タイトル | 殺し屋1 |
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原作・漫画 | 山本英夫 |
出版社 | 小学館 |
優しい青年と殺し屋という
二つの顔を持つ男、城石 一(イチ)。
しかしイチには確固とした目的はなく、
ただ言われるがままに、
しかも性的快楽を覚えながら
惨殺を繰り返していました。
そして、イチを動かす「ジジィ」には
「新宿廃墟計画」という目的が……
格闘技とはまるで違う、
圧倒的な暴力描写が満載の作品です。
殺し屋1のあらすじ紹介
普段は気が弱く、優しい城石 一でしたが、
彼には工員という表の顔以外にも、
もう一つの素顔を持っていました。
それは、暗殺者。
しかも、理知ではなく妄想により
好き勝手に殺しができる
という異常な性質です。
イチは昔から付き合いがある
「ジジィ」に誘導され惨殺を繰り返し、
「ジジィ」の率いるチームは
彼の後始末を含めて裏方に回る形です。
なぜイチにヤクザを惨殺させるのか。
そこには「ジジィ」の
「新宿廃墟計画」という
恐るべき目的があったのです。
殺し屋1のネタバレと今後の展開は?
工場で働き、空手の練習に汗を流す、
心優しい青年城石 一(イチ)。
しかしその正体は、
情け容赦なく敵を抹殺する暗殺者でした。
「ジジィ」と呼ばれる男の
指示に従って殺しを続けるイチですが、
そこには意思や任務への責任感
などというものはなく、
あるのはただ、妄想だけ。
空手の技を自在に使って殺した後に
絶頂の痕跡を残していく
という異常性も見せていました。
一方のジジィは、ヤクザである安生組と
船鬼一家の不和に乗じて
彼らを疑心暗鬼に陥らせ、
ついには抗争に発展させることで、
自身の目的である「新宿を廃墟にする」
という途方もない計画を進めていきます。
イチはそのための道具であり、
イチを刺激して人を殺させていたのも
自分の理想のためだったのです。
とは言え暴力を専門にするヤクザたちが
やすやすと屈服するはずもありません。
安生組を継いだ垣原は、
圧倒的な武力を示しつつ、
かつての部下である猛者
次郎と三郎を呼び寄せるなど
イチ対策を講じ始めるのでした。
殺し屋1の読んでみた感想・評価
殺し屋になる前の前作「イチ」を
読んだことがある側としては、
あの青春していた城石君が、
とかなり複雑な気持ちにもなりましたが、
前作よりもはるかにレベルアップした
画力とアクション、
残虐なヤクザたちとの死闘の数々は、
他の多くの格闘漫画の域を超えたレベルで、
まったく予想がつかない彼らの動きが
本当に恐ろしくエキサイティングでした。
全体的な感想として、イチから見た
味方も敵もヤバ過ぎです。
ジジィは策略を使い続けて
血の海を作ろうとしていますし、
垣原は純粋にタチが悪過ぎます。
けれどもイチもまた、
トラウマと妄想によって
キレてしまっています。
だから暴力の専門家の垣原にも
対抗できてしまえるんですね。
完全に自分の思い込み
によって人を惨殺して回るイチと、
その思い込みを使って
新宿を廃墟にしようと企むジジィ。
この二人の思考は
まったく常識外れであり、
プロであるが故にある種常識的な
ヤクザたちが翻弄されていくのも
作品のハイライトと言えるでしょう。
殺し屋1はこんな方におすすめな作品!必見
格闘技や喧嘩がテーマの漫画は多数あります。
しかし主人公が「殺し」という
一線を超えるものは多くありません。
さらに言えばそこに
快感を覚えているケースは極めてまれです。
しかし本作の主人公であるイチは、
明らかに殺しを「楽しんで」います。
ジジィに操られている面はあるにせよ、
通常の主人公像からは大きく外れており、
その斬新さは
他作品の及ぶところではありません。
また、明らかにイチは異常でありながら、
普段の優しく真面目な青年としての一面や
いじめに対するトラウマや反発など
共感できる点を非常に多く持っています。
そのため、凄惨な殺人シーンが
連続するにも関わらず、
不思議と彼には嫌悪感は沸きません。
イチの敵に回る垣原をはじめとする
ヤクザたちも常軌を逸した連中が多く
普通の喧嘩や格闘技の動きとは
異なる反応やが頻発する部分もあり
格闘ファンにとっても
見るべきところが多い一作と言えます。
また、イチの斬撃めいた足技は
豪快にして華麗の一言で、その点では
格闘シーンの見本とさえ
言えるかも知れないほどです。