タイトル | 銀色のハーモニー |
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原作・漫画 | 柊あおい |
出版社 | 集英社 |
結城琴子は、まったくの偶然から、
快活で優しくて楽しく、
そしてピアノが弾ける少年海と、
知り合い、顔を合わせていくが……。
友情の楽しさも難しさも、
恋の切なさも音楽の素晴らしさも、
「あの頃」の全てが詰まったような、
傑作青春物語です。
銀色のハーモニーのあらすじ紹介
結城琴子はやや内向的ながら
ごく普通の女子中学生。
ある日琴子はサッカー少年の海と
偶然に知り合い、それから何度か
顔を合わせたりしているうちに、
気が付いたら彼を目で追っていたり、
「意識」するようになった自分に
気付いていきます。
しかし海には響子という彼女がおり、
彼女のいる人を好きになってもと、
一歩引いたような心持ちでいましたが、
ピアノを再開することにしてから、
「憧れの音」は海が弾いていると知るなど、
二人は不思議な縁があるのでした。
銀色のハーモニーのネタバレと今後の展開は?
中学生の結城琴子は、ごく普通の女の子。
大親友の鈴子や研一郎とは一緒ですが、
一人で図書室で本を読んだり、
ピアノを聞いたりするのも好きという、
ちょっと内向的な面も持っていました。
しかし元々は大好きだったのに、
怒られることも多かったりして、
結局ピアノを辞めてしまったことを、
空を見ても思い返してしまうなど、
未練は残っていたのも事実でした。
もっとも写生の時間に空を描いても、
周りからは色遊びとしか
見て貰えなかったのですが、
サッカーの授業で走ってきた海だけは
一瞬で空と見抜いた上で
きれいだと褒めてくれたのでした。
そんなある日琴子は、授業で忘れた
笛を取りに入った音楽室で、
海と鉢合わせることになります。
そうして言葉を交わしたりするうち、
つい海のことを目で追うようになり、
友達になる方法を考える琴子ですが、
海には響子という彼女がいるんだと
教えられることになります。
そのことを知り、ショックを受けるも、
潔く諦めてしまおうと思う琴子ですが、
その後も海とは様々な縁があり、
さらにはずっとうっとりと
聞き惚れていたピアノの音の主が
海であることも知るのでした。
銀色のハーモニーの読んでみた感想・評価
ピアノを軸にした音楽系の
物語かと思いきや、各人が全力で
青春を生きる姿が素晴らしく、
思わず琴子たちの「今」や「将来」に
思いを巡らせてしまうような
非常に優れた一作だと思います。
本作のポイントは、良い意味での
「幅の広さ」だと思います。
本気系のピアノ漫画となると、
必要な練習時間が膨大な上、
休日にコンクールがあったりするため、
どうしてもピアノ以外の描写が
極めて少なくなってしまうのですが、
本作はまったく違いました。
本作のメインキャラの一人であり、
「ピアニスト」である海君も、
学校ではスポーツに打ち込み、
友達と語らい、「彼女」に
つきまとわれたりと、実に多忙で
充実した生活を続けています。
多くのピアノ系作品の主人公とは
かなり趣きが違いますから正直、
驚いた部分もありましたが、
逆にだからこそ海君の人となりが
より良く楽しめた部分は
非常に良かったと思いましたね。
また、海君に恋していく琴子も、
「初恋」に頭がいっぱいになりつつ、
ピアノそのものへの憧れも抱き、
あるいは親友とも本気でぶつかりと、
素晴らしく充実した感じであり、
胸に染みる感じもありましたね。
また、作中の随所に散りばめられた
「音楽」の素晴らしさはもちろんですが、
本作は琴子たちの表情がいいですね。
飛び切り天真爛漫な感じだったり、
かと思えば小さなことでも真剣に悩み、
そして向かい合っていくような、
思春期ならではの心理までもが、
筆に乗っている雰囲気があり、
息を飲むような繊細さを感じました。
またそうでありながらも、彼らの
ふとしさ動きや仕草には、
若者故の元気さに満ちており、
内容が分かれば分かるほどに、
読んでいて胸に染みるような
温かさを感じることができました。
銀色のハーモニーはこんな方におすすめな作品!必見
友達と遊んだり部活をしたり、
はたまた恋をしたりと、何をするにも
充実してエネルギッシュなのが、
「青春時代」というものであり、
学園ものが大定番のジャンルとして
確立するほどに、人気もありますね。
とは言え、多くの作品では、
部活なら部活オンリー、恋愛なら
ほぼ話題は恋の話といった感じで、
仕方がないこととは言え、
「集中」する雰囲気が多く
見られるのも事実です。
しかし本作は、海の弾くピアノに
重点が置かれつつも、ヒロインの
琴子は友達とやりとりを楽しみ、
また海もスポーツを頑張るなど、
決して「単色」には陥らない
幅広い楽しみがあります。
恋をする過程で視野が狭くならず、
むしろ親友は周りにも本気で
気を遣えるようないい子の、
人生一度きりの素晴らしい青春を
満喫したいならばまさに本作は、
最善の選択の一つだと思います。
また、ヒロイン以外の人たちの
真っ直ぐで熱い恋の物語や、
母親たちの世代の衝撃の事実など、
琴子に直接絡まない部分でも
エピソードがとても濃密で、
誰に感情移入しても楽しめます。