タイトル | 怪人X~狙われし住民~ |
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原作・漫画 | 北村永吾 |
出版社 | ビーグリー |
異動で新生活を開始した、
君塚夫妻。
しかし若い彼らは、規格外の
厄介さと危険性を持つ隣人たちに
精神を削られていく。
サスペンスの本筋の中に、
ご近所トラブルの要素を
実にリアルに盛り込んだ、
異色かつ新感覚の
ハードストーリーです。
怪人X~狙われし住民~のあらすじ紹介
夫の転勤で引っ越すことになった、
君塚さん一家。
しかし準備不足な引越しに、
歓迎されない引越し理由、
夫婦間の感情のスレ違いと、
改めて新生活に臨むには、
かなり不安な要素が満載です。
そして彼らが引っ越した、
この界隈には、様々な
恐るべき隣人たちが、
暮らしていたのでした。
当初、君塚家の妻良枝は、
超強力なクレーマーである
平山を警戒していましたが、
他にも様々な危険性を持つ
隣人たちが、君塚夫妻の前に
現れていくのでした。
怪人X~狙われし住民~のネタバレと今後の展開は?
転勤によって新居に
引っ越すことになった君塚夫妻。
しかし栄転とは言い難い異動で、
しかも赤ちゃんを抱えての
引越しなので、ムードは険悪、
お金をケチって夫の明が
全部業者に任せなかったために
入居から散々苦労の状況です。
そこに現れたのが、町会の
役員をやっているという高山。
駅前でジムのインストラクターを
やっているというタフガイで、
マッチョな男性です。
彼は実に軽々と、
明たちが持ってきた荷物を
片付けてしまうと、
笑顔で彼らに対応するなど
なかなか頼れる印象です。
しかし町会の役員である高山は、
隣家の平山というおばあさんが
とても厄介だと話すなど、
君塚家の新生活は早くも
不穏な空気が立ち込めます。
実際平山は高山が
言った通りの厄介極まる人で、
道を挟んだ家からの泣き声すら、
騒音と断じて激怒するような
超ハード体質でした。
しかしこの界隈には、
彼女を超えるほどの
恐るべき相手が、
現れた混乱にほくそ笑みながら、
着々と計略を
練っていたのでした。
怪人X~狙われし住民~の読んでみた感想・評価
サスペンス系の物語と思いきや、
かなり全力でストレスが
かかる展開が待っていましたね。
近所で恐るべき犯罪が巻き起こる、
自分がその罠に組み込まれる、
そうしたドラマは定番ですが、
本作はヤバ過ぎる真犯人以外に、
得体の知れないご近所さんたちや
強烈過ぎるクレームを入れてくる、
おばあさんの出現など、
とても神経が削られるというか
ストレスが溜まる展開でした。
しかも一々ヤバい隣人たちの
態度にリアリティがあって、
息つく暇を与えてくれません。
仕事や家事で忙しく、
気持ちもすれ違いがちと、
「不和の種」もしっかりあり、
必要最小限の人物と
描写説明で「逃げられない感」を
強烈に表現しているのは凄いです。
実際、ご近所トラブルは最近、
ますますクローズアップされて、
「共通の悩み」となっているだけに、
本作に出てくる厄介な人々が
濃密に接してくると思うと、
背筋が冷たくなるものがあります。
現実から離れた架空的展開など、
息抜きになりそうな状況を
用意しないハイスパートで、
ビシビシ追い込んでくる
容赦のない物語は、
読み手の心にも強く響きます。
怪人X~狙われし住民~はこんな方におすすめな作品!必見
平凡な日常が徐々に壊れていく恐怖は、
読む側にとっても現実感があり、
非常に定番のジャンルですが、
現実としてはそうそう、身近で大事件は
起きにくいものであり、展開が派手だと、
リアル感が薄れる懸念があります。
しかし本作「怪人X」は、いかにも
揉めそうなおばあさんを冒頭から
全力で使っていくことで、
本当にヤバそうな感じを
表現することに成功しています。
実際彼女の執拗さは
テレビやネットなどで見る
桁外れの厄介さそのままであり、
圧力をかけられる若い夫婦は
もうまったくたまったものでは
ないというのも分かります。
しかし彼女を超えるほどの「悪」が
普通に存在していたりと
ドラマ的要素にも事欠かないため、
とにかく強烈かつ粘着質な
嫌らしさの物語を読むなら、
本作は第一候補となると思います。
また、本当に危険な状況が
展開されている一方で、
世界観が妙に「大きく」ならず、
良くも悪くも等身大の世界で
物語が進んでいくのが
リアリティを煽っています。
北村先生はかつて
ご近所トラブルものの名作
「ボーダーライン」を描き、
恐ろしい隣人を物語で示しましたが、
本作でもその嫌なリアル感は
いかんなく発揮されています。