タイトル | 海王ダンテ |
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原作・漫画 | 泉福朗 皆川亮二 |
出版社 | 小学館 |
もの凄い知識を秘めた「本」と
魔導具というアイテムを持って、
極地を一人で探検する少年ダンテ。
彼の目的は友人のエマを救う
「生命」の本を発見し
手に入れることだったが……、
大航海時代の冒険も野心も、
魔法的な存在への憧れも、
濃密に凝縮され尽くした、
熱さとロマンが溢れる
傑作海洋もの作品です。
海王ダンテのあらすじ紹介
十八世紀後半、大航海時代の最中に、
ダンテはもの凄い知識が詰まった「本」と
魔導具を持ち、極地を歩いていました。
その目的は、友人であるエマを救うため。
祖父から託された「本」でも、彼女の
難病を治すことはできませんでしたが、
北極点にある「生命」の本であれば、
どんな病気でもたちどころに
治るというのです。
しかし、同じように「本」を持つ
旧友ナポリオもまた、
北極点を目指していたために、
二人は衝突することに
なってしまったのです。
海王ダンテのネタバレと今後の展開は?
十八世紀後半、領土を海外へと
広げようとする国の意思もあり、
極地探検をしていたイギリス軍は、
氷と雪に行く手を阻まれ、
進むこともできない窮地に
追いやられていました。
そんな中で軍人たちは
氷原を歩く少年を発見。
フランス軍ではないかと
危ぶむ兵士たちですが、
ダンテと言うその少年は、
巨大であり何でも載っている
祖父譲りだという本を
見せてきました。
そこには本国の地図よりも
はるかに精密に描かれた
英国や未知の土地の姿があり、
ダンテはさらにこの船が
今や窮地になることを
教えてもくれました。
そこで船員たちは助言に従い、
小舟で氷をどかしながら進みますが、
うかつに前進したところで、
大きな氷塊に直面し、
ダンテは「魔導器」という
不思議な道具で道を開きます。
そうして危機を救ったところで
ダンテは皆と別れようとしますが、
彼らの装備が整っていないことを知り、
ダンテを待つ友人の言葉もあり、
軍人たちを助けることにします。
アザラシを有効活用する技術など、
ダンテの深い知識と魔導具の力で、
彼らは北極点へと進んでいきますが、
そこ船に足がついたような
巨大な「乗り物」と鉢合わせになります。
それはダンテの旧友ナポリオが
この地まで来たことを示すものであり、
しかもナポリオは攻撃をしてきたのでした。
海王ダンテの読んでみた感想・評価
王道の冒険物の良さを持ちつつ、
超科学や絆といった、
ワクワクする事柄を、
たっぷりと盛り込んだ
斬新で熱い一作です。
いわゆる大航海時代、
それもただ到達するのではなく
征服までをも念頭に置いた、
完全な「帝国主義時代」の頃を
描いていく一作ですが、
その迫力は非常に独特。
軍人たちの争いだけでなく、
謎めいたダンテを筆頭とした
力を持った少年たちを主軸に、
現在科学ともまた違うような、
熱気と意外性に満ちたバトルが
繰り広げられていくことになります。
まだ世界地図が完全ではなく、
想像の翼を今よりも自由に
広げられた頃をテーマに、
「北極点の征服」などの
冒険を、史実よりもずっと
早期に描いている部分も魅力です。
何より戦っている彼らが、
単なる自由人やならず者ではなく、
もっと大きなことをやれそうな、
「力」のようなものに満ちているのが
読んでいてとても爽快感があり、
自然な形で空想に浸れました。
ハードな展開ながらも、まったく
力を抜いた部分がなく、真正面から
問題に挑む姿勢が素晴らしい一作です。
海王ダンテはこんな方におすすめな作品!必見
強い国がその実力でもって、「未開」の
土地を「領土」としていくのが
正義だった帝国主義の時代、
世界中の僻地への冒険もまた、単なる
人間的挑戦ではなく、国家の利益を
直接的に反映していました。
だからこそ「探検家」の多くはプロの
軍人たちであり、彼らは国家的な
使命を帯びて極地を目指しますが、
一方でそこには血生臭い
大人の事情だけでなく
未知へのロマンも強くありました。
そんな強力に熱い「大航海時代」の
熾烈な戦いと冒険を、魅力たっぷりに
描き切っているのが本作です。
「冒険」、「未知の科学」、そして
「男のロマン」といったフレーズに
グッとくる方であれば、
まずは本作を一読されることを
強くオススメしたいところです。
緊迫感に満ちた過酷な自然、
そして野心と使命感に満ちた
大人たちとダンテとの対比など、
本作でなければ得られない、
痺れる描写が満載で、
ドキドキが止まらない仕上がりです。
一方で、容赦のない戦いや
争奪戦の最中にも、人間同士ならではの
心が通じ合う瞬間もあり、
バイオレンスが展開が苦手な方にも
比較的読みやすくなっているのも
嬉しいところです。