タイトル | 美食探偵 明智五郎 |
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原作・漫画 | 東村アキコ |
出版社 | 集英社 |
その男の名前は、明智五郎。
食事をすることが大好きな探偵。
そのたたずまいのスマートさに
憧れる女性は多いが。
彼のお気に入りは事務所近くの
ワゴン車のお弁当。
ある日、ワゴン車の店主小林苺は
明智の担当する事件に巻き込まれる。
お弁当屋の苺とちょっと変わった
明智五郎の探偵物語。
美食探偵 明智五郎のあらすじ紹介
小林苺は、明智五郎の事務所の
近くでワゴン車での弁当販売。
常連だが、有名カードしか
持ち歩かない明智に困っている。
明智の勢いに負けてツケで
売ることを許しているが。
そのせいか、いろいろわがままを
言ってくる明智にうんざり。
そんな明智に、自分は運転が
出来ないから車で送って行け。
「人の命がかかっているんだ。」
そう言われて、ある女性の所まで
送り届けるが。
殺人を犯してしまった女性が
自殺するのを止められなかった。
それでも殺人の理由は把握した
明智五郎。
その後も苺を巻き込んで、
彼の推理は続く。
美食探偵 明智五郎のネタバレと今後の展開は?
明智五郎は、名門の育ちで
美食家。
気ままに探偵家業を行っている。
大学時代の友人の刑事を無理やり
美食の会に引き入れている。
だから殺人事件などの情報も
そこから入りやすい。
第1話の依頼人は浮気調査。
妻は、夫が帰るたびにいろいろな
香りをさせていることが気になる。
その香りはどこで着いたものなのか。
その原因究明を明智に依頼
してきたのだ。
調べるとその男性はランチタイムの
1時間半。
若い女性の家で過ごしてから
仕事に戻っていた。
移動時間に30分かかる場所。
1時間で食事と情事が出来るのか。
明智は浮気ではない可能性も
妻に告げるが。
妻はこの状況だけで十分だと
離婚する意思を明智に告げる。
男の身辺調査が明智の仕事なので
報酬をもらって終わりだったが。
調べた男性が浮気相手?の
家の近くで殺される。
犯人は妻だと直感した明智は
弁当屋の苺の車で妻の元へ向かう。
疑われた女性は、コック志望で
殺された男は単なる味見係。
夫は元々性の部分では不能で
浮気ではない事を妻は知っていた。
けれど彼女にとって、一緒に
食事をとることは。
彼女にとっての夫婦の営みだった。
だからこそ、夫を許せず
殺してしまった。
そして明智、苺の目の前で
海に飛び込んでしまう。
美食探偵 明智五郎の読んでみた感想・評価
ライトな感覚の探偵物語。
でも訴えていることはとても
深いところにある。
特に第1話の男と女としての性の
部分がない夫婦にとって大事な事。
自分が作った料理を食べてもらう
それが彼女にとって夫婦の証。
体の関係だけが浮気ではない。
心の部分での最後の一線を
超えてしまった時に。
妻の心は壊れてしまい、
彼女を殺人するまで追い詰めた。
男にとって見たら、思いもよらない
殺される理由がそこにあった。
せめて夫婦の間で、その事を
話題にする会話があれば。
この事件は起こらなかったのに。
他人が見たらそんなことでと
思うような理由が。
妻にしたら相手を殺して
しまいたいほどの裏切り。
淡々とした描かれ方だけど
深く心に入ってくる。
1冊に短編が3つか4つくらい
読みやすい形。
その中で、日本の刑事事件の
問題点なども上げている。
なぜ日本の警察は優秀だと
言われているのか。
それは見せかけのハリボテ。
実際は事件があっても事故や
自殺で済ましてしまう。
法医学の漫画などでも
言われている問題点も感じる。
美食探偵 明智五郎はこんな方におすすめな作品!必見
推理漫画が好きな人で、
いろいろ読んでいる人にオススメ。
あっさりとした味付けだけど
かみしめると奥が深いそんな感じ。
美食の部分もふれてはいるけど。
そこはあまりこの漫画に
期待しない方がいい。
食事と人間の間にある感情に
メインテーマを持っている。
作者の東村アキコさんの作品は
人間の観察力を感じるものも多い。
なので、映像化・アニメ化されている
海月姫や東京タラレバ娘。
などのテンポのいいものも楽しく
読めるのに心に何か残る。
東村アキコさんの他の作品を
読むのもおすすめだと思う。
はじめは、登場人物に違和感を
感じてもだんだんと引き込まれる。
そんな力をこの作者は持っている。
推理漫画を読みたいのなら
風変わりな法医学者が出てくる。
「屍活師 女王の法医学「」
(作・杜野亜希)もいいと思う。
第2話で語られる法医学の問題。
それも合わせて感じることが
出来る作品。
野間美由紀さんの「パズルゲーム」
シリーズも推理漫画としては面白い。
長く続いた作品なので、高校舞台の
事件からプロになった事件まで。
自分の読みたい話が選べる。