タイトル | 学校の怪談 アブナイ女教師篇 |
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原作・漫画 | 破邪 |
出版社 | ぶんか社 |
臨時化学教師の四条緑。
セクシーで魅力的な彼女には、
実はマッドサイエンティストという
恐るべき顔があり……。
物凄い知力を持った人が
「実力」で「学校の怪談」的な
大事件を次々に起こすという、
妖怪よりも人間が怖い現実を
まざまざと見せつけるような、
意欲的かつ斬新なホラー作品です。
学校の怪談 アブナイ女教師篇のあらすじ紹介
臨時の化学教師として
学校に赴任してきた、
四条緑。
ドイツ系の血を引くという彼女は、
特徴的な髪色にセクシーな美貌を持つ、
何とも魅力的な女性でしたが、
その一方でマッドサイエンティストの
一面を持っており、恐るべき技術で
様々な物を作り上げていました。
教師として、また人生の先輩として
悩める生徒たちの話を聞く彼女は、
助言ではなく強烈な効果を持つ、
独創的なアイテムを若者に渡し、
それが時に悲劇的な結末を
もたらすことにもなっていきます。
学校の怪談 アブナイ女教師篇のネタバレと今後の展開は?
太りやすい体質もあって、
「ニクジュバン」などと陰口を叩かれる、
女子生徒田村美雪は、
バケツを他の女生徒の頭に落とす現場を
臨時の化学教師、四条緑に見られます。
しかし美雪は反省することなく、
自分の体型のコンプレックスと、
他人への嫉妬を露わにしますが、
美雪はそんな彼女を叱らず、
体質を変える痩せ薬を
彼女にプレゼントします。
そして一週間後美雪、
別人のように細く美しくなりました。
しかしその代償として、
肉を食べられなくなってしまい、
食欲旺盛な美雪は苦しみます。
結果ある夜、我慢できなくなり、
残った肉をつまんだ美雪ですが、
幸いなことに体型に変化は出ず、
これなら安心と、以前のように
肉を食べるようになりました。
ただ美雪はその後、
生肉にもがっつくほどの
異様な食欲を見せたり、
ヤクザ風の男とぶつかって
凄まれてもろくに反応しなかったりと
内面的な変化が強く出てきます。
そして美雪は窮地に際し、
「薬」による恐るべき変化を
見せつけることになるのでした。
学校の怪談 アブナイ女教師篇の読んでみた感想・評価
トラブルがとかく多い学校で、
不思議な「道具」が大量に
流れたらどうなるかといった疑問に、
リアル感ある話の流れと
魅力的な絵柄と構成によって
応じてみせた意欲作です。
本作のポイントは何と言っても、
主人公の緑先生になります。
ほとんどの作品では
学校の怪談に値するような「事件」は、
わざと起こすものではなく、
怨霊や妖怪の類が、色々と
長い時間をかけたりして
作っていくものです。
しかし本作の緑先生は、
物騒な方面にただならぬ知識を持ち、
サクっと人に授ける形で、
悲惨な事件や、あるいは「怪談の種」を
「大量生産」していくわけですから、
その闇の深さには驚きました。
少なくとも彼女が持ち出す、
あからさまに厄介そうな品々より、
彼女の方がヤバそうなのは明らかですが、
しかし緑先生が提示する品は
実に心をくすぐる魅力があって、
ついつい手を出してしまうんですね。
他人をいじめてしまったり、
逆にオドオドと人目を気にするような
心が弱く、まだ経験の浅い若者が、
簡単に引っかかってしまうのも
納得と言える仕上がりです。
また緑先生が「正義」の側にいないのも、
本作に関しては正解だったと思います。
学校の怪談 アブナイ女教師篇はこんな方におすすめな作品!必見
学校にひっそりと居座り続け、
自分たちが勝手に定めたルールを
生徒たちが破るやいなや、一挙に、
その凶暴性を全開にしてくる、
「学校の怪談」の主たち。
まったく恐ろしく厄介な存在ですが、
ただ彼らは「伝統的」な価値観を持ち、
ルールを破らなければ実害がなく、
うまくやれば「共存」も
不可能ではなかったりします。
しかし、過程があるから結果が生じる、
つまり恐るべき能力を持っていれば、
妖怪でなくとも怪談を「生み出す」のも、
不可能でないわけで、本作の緑先生も
謎めくほどの科学力を総動員して
様々な物品を作り出しています。
寄生虫だったり幻覚剤だったりと
とにかくヤバそうな代物だっただけに、
使った人たちの末路もえげつないですが、
現代的な下地があるので、作品を、
読んでいる我々とすれば
納得できる部分もあります。
不思議な道具が大量に出てくるが、
結局ほどほどの結果に収まる
多くの作品には、ちょっと、
物足りなさを感じている方なら、
ホラーが苦手でも
波長が合うのではと思います。
もっとも、グロテスクな
人や物のシーンだけでなく
女性のルックスやスタイルなど、
お色気面も充実しているのは
良い意味で現代風で、
ワクワクもできるのが嬉しいですね。