タイトル | 寄宿学校のジュリエット |
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原作・漫画 | 金田陽介 |
出版社 | 講談社 |
東和国のリーダー犬塚と
ウェスト公国のペルシアは、
互いの陣営を先導する立場だが、
実はお互いに好き合っていた。
しかし毎日のように
バトルをし続ける両陣営の手前、
堂々とは付き合えず……。
「ロミオとジュリエット」的世界を
現代風のラブコメとして
新たに描き出した、
熱く明るくて楽しくもある、
ワイワイした雰囲気も嬉しい
注目のラブコメ作品です。
寄宿学校のジュリエットのあらすじ紹介
敵対国の子弟同士が通う学園。
寮が分かれているとは言え
常に顔を合わせる環境上、
常に揉め事は絶えず、
実力のある犬塚は東和国の
リーダーとして
周りから信頼されていました。
しかし犬塚は敵対する
ウェスト公国のペルシアが
好きで仕方がなく、
一方のペルシアもまた
犬塚を思っていました。
そこで二人は付き合うのですが、
もちろん大っぴらに態度を
示すことはできませんでした。
そこで犬塚は一計を案じ、
自分のところの制服を着せ、
さらにペルシアに男装させたりと、
あの手この手を使って、
二人の時間を作ろうともします。
寄宿学校のジュリエットのネタバレと今後の展開は?
たくさんの生徒を抱える
ダリア学園。
そこには東和国と
ウェスト公国という
二つの国の出身者がおり、
国同士が敵対関係なため、
絶えず生徒たちは、出身国に分かれ
いがみ合っていました。
中でも東和国の犬塚露壬雄と、
ウェスト公国の
ペルシア・ジュリエットは、
互いにリーダー格として
頼りにされていました。
故に揉め事となれば常に
先陣を切る形になるのですが、
実はペルシアが好きな犬塚は、
そのことで苦しんでもいました。
強く気高いペルシアに惹かれ、
どうやって告白しようかと
悩んでみても、結局犬塚は
チャンスを活かせず
逃げ帰ってしまいます。
そんな中、卑怯な手で
襲われたペルシアを
助ける犬塚ですが、
攻撃者を倒してしまったため、
かえって自分が仕掛けたと
誤解を受けてしまいます。
もちろんこの状況に犬塚は激怒。
攻撃者を殴り飛ばして
「落とし前」をつけますが、
釈明の機会は期待できません。
しかしペルシアは犬塚を呼び出し、
真剣での決闘も視野に
行動の真意をただします。
そこで犬塚は、打ち込みつつ
自分の思いも
全力で述べることにしました。
寄宿学校のジュリエットの読んでみた感想・評価
ロミオとジュリエットの世界が
好きな私としては
かなり大満足でしたね。
何だかんだで微妙に仲が悪く、
ただ戦争するほどでもない両国の
子弟という本作の関係性は、
殺伐ではなくドタバタの
ラブコメを展開するには
まさしく丁度良いレベルでした。
ロミオ役の犬塚君と
ジュリエット役のペルシアさんも
良い意味で現代的で、
ともすれば悪くなりがちな
両校の空気を和ませる、
安全装置のような役割を
果たしてもいます。
そして「原典」通りの、
周りに隠れてのドキドキ感が
何とも言えずいいですね。
立場的には対立を
継続していかないと
周りへの手前ダメだし、
かと言って本気で
ぶつかり合ったりするのも
相手を思うとできない。
そんなモヤモヤ感は
まさしく「ロミジュリ」的で、
期待を裏切りません。
また、犬塚君やペルシアさんの
性格的な部分も、
旧来のジュリエットたちの
高潔な部分を受け継いでいて
読んでいて心地良かったです。
乱雑になりがちなシチュを
しっかりとまとめている部分にも
高い筆力を感じました。
寄宿学校のジュリエットはこんな方におすすめな作品!必見
歴史的な悲劇「ロミオとジュリエット」を
題材にした作品は多いですが、
本作もそんな「ロミジュリ」系作品です。
とは言え原作の殺伐とした感じは
グッと薄れており、学園生同士の喧嘩、
そして何だかんだで顔を合わせられる、
「機会」もかなり豊富なので、
コメディ系として安心して読めます。
一方で二人の思いがいい感じに
空回りを続けていたり、
わざわざ争う理由が必要なのか、と
読者側が考えてしまう不条理など
肝心な部分の「ロミジュリ感」は
はっきりと描写されており、
シェイクスピア好きの方にも
納得の仕上がりになっており、
原典の前に読むにも適しています。
また、いかにも今風な犬塚君と
ペルシアさんを、上手く
史劇的ドタバタの中で活かし、
原作好きにも先の展開を
楽しみにさせてしまう手腕は
必見の価値があると言えます。
さらに言えば、ペルシアさんが
男装して「男の娘」的な感じに
なってみたり、
ガールズラブ的な展開を
組み込んでみたりと、各キャラにも
十分な個性があるのもいいですね。
画力やテンポなど、要素の全てが
「強い」ために原作に食われておらず、
難しいテーマもコメディに活かすなど、
さり気ない形でセンスの良さが
示されている部分も、
見ておいて損はありませんね。