タイトル | 夜騎士物語 |
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原作・漫画 | 新堂冬樹 早川ナオヤ |
出版社 | 双葉社 |
王国宮殿風ホストクラブとして、
夜の世界でも有名な「夜騎士」。
そこのナンバー1ホストである心は、
誠実かつ紳士的な仕事ぶりを
続けていたものの、
ある男の登場により、
違う顔を見せていくことに……。
このジャンルの醍醐味や
定番をフルに見せながらも、
ただならぬリアルさと存在感が、
他とは違う世界を見せている、
ハードかつタフなホストもの漫画です。
夜騎士物語のあらすじ紹介
夜の街でも有名な、
宮殿風ホストクラブ「夜騎士」。
そのナンバー1を独創するのは心。
彼は、客とベッドを共にする、
いわゆる「枕」はもちろんのこと、
売り上げのための無理な営業もかけず、
その自然体な態度が周りからも
評価され尊敬されてきました。
父親もまたホストであり、
熱を上げた客に刺殺されたという
悲しい過去を持つ彼にとっては、
心ないやり方は身を滅ぼすと、
教訓として胸に刻んでいたのでした。
しかしオーナーが六本木の店から
スカウトしてきた天才、流華の存在が、
心にも影響を与えていきます。
夜騎士物語のネタバレと今後の展開は?
王国の宮殿をイメージしたような
ホストクラブ「夜騎士」。
夜の街でもメジャーな「名店」である
この場所にあって、客とは決して寝ず、
無理な営業もせずに、
トップを独走し続けるのが
若いホスト「心」でした。
心はカッコ付けではなく本心から、
客が無理して高いお酒を入れるのを
嫌がったり、部下を手足のように使い、
売り上げを伸ばしたりもしない
超変わり種のホストでしたが、
客たちにはとても受けていました。
実は心の父親もホストをしており、
一方で妻子を持っていましたが、
その「仕事ぶり」が原因となって、
客の女性に刺殺されたという、
暗い過去があり、それが
仕事に影響していたのでした。
母親の猛反対を押し切り、
ホストになった心ですが、
誰にでも優しく公平であり、
しかも決して無理させず、
だからこそ場を収めるだけの
魅力となっていました。
それはつまり心自身が、
普段の自分を見失わず、
仕事に入れたからでもありましたが、
他店で物凄い実績を作り、
「夜騎士」に引き抜かれてきた流華が
店に加わってきました。
やたらと勝気で挑戦的な流華ですが、
何故か心の父親についても知っており、
このある種の天才の出現が、
ずっと自分を保ってきた心にも
「変化」のきっかけに
なっていくのでした。
夜騎士物語の読んでみた感想・評価
今まで「ぎらぎら」など、
様々なホストもの作品を
読んできた私ですが、
そのどれとも違う、
存在感を強烈に
味わうことができましたね。
実際にホストクラブに行こうとは
思わない読者であっても、
読んでいて楽しいのが「ホストもの」です。
学歴も家柄も関係ないという、
完全な実力勝負の世界の中で、
上を目指して進んでいくこのジャンルは、
必然的にお金だけではなく、
お客の心も掴んでいくために、
成功してみせた感が強烈なんですね。
そんなホストものの中でも、
ひときわ「説得力」を
前面に出してみせたのが本作です。
お客の携帯の扱い方から、
コールのタイミングやテンポに至るまで、
本作の細部にまで「プロ」の配慮が、
読者にも示されています。
普通のお店とは違い、短時間で
札束が飛び交うようなこともある
「究極の場」だけに、必然だと、
結論することもできますが、
その巧さは、内情を知っていても
ドキドキさせられるものがあります。
また、その強烈な場の中にあっても、
決して「枕」や無理な「営業」も行わず、
高額な酒がオーダーされることを、
嫌がってさえいるように見える、
主人公の心の異質さは、ほとんど
有り得ないほどに見えます。
しかしその「非現実」を
リアルに感じさせてしまうような
重い背景や信念、そして能力が、
心にはあるので、読んでいても
無茶を感じず、思わず
引き込まれてしまうんですね。
加えて言えば、本作のトップ層は
ホストの「基本」を守りながらも
その個性は強烈で、
トップに立つような人というのは
存在感からして違うのだなと
思ってしまいましたね。
夜騎士物語はこんな方におすすめな作品!必見
華やかな夜の世界の中でも、
時にはごく短い時間で数百万以上もの
大金が飛び交うホストクラブ。
「前提」が無くても職に就ける、
若くてものし上がれるために、
現実はもちろん創作上であっても、
様々な立身出世物語の題材として
描かれてきたジャンルだと言えます。
しかし、いくら女性向けには
他の風俗産業が少ないとは言え、
必死で稼いだりしただろう大金を、
何故他人である彼らに容易く、
貢いでしまうのはという部分は
あまり描かれていませんでした。
その点本作は、様々な危険な「裏」の
世界を作品にしてきた
新堂先生の原作であり、
単純なコール一つを取っても
思わず流されてしまいそうなほどの
危険さと魅力で満ちています。
また、父親がその職業によって、
命を奪われたホストでありながら、
自分もホストの道に入って、
「枕」も強引な「営業」も
一切なしでトップに立つ心にも
独特の魅力があります。
従来の作品とは一味違った、
夜のスター、ホストたちが
満喫できるだけでなく、
リアル感においても格別な本作は、
男性にこそオススメできる
熱くハードな作品と言えます。
ともすれば少年誌的な
ゴツゴツした衝突になりそうな
展開にも陥るのですが、
そこに新堂作品ならではの、
クールなリアルが加わり、
絶妙な均衡があるのもいいですね。