タイトル | 星の瞳のシルエット |
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原作・漫画 | 柊あおい |
出版社 | 集英社 |
女子中学生香澄は、かつて
「星のかけら」をくれた
男の子に恋をしていましたが、
弓道部の久住くんにも
次第に心惹かれていき……。
瑞々しく明るい思春期のきらめきと
初恋の淡い温かさと苦さを
漫画という形で的確に体現した、
大傑作の恋愛青春漫画です。
星の瞳のシルエットのあらすじ紹介
女子中学生香澄は、少し
おっちょこちょいな性格ですが、
皆よりも早く、初恋を経験していました。
それはほたる狩りに行ったところで、
男の子から「星のかけら」を
プレゼントされたというもので、
その不思議な鉱物と思い出は、
香澄にとって宝物になっていました。
一方香澄は、弓道部に所属する
久住くんの表情や優しさに
次第に惹かれていきますが、
しかしその久住くんは
親友の真理子の片思い相手でした。
一方ラジオで「星のかけら」について
コメントを耳にした香澄は、
改めて彼に会いたいとも思うのでした。
星の瞳のシルエットのネタバレと今後の展開は?
ちょっとおっちょこちょいな
女子中学生、香澄。
毎日友達とワイワイ登校し
学校でも楽しい時間を過ごしますが、
周りの「コイバナ」からは
少しばかり距離を感じていました。
とは言え香澄には、周りより早い
「初恋経験」がありました。
小学校の頃、ほたる狩りに
出たところで男の子と出会い、
「星のかけら」という
輝く鉱物を貰った、
淡い思い出が香澄にはあったのです。
しかしその時の彼とは再会どころか
連絡を取り合う術もなく、
思い出は宝物として、過去のものに
なりつつありました。
そんなある時香澄は、友達と
弓道部の練習を見に行ったところ、
素敵な男子、久住くんを知ります。
しかし久住くんは親友の真理子の
片思いの相手であり、恋愛の
対象ではないと思っていましたが、
何故かどうしても気になってしまいます。
そんな中真理子たちは、
「クッキングクラブ」を作って
活動を始めます。
設立の動機からして、調理室の窓から
弓道部の練習が見られるからという
「不純」なものだったので、
実際に活動を始めても
真理子が弓道部の方に注意を向けたり、
まともに料理をする状況ではありません。
もっとも弓道部としても、
彼女たちが作るケーキには
興味津々だったので、
香澄は久住くんと、思わぬ形で
一緒に食事することになりました。
そうやって何度も顔を合わせ
久住くんとの距離が縮まりだした頃、
香澄は「星のかけら」について言及した
ラジオリスナーからのコメントを
耳にするのでした。
星の瞳のシルエットの読んでみた感想・評価
初恋のドキドキが伝わってきて、
甘酸っぱい気持ちを思い出しました。
舞台は今から数十年前、
1980年代の学校。
そこで繰り広げられる
恋と青春の物語ですが、
その瑞々しい雰囲気は、
他にはない独特の素晴らしい、
純粋さがありましたね。
まず、主人公の香澄さんの
愛らしさがいいですね。
しっかり者に見えて意外と
おっちょこちょいだけど、
昔の思い出を大事にする、
純粋な気持ちがあって、
好きな相手ができても、
友達をおもんばかってしまう。
大人の女性の奥ゆかしさとも
また違う優しさや大人しさは
まさしくヒロインという雰囲気です。
そして香澄さんが好きになる
久住君にしても、軽口を
叩いたりしつつもロマンがあり、
そうした部分にたまらないほど
純粋な少年らしさがあり
見ていてドキドキしてしまうほどです。
香澄さんの親友である真理子さんや
沙樹さんも、それぞれ短所はありつつも
素晴らしい部分を多く持っていますが、
ただ人間として良いのではなくて、
その年代でしか持ち得ない、美しくて
脆い「何か」が見えるのです。
そんな彼らの過ごす日常はまさしく
ウキウキとドキドキの連続で、
読んでいるこちらの胸も躍りました。
数十年前の作品ではありますが、
今読んでも古さではなく、
むしろ真新しさを感じましたね。
星の瞳のシルエットはこんな方におすすめな作品!必見
思春期を迎えた少年や少女が
淡い初恋に胸を躍らせていく、
そんな王道作品は古今無数に存在しますが、
類似の作品が非常に多い上に、
下手に「変化球」をいれると、全体の
瑞々しさが削がれる難しさがあります。
その点、本作はまさにストレートに、
そして純粋に「恋」を描き抜いています。
発表当時、物凄い大人気を博した事実も
今から読んでも納得できるほどで、
香澄さんや久住くんをはじめとする
登場人物たちの表情や仕草も実に
ハツラツとしていて素晴らしく
読者を引き込む力があります。
初発表が80年代半ばで、
数十年も前ということになりますが、
今とは違うどこか大らかな空気や、
どうしても結果を求めがちな
今時風の諸々とは違う雰囲気は
ほんわかしたい方に最適です。
また、「落ちる」と形容されたりする
恋への急激な傾斜と、それに翻弄される
少女の心理を的確にとらえつつ、
「気になる」から「片思い」に至る
淡い恋の「根拠」をも緻密に描くなど、
ため息がでるほどの丁寧さがあります。
そして、ページから「漫画を描く」ことの
楽しさや素晴らしさが伝わってくるのも
本作の素晴らしいところと言えるでしょう。
その「雰囲気の良さ」は他の作品では
なかなか味わえるものではないだけに
じっくり堪能したいところですね。