかし倫太郎の彼女、由衣は、
他の女の子とはまったく違う
独特の魅力があり……。
いわゆる「落ちもの」系の中でも
日常的な感覚が堪能できる、
新感覚の作品です。
同居のあらすじ紹介
21歳の若者、川下慎之介。
漫画家を目指し作品を描く一方で、
バイトを掛け持ちしてこなし、
女性にも関心を抱いていくなど、
とにかく精力的な青年でした。
とは言え恋愛に関しては、
肝心なところで「男扱い」されず、
失敗を繰り返す冴えない日々でしたが、
ある日学生時代の悪友、倫太郎から
住むところがないからと
同居を要請する電話が。
しかし来るのは倫太郎だけでなく、
彼の彼女も一緒だったため、
唐突に女性との同居が始まるのでした。
同居のネタバレと今後の展開は?
21歳の川下慎之介。
漫画家を志望しており、
漫画を描く傍らバイトをかけもちし、
親の仕送りなしで自活する、
なかなかガッツのある若者です。
しかし、恋に関しては失敗続き。
女の子と仲良くはなるものの、
肝心なところではぐらかされ、
付き合うという段階には至りません。
そんなある日唐突に、昔の仲間、
虎井倫太郎から電話がかかってきます。
彼はかつて、問題が多く、
先生さえもワルさを隠さないような
ハードな学校で、
最強の存在として君臨した、
恐るべき存在でした。
しかし何故か慎之介を連れ回し
接点が多かったという過去もあり、
今回もまた電話してきたのです。
倫太郎は、住むところがないから
少しの間置いてくれと言った上で、
彼女も一緒だと告げてきました。
女性に縁がない慎之介にとっては
異性との同居はおいしい展開ですが、
恐ろしい倫太郎の彼女となれば、
楽しみにする余地などありません。
再会した倫太郎は以前よりもさらに
イカつい肉体を有していましたが、
一方の彼女の由衣は、
ルックスもスタイルも抜群、
しかもどこか今時風の女性とは違う、
「隙」のあるタイプでもありました。
しかも倫太郎とはラブラブとなれば、
慎之介の気持ちも盛り上がりますが、
当然付け入る余地などありません。
しかし、謎の外出を繰り返していた
倫太郎が、意味深な言葉とともに
慎之介たちのもとを去ってから、
一切音沙汰がなくなり、
慎之介は由衣との奇妙な二人暮らしを
始めることになっていくのでした。
同居の読んでみた感想・評価
うーん、やっぱりこうなるのか、と
結構羨ましい条件ながら、
慎之介に同情してしまいました。
主人公の慎之介は漫画家を目指す
バイト青年。
前提なく女の子が家に転がり込む、
いわゆる「落ちもの」系作品の
王道に沿った感じの人ですが、
一方で彼は妙な求心力があるようで、
可愛い女の子たちにいいように
扱われ続けたり、
イカつい不良である倫太郎にも
色々と絡まれていました。
そうしたタイプの人ですと、
大人になってからもごく自然に
人に頼られてしまうんですね。
彼女込みで家に転がり込むという
極めてハードな提案を受けるあたり
お人好しでもあるようです。
一方の倫太郎は物静かですが
相当な俺様タイプ。
目をかけていた慎之介を
ボコボコにしたこともあり、
しかもそんな過去がありながら、
彼女込みで家に置いてくれと
言ってくるのですから、
大体性格も察しがつきます。
さらにマイペースな由衣さんまで
加わってくるのですから、
慎之介の気苦労はかなりのもので、
オイシいシチュエーションですが
かなり同情できてしまいました。
しかし、ルックススタイル共に
抜群なのにも関わらず、
今風とは程遠い由衣さんは、
その自堕落な感じが
かえって癒しになっていました。
謎に包まれた倫太郎の素性や
由衣さんとの関係等々、
後々まで気になる要素も多く、
読み進めるのが楽しみな作品です。
同居はこんな方におすすめな作品!必見
冴えない日常を過ごしているところに、
いきなり女の子がやってくる、
「落ちもの」系の話は、非常に多くの
ジャンルがあるのが特徴ですが、
「前提」がない分どんな話でもいける反面、
現実感が薄れがちなのが難点です。
異世界から可愛い美少女系キャラが、
というような展開は嬉しい反面、
読者としては感情移入しにくく、
だからこそ「味付け」をかなりうまく
やっていく必要が出てきます。
その点本作は謎の友人が
彼女込みで転がり込んできたという、
現実感がある「落ちもの」で、
非日常にもリアル感を求める
読み手にはまさに打ってつけの
シチュエーションと言えます。
また、同時に、いきなり家に
ヤバい系の知人が同居してきた
主人公の戸惑いや恐怖、
いくら魅力的であっても、
由衣さんには手を出せないが故の
悶々とした感じが実にリアルです。
嬉しいだけじゃない、というか、
現実だったら折れてしまいそうな
ハードな状況でも割と元気に、
日常をやり過ごす慎之介のタフさも
見ていて頼もしいものがあり、
読み手は純粋に楽しめます。
現実的な「オイシさ」と「迷惑感」を
完璧に描いているという点で、
日常系漫画としてもいい感じですし、
何よりドライかつ完成度の高い絵柄が、
由衣さんの魅力を最大限に
引き出しているのもいいですね。