タイトル | 孤独のグルメ |
---|---|
原作・漫画 | 谷口ジロー・久住昌之 |
出版社 | 扶桑社 |
雑貨輸入商・井之頭五郎(いのがしら・ごろう)
の食事を綴る物語。
空腹時、ふと立ち寄るありふれた町の食堂で、
憩いの一時を味わう彼の食事の時間。
騒がしい雑踏と、あくせくと蠢く
人の波の合間に満たす空腹の癒し。
孤独の調味料が料理を引き立たせる
物語「孤独のグルメ」について!
孤独のグルメあらすじ紹介
その日、東京都台東区山谷に
井之頭五郎(いのがしら・ごろう)は訪れていた。
南千住に輸入した雑貨を入れて置く
倉庫を見繕いに訪れる。
格安の触れ込みを通り越すほどに、
倉庫はボロボロに荒れている。
隅田川が傍にあるせいか、
錆やカビなどが目立つ。
雑貨を仕舞うには不便な場所だった。
無駄足を踏み、帰途を急ぐも
下町の雑踏に迷い込んでしまい、
追い打ちに雨までが降り落ちてくる。
そして腹も空いていたと、
追い打ちは重なっていく。
雨宿りにアーケード街に入り込むも、
雑踏の波は止むことは無く、
焦る気持ちを抑え込みながら進んでいく。
手ごろなめし屋を見つけるが、
店員が怒鳴り声をあげ、
客を追い払うと、自分が望む店ではなかった。
静かに食事を楽しめるめし屋を探す五郎は、
アーケード街を進んでいく。
手ごろな店に出会う事は無く、
引き返すにしても同じ顔が
うろついていたら目立ってしまう。
仕方なく雨の中を
走り進んでめし屋を探していく。
手頃の店は無いかと探す中、
彼は一軒の店を気に留める。
はたして、彼の食欲は満たされるのか?
孤独のグルメネタバレ・今後の展開
雨の中をようやくにしてたどり着いた定食屋で
食事を済ませようとした五郎。
店内へと入りますが、
スーツ姿の彼は注目を浴びてしまいます。
落ち着かない気持ちのまま、動じずに、
手ごろな席へと座り、
まずはメニューを確認します。
オムレツに目玉焼きと、
無難なメニューが立ち並び、
何にしようかと悩みます。
その中で目についたのが、
ぶた肉いため(400円)とライスに
自家製のおしんこと豚汁のセットでした。
注文した事で気持ちに
四鳥が持てた五郎。
店内を見回してみると、
全員が帽子をかぶり、
ある種の美意識を感じてしまいます。
その中の一人が持ち帰りと、
ライスと豚汁を注文するのを見る。
持ち帰りもあるのかと、定食屋で食べずに、
自宅で食べる客の多さに、少し驚きます。
中にはライス無しと、
家で炊いた飯を食べるのか。
奇妙な疑問を抱く中で、
五郎の注文したメニューが出されます。
豚肉いためは、五郎が何気に想像していた
豚肉入りの野菜炒めではなかった。
豚肉のみを炒めたもので、
少量の千切りキャベツと練りからしが添えられた、
豚肉をメインにした料理でした。
でも豚汁も豆腐と豚肉のみと、
ボリュームのある汁物。
単品おかずとして十分なくらいに
汁と具だくさんの逸品でした。
豚肉がダブって後悔しながらも、
ナスのおしんこのうまい漬かり具合と、
豚肉が中心となる料理に奇妙な
爽やかさを演出してくれる。
そんな料理に彼は空腹を癒していきます。
孤独のグルメ読んでみた感想・評価
味の伝わる漫画作品の中で、
グルメ漫画を代表し、
今もなおも人気を博す。
食事系グルメ漫画作品の中で、
独特な存在感と異彩を放つ作品が、
この孤独のグルメです。
主人公の井之頭五郎(いのがしら・ごろう)が、
ふと立ち寄った飯屋や食堂で過ごす、
少しの合間に魅せる、
食事の味を見て楽しめる作品。
それがこの漫画の持ち味でもあります。
一見すれば、ただ中年の男性が
食事をしているだけの作品と思われがち。
ただ空腹時に満たされる食事をすると、
その料理の食べ方に
思わず見惚れてしまいます。
見ていればそれを本当に
食べたくなってしまう程に、
食事へのこだわりが綴られています。
読者に主人公の食べる料理の味を
伝えてくれる内容は、
何を食べようかと食事に迷う時に、
自分は何を食べたいのか。
それを如実に教えてくれる作品でもあります。
またこの物語の主人公の井之頭五郎の
独特なキャラクター性も
魅力の一つとなっています。
個人で輸入雑貨の貿易商を営み、
かつては沢山の恋愛を経験する。
どれも成就できず、結婚を重く考えながら、
自分だけの時間と人生を過ごし、生きていく彼。
仕事の忙しさに追われるも、
気楽な人生で少し満足しながら、
どこか満たされない。
その合間に行う食事に、
幸せを見出す彼の人生スタイル。
何故かカッコよく、そして渋く思える、
そんな中年の男性の食事風景が、見て楽しめ、
そして味わえる内容の深い、漫画作品。
これが孤独のグルメの面白さとも言えます。
食事の作る楽しさや、料理への想いよりも、
食べる事、味を楽しむ作品です。
食へのゆとりを教えてくれる作品
中年で日々の仕事に追われ、忙しく、
食事を楽しみたい人にまず読んでほしいです。
食へのゆとりを教えてくれる作品が、
この「孤独のグルメ」です。
この作品は、今までにあったグルメ漫画みたく、
主人公が熱い料理バトルや
料理のうんちくを講じることはありません。
食事の硬いイメージや、
料理バトルがグルメ漫画の基本だと、
そんな概念と一線置いたのが、
この作品の登場の切っ掛けでもありました。
この物語の主人公である
井之頭五郎(いのがしら・ごろう)は、
この作品の中では、決して料理はしません。
ただ飯屋に行き、食堂へ行き、
そこで飯を食べるだけの漫画作品。
グルメを楽しむ側で描かれている作品と、
それまでのグルメ漫画とは
違う形の作品となりました。
それまでは料理を食べるだけで、
味が伝わる作品や、食事への情報や歴史を
演出していた作品が主流でした。
しかしただ食べる事に執着し、食事を思う様に楽しむと、
何気ないありふれた食事風景を演出する事が、
この作品御最大の魅力となりました。
料理を味わい食べ、空腹を満たされる
主人公の一時の幸せを描く。
そして中年男性の抱える人生観を
食事を通して伝えてくれます。
その独特なドラマ性などが話題を呼び、
多くの支持を受けたのが
この作品の持ち味とも言えます。
ドラマ化となり、多くの国々で
読まれるほどになります。
この作品を通して味わう事の出来る
料理への味と孤独な食事を楽しむ人生観。
見ればあなたの食事を
見出してくれる良作でもあります。