タイトル | 愚者の皮 |
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原作・漫画 | 草野誼 |
出版社 | ぶんか社 |
「あよ」は、とても美しい女性です。
傲慢な親類の家で育った不幸な
生い立ちでした。
そこに現れたのが、のちに夫になる
英馬です。
かっこ良く心優しい夫、
恵まれた結婚生活を過ごして行く
はずだった二人・・・
あよの身に何が起きたのか!
愚者の皮のあらすじ紹介
心清らかで美しい女性のあよ。
そんな美しいあよを
夫の英馬は大切にしています。
会社の皆んなに美しい嫁を見せたいと、
上にある自分の階までコートを
届けさせた事もあるくらいです。
あよは幸せでした。
美しい顔立ちと同じくらい心も清らかで
ボランティア活動もしています。
普通の人なら手を焼く老人にも、
優しい気持ちを忘れません。
全ては良い方向へ、
順調に進んでいた人生。
そんな幸福なあよの運命は、
ある交通事故をきっかけとして
転落して行くのでした。
愚者の皮のネタバレと今後の展開は?
夫に用事を頼まれて会社を訪れた
あよ。
ボランティアでの仕事を終えて、
帰宅に向かう途中で交通事故に
巻き込まれてしまいます。
交通事故にあった時に、
あよは妊娠7ヶ月・・・
赤ちゃんはどうなるのか!?
無事に一命をとりとめたあよ。
しかしー
お腹の赤ちゃんは亡くなってしまいます
悲しみに泣き崩れるあよ。
そこに更なる不幸が重なるのでした。
顔の半分には火傷のような引きつった
傷跡が残ってしまったのです。
鏡を見て、これが私?
と衝撃を受けてしまうのです。
ある日傷跡はどう?と、
気遣ってくれる夫。
引きつった感覚はあるけど、
もう大丈夫治ったと気丈に答えます。
そこで夫から信じられない言葉を
聞かされてしまいます。
もう治ったって事は、
その顔のままって事か・・・
ショックを受けたあよは、
もう一度元の自分の顔に返りたい一心で
美容整形を受けてしまいます。
美容整形を受けようと決心させたのは、
英馬からもう一度愛されたかったから
なのでした。
しかしー
そんな願いも虚しく、
美容整形の施術は失敗に終わります。
傷跡はもっとひどいものに
なってしまうのです。
愚者の皮の読んでみた感想・評価
美しいものや綺麗なものを
愛おしく思う気持ちは
誰にでもあるものです。
英馬は、その傾向がより強い人だと
感じました。
自慢の美しい妻が、
ある日事故を境に
一変してしまったとしたら。
私もどう決断するのか、
英馬を責めるばかりでは無いと
思ってしまいました。
あよは英馬に対して、
とてつもない執着心を剥き出しにして
いました。
本当に相手を愛しているのならば、
相手の幸せや思いの為に・・・
諦める事も、また愛だとも思ってしまいます。
でなければ、自分の顔が美しかったから
こそ出来た優しさであったと
思ってしまうからです。
ある意味のバイタリティが
半端ないと感じ、怖くも思いました。
それも愛なんだ!と、
言われてしまえば、
それも納得してしまいます。
醜い顔になった、あよ。
それに対して君の思うままにすると
答えた夫の英馬。
嘘を付いて家を出て行った事は、
傷つける行為だと思いました。
しかも!
家財も全て持って行ってしまう
惨さは夫の未熟さを表しています。
愚者の皮はこんな方におすすめな作品!必見
草野誼先生の作品は内容が濃くて、
人の気持ちの動きが
細かく描かれている
とても読み応えがある作品です!
内容のある、しっかりとした漫画を
読みたい方には、
楽しめる作品だと思います。
ラストでは英馬とあよは、
本当の意味で
心の繋がった夫婦になります。
英馬は残念な事に視力を失ってしまい、
あよは夫への思いからの行為で
声を失ってしまいます。
何かを失ってしまっても、
その代わりに!
二人は真の大切な物を得たのです。
本当は失わずに気付けたら良かった、
けれど失っても気付けない人もいるから
大切な事柄に気付く事が出来た
この二人は幸せなのかも知れません。
人生において、私たちは、
いかに表面的な事にこだわりながら
生きているかを考えさせられました。
実際のところは、
表出して無いところに
真のファクトは隠されているのかも
知れませんよね。
人生には様々な試練が有ります。
その試練を乗り越えた先に、
本当の幸せが待っている事を
教えてくれる漫画だと思いました。