タイトル | 空想郵便局 |
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原作・漫画 | 朝陽昇 |
出版社 | マックガーデン |
高校生真今は平凡な男子学生。
家族も恋人もいるが、なかなか
何かに夢中になることができず
彼女にもフられてしまう有様。
そんな中予期せぬ事故で、
車にはねられた真今は、
復活のため「仕事」をすることに……。
当人にとって大事な「奇跡」を
配達することで変化をもたらす、
絶妙な距離感が新鮮な、
ハートフル・ファンタジーです。
空想郵便局のあらすじ紹介
平凡な高校生、真今。
家族も彼女もいるものの、
毎日が同じことの繰り返しで、
全般に感動が薄れていました。
ちょっとした話の行き違いで、
一年も付き合っていた彼女から
一方的にフられるなど、
人間関係も冴えた感じがなく、
家族を支える家事にも
集中できない感じです。
しかしそんな折、以前に
助けた鳩が気になり、
注意を向けているところで、
いきなりトラックにひかれてしまい、
復活の条件として真今は、
「奇跡の配達人」をすることになります。
空想郵便局のネタバレと今後の展開は?
平凡な高校生の真今。
両親の愛に包まれて生まれた彼も、
最近はちょっと冴えない感じです。
母親がいない状況でも家事に
全力投球とはなりませんし、
彼女との仲もマンネリ気味、
友達がうらやむバイク通学も
父親のお下がりというわけで、
理想を達成した感がありません。
いつものように外に出て家に帰り、
日課をこなすだけの日々が、
延々と続くのではとすら思いましたが、
ある日カラスに襲われるハトを救出、
しかしそのことを彼女に話すと、
もう無理だとフられてしまいます。
特に何も悪いことをした感じはなく、
一年も付き合ってきた彼女に
何故いきなりフられるのか、
ワケも分からないままヘコみつつ、
妹のお使いを済ませるべく
バイクを走らせる真今。
しかし助けた鳩に気を取られて
トラックにはね飛ばされて
意識を失ってしまいます。
すると何やら四方が白い、
妙な空間で目を覚ますことになり、
自分の現状を知ることになります。
どうやら助けたことに恩を感じ、
鳩が訪ねてきたはいいものの、
そこでフラレた真今の嫌な態度に、
直面したというわけで、鳩の側も
反省すべき点があったということを、
真今は何故か鳩から直接聞きます。
こうした変化は今の真今が
実体なき魂だけの存在だからであり、
その状態から脱出するべく、
真今は奇跡の配達人として
命を稼ぐべく、再び人間界に
戻ることになるのでした。
空想郵便局の読んでみた感想・評価
平凡で冴えない日常に、
突然訪れた死という、
異世界転生っぽい導入ながら、
非常に実感と体温を感じる
いい仕事が「経験」できる
意欲的な一作です。
平凡で冴えない日常の中、
うまく相手と合わせられずに、
折角出来た彼女にフられたりと、
本作の主人公は何となく
完全燃焼できない感じです。
しかしまったく唐突に
事故で命を奪われたことで、
現世に生き返るという意味が生じ、
さらには仕事を頑張っていくという
「意義」も生まれてくるのが
導入としては意外でしたね。
生き返るための代価として
提示されたのは「郵便配達」、
それも通りいっぺんではなく、
半分以上死んだままの状態で、
対象者に「奇跡」を運ぶという
非常に難しいものです。
失敗も遅延も許されず、
しかも代えがきかない、
ある意味ではリアルの配達よりも、
厄介な部分がある「仕事」だけに、
より郵便配達という業務の大切さを
感じることができました。
もちろん人間ドラマも濃厚で、
それぞれの人生を痛感できる
構成の巧さもさすがですが、
主人公を単なる進行役ではなく、
代え難い仕事をする「人間」として
大事にしているのが良かったですね。
空想郵便局はこんな方におすすめな作品!必見
人間死んだら全てがおしまい、
命あっての物種というのは、実際、
もっともな話ではありますが、
創作世界においては命がなくなってから
スタートするという物語も多いですね。
ただ最近は「異世界転生」系統の話が
全盛になったこともあって、
良くも悪くも手軽と言うか、
簡単にリスタートが効くような
世界観が主流になりつつあります。
しかし、人の生死というのは
絶対的なことであるだけに、
それを覆すならば相応の、
代価を支払う必要があるのも
また当然だとも思います。
本作は、そうした当たり前を
前面に押し出しつつ、
郵便配達人という勤めの良さを、
前面に示した一作と言えます。
相手に対して過度には干渉できない、
しかし問題解決には不可欠な、
ものを「運ぶ」という行為に、
体温を感じたいのなら本作は
非常にオススメできる一作ですね。
重要な文書を送るにも、今では
電子メールで機械的に、
すぐに送れてしまいますが、
、
思い出の宿った大事な品を
他の人に丁重に扱ってもらうのは、
率直にいいことだと思います。
ますます効率化が進む今だからこそ、
ファンタジーの枠内で読みたい一作です。