タイトル | 強制ハーレム契約 |
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原作・漫画 | SNACKゴリ 望月あづみ |
出版社 | 小学館クリエイティブ |
望まずに見えてしまった「残酷な未来」。
人とは違う能力を持ちながら、
さして気にも留めていなかった主人公は、
はじめて苦悩します。
どうすれば悲劇を回避できるか。
未来を変えるために彼がとった
意外な「作戦」とは?
タイトルだけで判断すると「エロ系」にも
「ラブコメ系」にもとられかねない、
異色SFミステリーです。
強制ハーレム契約のあらすじ紹介
荒井遥は夢で未来を見る
ことができる予知能力者。
人生に影響するような大きなものでなく、
夕方から雨になるだとか、些細な程度の
ものでしかありませんでした。
ある日、いつものように「予知夢」の
世界に立っていた遥ですが、これまでとは
違う状況に遭遇してしまいます。
あたりに漂うガソリン臭、崖にぶつかり
大破した軽自動車、その中には
血を流して倒れている少女たち。
その少女たちこそ、彼が通う瀬戸高校の
誇る、通称「五歌仙」と呼ばれる
五大美少女だったのです。
特に親しいわけでもなく、
喋ったこともない彼女たちの悲惨な
未来がなぜ夢に現れたのか?
実は彼女たちと姉・蓮は中学時代からの
友達で、18になったら免許をとって
一緒に温泉旅行のドライブをしたいと
願望していたのです。
蓮が欲しい車の車種・とりたいナンバーも
夢と一致していました。
つまり、蓮の免許取得、彼女たちとの
旅行を阻止しなければ悲劇が
起きるということ。
彼女たちを事故死させるのもそうだが、
ずぼらで乱暴だけど優しい姉を
失うのも遥には耐えられない未来でした。
未来を変えなくては。
遥は運命に抗う決意をしますが、
具体的にどのように行動すればいいか…。
旅行に行かない理由をつくる。
全員に彼氏をつくってもらう。
彼氏がいれば、温泉旅行よりも
そちらの付き合いを優先する、しかし、
誰か特定の子が破局したら、
残っている子から温泉旅行への
誘いが発生する可能性も出てくる。
ならば…。
考えた末にたどり着いた結論、
それは「自分が五人全部と付き合う」!
事実上の「ハーレム状態」を
作り出してしまうという、奇想天外な
計画を建てた遥は、さらなる悪夢を
見たことがきっかけとなり、五歌仙の
一人、星崎茜に接触を試みますが……。
遥は五歌仙の少女たちと
付き合うことができるのか?
そして悪夢の実現は本当に
阻止できるのか?
強制ハーレム契約のネタバレと今後の展開は?
一番最初に出てきた悪夢
「五歌仙+姉」の事故死ですが、
軌道修正しつつも、さらなる悪夢
(悲惨な未来)が次々に重なってきます。
それらは、五人全部、というよりそれぞれの
女の子に関する悪夢。
茜が父親に殺害される夢からはじまり、
アイドル歌手もこなす成宮結衣への
殺害予告、挙句の果てには自分が
殺される夢まで見ることに。
それらに一つ一つ対処していくうちに、
接点がなかった
(実はないと思っていたのは遥だけで、
意外な接点が最後に明かされます)
彼女らに近づいていきます。
五歌仙の女の子らとの交流を通じ、
無味乾燥に近かった遥の高校生活は
楽しく刺激的なものに変わっていきます。
登場人物も五歌仙や蓮以外に、彼の
予知夢のことを知っていて執拗に
迫ってくる存在が登場してきたり、
夢に出てきた「水無月製薬」についても
この件と深くかかわっていること、
蓮が抱えている「ある秘密」、意外な
人物の暗躍など、それらが最終回前後で
一気に結びついていきます。
強制ハーレム契約の読んでみた感想・評価
いい意味で美少女ゲーム的
感覚が味わえます。
主人公の前に次々に登場する
美少女たち、彼女らとだんだんに
打ち解け、仲良くなっていく。
一方で、先に親しくなった子は
ヤキモチ妬いたり、心配したり、と
「ラブコメ展開」も。
それだけで進むわけでなく、しっかりと
最初に打ち出した「(SF)ミステリー」
要素は継続し、ちゃんとストーリーの
骨格にはまっています。
ただのミステリーにとどまらず、
SF的要素や少しですがバトル要素も
兼ね備えていて、サービス精神旺盛で
よいと思います。
最後は多少ベタな印象もありますが、
破綻することなくきれいに
まとまっていると思います。
作画タッチの影響か、それぞれの
登場人物に似た面があるのと
物語上の役割が複雑でわかりにくい
点があるかもしれません。
その点はミステリー特有の作り方
でもあり、慣れれば結構大丈夫です。
飛ばし読みしたりせず順に物語を
追っていけばわかるようになっている、
ということでもあるのでぜひ続けて
読むことをお勧めします。
強制ハーレム契約はこんな方におすすめな作品!必見
この物語は小説投稿サイトにあげられた
ラノベのコミカライズということですが、
同名キャラが登場する別物、
スピンオフとかと考えたほうが
よいかもしれません。
それでもこれはこれで
楽しめるとは思いますが。
原作はコミック以上に美少女ゲーム
展開、というよりそのもの、です。
原作至上主義の方には
勧められませんが、そのあたりを
柔軟に考えられる方やスピンオフ系が
大好きな方には面白いのでは
ないでしょうか。
また、コミック発売が小学館、
ということが関係しているのかどうか、
「名探偵コナン」的な雰囲気もかなり
強いように思います。
思えばコナンもSF的なツールを使って
捜査したり、何よりコナンの存在自体が
「SF」以外の何物でもないですし。
「コナン」に対するオマージュ的な
見方も面白いかもしれません。
黒の組織にあたるようなものの登場や、
推理の仕方、コナンには出てこない
○○人間的なのも登場しますが、
脚本をつくる段階で結構影響を
受けているのかなとも思ってしまいます。