タイトル | 花になれっ! |
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原作・漫画 | 宮城理子 |
出版社 | 集英社 |
地味で目立たない高校生、山田もも。
しかしあるきっかけで「花人」として
目覚めてしまったももは、
とにかく人を惹きつけてしまい……、
美しくて芳しい、「花」の魅力が
存分に描き出されている、
異色で華やかな恋愛物語です。
花になれっ!のあらすじ紹介
地味系女子高生のもも。
成績優秀で真面目ないい娘ですが、
容姿に華やいだ部分がなく、
好きな相手にも「女性」として
相手にされない寂しさを
感じてもいました。
そんなある日、ももと一緒に
暮らしていた祖母が亡くなり、
ももは祖母の教え子だった、
若王子さんの家で
住み込みのメイドとして
働いていくことに。
そこで出会った兄弟は、
ワイワイと元気で賑やかで、
ももは元気になっていきますが、
一方、ももは普通人とは違う、
「花人」としての資質を
開花させていくのでした。
花になれっ!のネタバレと今後の展開は?
真面目系女子の山田もも。
大きくなったらお花になると、
小さな頃は夢見ていましたが、
今はメガネにお堅い髪型と、
顔は整っていますが、
ちょっと地味で冴えません。
そのためか、矢野君に
心を込めてプレゼントしたCDも
すぐさま他の人に渡されるなど、
あまり女性として良い扱いは
されていない状態でした。
しかもそんな中で、
二人で暮らしてきた祖母が
急に亡くなってしまいます。
人前では気丈に振る舞いますが、
大切な人の死はショックで、
雨の中公園で打ちひしがれていると、
もものところに妙な男性が現れ
絡まれてしまいます。
しかしそこをイケメンが
助けてくれました。
雨に打たれ熱が出たももは
彼に介抱される形になりますが、
目を覚ますと彼の姿はなく、
代わりにももの祖母に
教えを受けたという女性が
ももの前に現れます。
その女性は若王子さんと言い
業界でも有名人でしたが、
住み込みのメイドとして
働かないかと
ももに提案してきました。
迷いながらもその話を
受けることにしたももは、
再び海外に出る女性の代わりに、
子供たちの世話もすることに
なっていくのですが、その子供こそ、
公園でモモを助けたイケメンでした。
美しく楽しい兄弟と出会い、
久々に味わう賑やかさに
元気を取り戻していくももでしたが、
普通では有り得ない花の匂いとともに、
肉体に「変化」が生じていくのでした。
花になれっ!の読んでみた感想・評価
定番の「変身もの」と思いきや、
実はとても壮大な物語で、
ドキドキワクワクしてしまいました。
冴えない容姿の人が、ちょっとした
髪型や服装の変化で大変身、
モテまくって運命も好転という、
明るく華やかな作品は、
特に青春モノには多く、
楽しんで読めるジャンルですね。
しかし本作のももは、「本当」に、
一般の人類とは違う素養を持っており、
急にそれが開花してしまったんですね。
そうなると当然、予想外というか、
人間として常識レベルを超えて、
人を惹きつけてしまうものですから、
理不尽なぐらいに言い寄られたり、
トラブルも極めて増えたりして、
本当に大変そうでしたね。
容姿が劇的に良くなったのに、
思わず同情を覚えてしまいました。
また他の「花人」たちも、
「種族」としてはごくごく正当な
「権利」を主張したりしますが、
社会的には普通人ですから、
そのギャップが強烈で、
ドキドキしてしまいましたね。
しかし、学校での超モテ系生徒や
アイドルたちが「花人」というのも
斬新かつ説得力ある設定で、
社会は彼らをどう迎えるのか、
接していくのかといった、
深読みをしてしまいましたね。
花になれっ!はこんな方におすすめな作品!必見
美しい女性の方を、「薔薇」や「牡丹」など
花に例えることは非常に多いですね。
プレゼントとして定番の花にも、
一つ一つ花言葉があったりと、
とにかく「擬人化」しやすいのが花です。
しかし本作では、「本当」に花の
「性質」を持った花人たちの
恋や騒動を描いていますので、
そのダイナミックさもまた、
一般の人類とはわけが違ってきます。
しかし、だからこそ強烈な展開も
説得力を持って読むことができ、
主人公、ももの困惑もまた、
「本気」のものだと実感して
読み進めることができます。
また、こうした作品では、
「変身」したことで人生が一変し、
充実するとなりがちですが、
本作の場合は目立たなかった
ももの悩みが、ある意味では
「贅沢」なようにも描かれています。
人間は顔じゃないと「正論」を
全力で述べつつ、本音では、
やっぱり美しい方が楽しい、的な、
身も蓋もない価値観の作品とは
一線を画する状況を楽しむなら、
本作は外せないところでしょう。
また、ももたち「花人」たちは、
容姿や影響力が一般人と違うだけに、
その「力」によって傲慢にならず、
意外と等身大な形で、
日常を生きているのも
興味深い点でしたね。