タイトル | 昴(スバル) |
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原作・漫画 | 曽田正人 |
出版社 | 小学館 |
難病の弟のために、
まさに必死での踊りを続ける宮本すばる。
その原体験を持った彼女が偶然、
かつての伝説的バレエダンサー、
日比野五十鈴と出会う。
そして、舞台に立ち経験を積み、
やがて己の意思に目覚めることで、
「伝説」が生まれていきます。
昴(スバル)のあらすじ紹介
宮本すばるは、厳重に管理された病室で
「踊り」を見せていました。
それは難病の影響で記憶を失いつつある
双子の弟、和馬に何とか覚えていてもらうため
…必死の試みでした。
しかし長期間の苦闘もむなしく…
和馬は亡くなります。
取り残されたすばるは当てもなく…
街をさまよいます…。
そしてたどり着いた「パレ・ガルニエ」で
日比野五十鈴と出会い、
踊りの道に入っていくことになります。
スタジオとキャバレーで経験を積むという
日々を繰り返したすばる。
中学三年になりようやくバレエと
積極的に向き合うようになり、
数々のチャレンジに踏み出します。
昴(スバル)のネタバレと今後の展開は?
オリジナルの「踊り」によって
必死に看病するすばるの思いもむなしく、
和馬は他界してしまいます。
そしてあてもなく街をさまよっていたすばる
地元のキャバレー
「パレ・ガルニエ」にたどり着き、
そこで日比野五十鈴と出会います。
入院中に話を聞いていた五十鈴は
すばるに強い興味を持ち、
舞台に上げようとします。
当初は身をすくませるすばるでしたが、
自らの意思でステージに登ることを決意。
激しいヤジにあいながらも才能を
まざまざと見せつけることになります。
そして時は流れ、中学三年になったすばるは
「パレ・ガルニエ」で経験を積みます。
その一方、スタジオでのレッスンは
あまり熱心ではありませんでした。
ですが、踊りが好きなことを再認識し、
「白鳥の湖」の群舞に
参加することになります。
人と合わせるという体験に戸惑います。
また、プロの舞台のプレッシャーに
押し潰されそうになりながらも
衝撃的な演技を見せたすばる。
さらに高みであるローザンヌのコンクールを
目指し猛特訓を重ねることになります。
昴(スバル)の読んでみた感想・評価
バレエという一見雅びやかなジャンルを
取り上げています。
ですが、本作の迫力や
粘性と温度の高い情念は
並の格闘漫画を超えるものがあります。
冒頭から病に苦しむ双子の弟和馬の記憶を
呼び覚ますため、懸命の踊りを続ける…
その後はまだ小・中学生だというのに
キャバレーの舞台に上がる…
伝説のダンサー、日比野五十鈴に鍛え抜かれ
本当の舞台公演やローザンヌへの挑戦で
目覚めていくあたりの描写はまさに圧巻。
その後の
伝説的な舞台へとつながっていきます。
一方、才能に満ちあふれたすばるは
うらやましいと同時に嫉妬の対象でもあり、
様々なダンサーがライバル視してきます。
すばるは愛想の良さや付き合いやすさとは
対極にある性格…。
ですが、他の人はスルーすることができず、
結果として熱いライバル物語も
垣間見えるようになっていきます。
物凄い舞台に熱を持った人間関係…
踊りというもの自体の奥の深さ…
こうした要素を余すところなく表現しており
本作は新しい名作と評価できます。
昴(スバル)はこんな方におすすめな作品!必見
一見優雅にも思えるクラシックバレエの世界
実はこんなにも激しく、厳しく、熱いもの…
それがわかり衝撃にも似た驚きに
彩られた本作。
読み手は「情念」を揺さぶられます。
その意味で、元々バレエが好きだという方
今までまったく関心のなかったけど、
スポーツ漫画は好きという方
そんな方々にも読んで欲しいです。
舞台上だけではない、すばるが持つ底知れぬ
天才性と背負っているものの深さ…
それは、人間ドラマが好きな方にも
向いている内容だといえます。
言葉を交わすわけでもない…
複雑な数式を使うわけでもない…
「踊り」という表現が有する驚くべき
底の深さを垣間見ることができます。
そういう点では、ダンスに限らず、
他の分野で何かを表現しようとしている方
そんな方にとっても勉強になると言えます。
ともかく規格外の熱量、
画力(えぢから)を持つシリーズ。
それだけに、話を聴いたり
表紙を見たりするだけでは
見えにくい部分も多いです。
合いそうだな、と思ったら
まずは一読してみてはいかがでしょうか。