タイトル | 善悪の屑 |
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原作・漫画 | 渡邊ダイスケ |
出版社 | 少年画報社 |
とある小さな古本屋で、
客が店員に本の値段を訊く。
するとその店員の男は、こう訊き返す。
「いくら払えるの?」
男が客に問うのは、客が依頼する【復讐料】。
そう、彼の職業は古本屋店主であり、
【復讐屋】なのである。
そんな彼の復讐手段とは…?
一度目にすると忘れることのできないほど、
エグい描写が連続するバイオレンスコミック!
善悪の屑のあらすじ紹介
丸刈り頭でグラサン、額にはワケありの傷、
服はヒョウ柄のパーカー。
そんな、古本屋の店主には到底見えない男が
カウンターに座っている。
そしてその奥の部屋には、関西弁を話す
一見遊び人のような風貌の男が寝そべる。
そんなフツーではなさそうな古本屋には、
やはりフツーではない客が訪れる。
・決して許される事ではない。
・でもそれでもいい。
・あのクズに復讐したい。
そこまでの覚悟を決めた依頼人が、
最後にすがるのが彼ら【復讐屋】である。
依頼人は、復習に至るまでの凄惨な経緯を
涙ながらに彼に語る。
その内容とは…?
善悪の屑のネタバレと結末(最終回)は?
依頼人である女性の復讐の対象は、
自分を陵辱し、自分の息子を惨殺した男だった。
7年前、彼女の家に宅配業者を装って侵入した男は
欲望のままに彼女を襲い、犯そうとする。
そこへ、当時1歳半の男の子が、
母親の姿を追い、近寄ってきた。
泣き叫ぶその男の子を、
男は何のためらいもなく4階の窓から投げ捨てる。
そして、女性の腹を刺し、犯す。
体内に残ったその精液から男は逮捕された。
しかし、犯行当時男は未成年であったため、
たった数年で出所してしまう。
なぜ、何もしていない子供が殺されたのに
その命を奪ったクズがのうのうと生きているのだろう?
以上が依頼人の、復讐に至る経緯だった。
依頼に耳を傾けるグラサンの店主(カモ)と、
一見遊び人のように見える相棒(トラ)。
カモは依頼を任務として冷静に計画的に遂行する。
時には思わず吐き気を催すほど、
強烈で残忍ともいえる手段をとる。
トラは人情に厚く、
カモの残忍な手段に嫌悪感を抱いている。
そんな二人を動かすのは、カネではなく
「クズ野郎だけは絶対に許せない」という信念である。
出所した元少年を待ち伏せする二人。
トラが襲いかかるが、
突っ走ってすぐにトドメを刺そうとする。
カモがそれを制し、元少年の身体の自由を奪う。
そしてカモによる、実に残忍な手段で
復習は遂行されていく…。
善悪の屑の読んでみた感想・評価
この作品を読み始めて、
すぐに頭に浮かんだ実在の事件があります。
光市母子殺害事件です。
私はあの事件に大きな関心を持っていたので、
瞬時にこのマンガに入り込めました。
全く無関係な幼い子の命が奪われたこと。
母親が性的暴行を受けたこと。
犯人が未成年で、少年法の恩恵を受けたこと。
共通することがたくさんありました。
そして、あの事件で一番印象に残ったのが、
「僕がこの手で殺すから連れてきてくれ」という
被害者の夫(子供の父親)の一言でした。
復讐してやる、という激しい感情を
公共の電波を通して打ち明けたわけです。
それまで非現実的だった復讐という概念が、
一気に現実的なものとして姿を現しました。
自分がもし同じ状況に置かれたら、
何をしてでも犯人に同等かそれ以上の苦しみを
味わわせたくなるかもしれません。
カモによる復讐手段は、そういう苦しみを
実にリアルに描写しています。
眼球を焼くのは序の口。
電車の中で読んでいた私がおもわず「ヴッ」と
声に出してしまったほどです。
しかし、ネコがしっかりなついていたり、
依頼者の悲しみを慮る様子を見せるカモ。
おばあちゃんに気さくに声をかけたり、
人情味あふれるトラ。
二人のこういった人物描写も散見されるので、
少なからず親近感を覚えることができます。
次々と登場するさまざまなクズ達に、
カモとトラがどのような復讐をするのか?
ページをめくる手が止まりません!
この作品のようなグロありで
人間の汚い部分などを表現しているのが
『闇金ウシジマくん』です。
作風が似ているので善悪の屍が好きな方は
見る価値アリです。
もちろん同じ作者さんの
『外道の歌』も間違いなくハマります。
こんな方におすすめな作品!必見
この作品は、クズ野郎たちのクズっぷりが
本当に胸糞悪くなるほどで、ある意味見事です。
そして、そのクズ達に味わわせるカモの復讐手段も
本当にエグいのです。
その描写には賛否両論あるかと思いますが、
えげつない描写に免疫がある方なら
どなたでも入っていける作品です。
特にオススメできるのは、以下のような方です。
・拷問や暴力シーンが好きな方(いない?)
・勧善懲悪ものが好きな方
作風は青年向けです。
二十歳以上の男性がメインの読者層になります。
前述しましたが、とにかくエグいのです。
・クズによる被害者への非道っぷり。
・カモによるクズ達への容赦の無さ。
身体の一部を切断され、
それを口の中に押し込まれる。
作中に登場するシーンの一例です。
このような描写が全然平気だ、という方には
安心してオススメできます。
また、この作品は一見重い話に思えますが、
復讐行為中は爽快感のようなものが
得られることもあります。
それは恐らく、それだけ標的のクズ達が
同情の余地のかけらも無いほどの
クズだからだと思います。
私は何気なく読んでみた1巻を読み終えた後、
その続きをその日のうちに読んでしまいました。
止めることができなかったからです。
このような読者の方が、私以外にも
多くいらっしゃることでしょう。