タイトル | 瑪羅門の家族 |
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原作・漫画 | 宮下あきら |
出版社 | 集英社 |
現代の日本に、
法では罰せられない巨悪を裁く
伝説的な一族がいた。
彼らは「チャクラ」の力を用い、
知られざる「瑪羅門」の術を
自在に使いこなして
闇から闇へと人を始末していく。
「男塾」シリーズとは
また違った面白さがある、
とても印象的な一作です。
瑪羅門の家族のあらすじ紹介
妙かつ強烈な外観のために、
近隣の住民からも恐れられている
瑪羅門寺。
そこで暮らす面々も、
出世や大金とは無縁で、
経済的には頼りありません。
しかし、彼らには「暗殺者」という
裏の顔がありました。
法ではどうにもできない巨悪を、
その秘術でもって裁く
驚異的な腕前を持った彼らは、
古来からの「法」にのっとり、
金や代償によらず自らの正義を
執行していくのでした。
高名な芸術家であっても、
権力を背景にしていても、
彼らの技からは逃れられません。
しかもその存在は明確でなく、
悪人たちは恐怖すらできずに
行為にふさわしい裁きを受けるのでした。
瑪羅門の家族のネタバレと今後の展開は?
強烈に個性的な外観で知られる
瑪羅門寺。
近隣にも悪い噂が広がり、
まったく繁盛してはいません。
その家族たちも、
住職である祖父を除けば
三流陶芸家の父親と、
失業中の長兄、予備校生の次兄、
そして高校生の末弟と、
経済力的に頼りない面々です。
家事の方も、父親が何故か
人数分以上に料理を作ってしまっては
奪い合いになるなど、
生活力的にも怪しい部分がありました。
しかし、彼らには、法では罰せぬ巨悪に
制裁を加えるという裏の顔がありました。
瑪羅門寺に、ある婦人の姿がありました。
彼女は怒りと無念を滲ませ、
言い伝えにのっとる形で、
寺に絵馬を捧げました。
彼女の息子は、ある高名な芸術家の
弟子をしていましたが、彼に作品を奪われ、
しかも命まで奪われていたのでした。
その恨みが故の婦人の願いでしたが、
直後に彼女は胸を刺され、
末弟、龍の腕の中で息を引き取ります。
古来の法にのっとり、請願を聞き入れ、
芸術家を始末することを決定する
瑪羅門一族。
龍は自ら刺客として名乗りを上げ、
恐るべき裁きを加えるべく、
動き始めるのでした。
瑪羅門の家族の読んでみた感想・評価
「魁 男塾」を毎週楽しみにしていた
当時少年だった私は、
本作にかなりの驚きを覚えたものです。
いくら極悪人相手とは言え、
「殺し」を生業にするような
暗殺者一族の話は、重過ぎるのではと、
かなり懸念もしました。
しかし、瑪羅門一族は、
規律で縛られている男塾生たちより、
かなり自由かつ奔放で、
テーマの重さにも関わらず、
作品の雰囲気が暗くなることはなく、
楽しく読み進めることができました。
そして、そんなフリーダムな人たちが、
「仕事」となると表情から雰囲気まで
いきなり一変させ、悪人たちに
凄まじい一撃を加える構図は
恐ろしくも格好良いもので、
新たに生まれたダークヒーロー的な
貫禄すら漂わせていました。
連載自体は割と短期間で終わったものの、
瑪羅門一族は他作品にも登場しており、
思い入れと人気の強さがうかがえます。
様々な技は、「男塾」テイストな
超科学的必殺我が多いのですが、
分かりやすい根拠があると
証拠が残ってしまうわけですから、
彼らの技にも説得力がありました。
瑪羅門の家族はこんな方におすすめな作品!必見
男塾シリーズなど、数多くの大ヒットで
知られる宮下 あきら氏ですが、
作品の魅力は「悪」にあると思います。
主人公の行く手を阻む敵キャラはもちろん、
本来「正義」であるはずの主人公側も、
ヤクザドラフト会議一位の超不良から、
骨の髄まで博打一本のギャンブラー、
恐ろしいほど時代錯誤的な学校の不良と、
恐らくは反社会的と言えるような
性質を持っていますが、彼らは
自分の道理に真っ直ぐで、
覚悟もあるので格好良いんですね。
本作では、悪人相手の「殺し」を
行う一族を主人公にしており、
その「悪」と「正義」は
宮下作品の中でも
一際明確になっています。
何しろ瑪羅門の面々は、
絵馬による必死の願いを
聞き入れるという形であり、
依頼者から金も命も
要求したりすることはなく、
「もう一つの法」の執行者の
役割を黙々と果たしています。
これは、暗殺者をテーマにした
多くの作品の中でも
かなり異質な形であり、
だからこそ彼らの純粋さと
正義の重さがダイレクトに
伝わるという形になっています。
全体としてはとにかく人が死ぬ
ハードな話になっているのですが、
龍を除く瑪羅門の家族たちには
どこかトボけた味があり、
陰惨な雰囲気にはなっていません。
結局は大金や生命など、
依頼者にとって重要なものを奪う、
多くの暗殺系漫画に、
どうも違和感を覚えるという方にも
本作は受け付けられるのではと
個人的には思います。