タイトル | 聖☆おにいさん |
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原作・漫画 | 中村光 |
出版社 | 講談社 |
映画「荒川アンダーザブリッジ」の
原作者として知られる中村光の代表作。
天界での仕事に追われていた2人の聖人、
ブッダとイエスが年末ならぬ世紀末に
休息をとるために
この世(下界)に降臨!
しかし、降り立ったのは
なぜか東京の立川。
古いアパートを間借りしてそこを拠点に
余暇を楽しむという基本何でもアリの
奇想天外な設定のギャグ漫画。
聖☆おにいさんのあらすじ紹介
天界での仕事に疲れた聖人、ブッダと
イエスは年末ならぬ世紀末に
休暇のために現世に降り立ち、
東京・立川で古いアパートを
2人で借りてそこを拠点に
余暇を楽しむことに。
まじめで心配性で倹約家なブッダと、
衝動買いしがちで楽観的で
子どものような性格のイエス。
正反対の2人は立川の地元の
人たちと交流を深める。
2人の下宿するアパートの大家で、
2人の事をよく分からない無職の
外国人と思っている松田さん。
イエスの事を大きな組の組長の
子息だと思っているヤクザの竜二さん。
誰も彼らを天人だとは思わず
仲良くなっていく。
当の2人は地元の商店街のイベントで
漫才を披露したことを機にコンビ
「パンチとロンゲ」を結成したり、
天界から出張してきた弟子や
悪魔たちと時にやりあい
時により仲を深めたり、
世紀末を思う存分楽しむ。
果たして2人の休暇は
どうなっていくのか?!
聖☆おにいさんのネタバレと今後の展開は?
アパートの大家の松田さんは、外国人の
友達が部屋にたくさん押し寄せたり、
いつも部屋にいる2人の不自然な
生活ぶりに相変わらず怪訝さを
感じつつも2人と親交を深めていく。
そんな中で実は機械に強くて
マリオカートができることが分かったり、
ひょんなことから一人息子ラーフラが
いることを知って、彼を半ば強制的に
呼び出して親子の確執をのぞこうと
気遣ったりと意外な一面をみせる。
地元に住むヤクザの竜二さんとは
町内会のイベントを皮切りに
家族ぐるみの付き合いになっていく。
特にイエスの持ち合わせのユーモアや
童心のおかげで竜二さんの娘は
イエスによくなついていて、ブッダは
料理家事の話でしばしば竜二さんの
奥さんと謎の一体感をみせるようになる。
後に竜二さんが2人のアパートを訪れた際に
2人のおもてなしを勘違いし、自分とは
極道に生きるうえでの覚悟が違うと
悟ってカタギになる決意をするが、
ブッダがお土産のお返しにあげた
自分のTシャツをブッダの影武者役に
なれということかと勘違いする。
天界の関係者では、イエスの行いを
手助けする守護神である天部たちが、
天界で2人の人気をもっとあげるために
あの手この手でプロデュースしようと
図ってきて、そのたびに2人はうんざり
しながらもなんだかんだで
それを楽しむ。
特にブッダが書いた天界向けの漫画が
弟子たちに大ウケしたのをキッカケに、
天部はしきりと漫画の次の原稿を
書くようにせかすようになる。
聖☆おにいさんの読んでみた感想・評価
1話ごとの読み切りの漫画で
ストーリー展開も細かい部分を除くと
ほぼないため、どの巻から読んでも
楽しめます。
ギャグ漫画ではオチの部分が同じ
見開き上にあって視界に入るため、
予想外のオチというのが期待できないことが
よくあるのですが、この漫画でボケや
オチの伏線に対してボケ・オチが
次のページの頭にくるように上手く
コマ割りがされているので、新しい巻を
読んでいるときはページをめくるのが
楽しみになります。
ボケやオチは仏教やキリスト教についての
知識がないと理解できないものも
ありますが、それを知らなくても
雰囲気で楽しめました。
むしろそれをキッカケに、この仏教用語って
なんだろう、という風に興味が湧いて、
自分で調べて理解した後にもう一度
そのボケを見ると1回目に見たときより
笑えるということもありました。
内容的には、聖人君子であるはずのブッダと
イエスが、ネットゲームにハマっていたり
カラオケで終了10分前に歌いたい曲を
思い出して延長するか迷ったりと、
日常のささいなことに悩んだり超俗人的な
ことをしている様子がたまらなく好きで、
とても上手いキャラ設定だなと思います。
聖☆おにいさんはこんな方におすすめな作品!必見
まず何よりギャグ漫画が好きな人には
すごくおすすめです。
ただのギャグ漫画と違ってボケが
仏教やキリスト教に絡めたものであったり、
そうでなくても知的なユーモアだったりと、
よくあるギャグ漫画とは一味違った
面白さがあるので、もう普通のギャグ漫画は
読みつくして飽きたという人は
このようなタイプのものを読んでみるのも
いいと思います。
今書いた通り仏教やキリスト教に関する
用語やキャラクターが沢山でてくるので、
難しいボケは分からないとか、背景に
ある知識がないと楽しめないのでは
と思うかもしれませんが、
そういった知識がなくても十分
楽しめますし(私がそのタイプです)、
逆に言うとこの漫画を読むことで仏教と
キリスト教の知識が自然とついて
興味も湧いてきます。
これは私の体験ですが、センター試験の
倫理の勉強の足しにもなったので、
センターで倫理を使うという受験生は、
勉強の息抜きに読んでみたら
よいと思います。
ストーリー展開が細部を除くと
ほぼない漫画であり、1話ごとに
ストーリーが完結するので、
レンタルショップを利用して漫画を
読んでいるという人にもおすすめです。
ストーリーものは久しぶりに新巻を借りると
ストーリーを忘れてしまっていて
結局1つ前の巻も借りてくるということが
よくありますが、この漫画はどの巻から
借りても楽しめます。