タイトル | 隣のあたし |
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原作・漫画 | 南波あつこ |
出版社 | 講談社 |
仁菜と京ちゃんはとても仲良し。
でも大好きな京ちゃんは、高校で
女の子と親しくなったりと、
少し距離を感じてしまう日々で……。
現実的な設定や世界観を軸に
繊細な感情の変化や表情までも
じっくりと描き込んだ、
王道の青春ラブストーリーです。
隣のあたしのあらすじ紹介
女子中学生の仁菜は、
お隣さんととても仲良し。
特に京介(京ちゃん)と圭介の
兄弟とは家族以上に
親しいと言える間柄です。
しかし京ちゃんは高校に入り
野球部で忙しくなった上、
同じ学校の女子高生とも、
何だかいい雰囲気になるなど
「距離」を感じてしまいます。
それは仁菜にとっては
受け入れがたい変化だったため、
色々と悩み動いた末に仁菜は、
京ちゃんに告白することを
決心するのでした。
しかし京ちゃんの口から出たのは、
予想以上に素っ気ない返事でした。
隣のあたしのネタバレと今後の展開は?
仁菜は普通の女子中学生、
しかしお隣の京ちゃんと圭介と
いつも一緒に過ごしています。
度々泊まりに行くほど仲良く、
いずれかは恋人に、とも、
仁菜は夢想したりもしますが、
高校生の京ちゃんの周りには
美人の女の子などもおり、
仁菜は距離を感じていきます。
一方の京ちゃんは、野球部で
仲良くなった友達と
早速親しく遊んでおり、
仁菜もそこにいた美少女、
麻生さんにお化粧を
教わったりもしました。
しかし、暗くなったからと
麻生さんをエスコートした
京ちゃんと麻生さんが
キスをしているのを
仁菜は目撃してしまいます。
当然仁菜はヘコんでしまいますが、
そこで京ちゃんの弟の
圭介に励まされたことで、
再びやる気になった仁菜は、
昼休みに京ちゃんの学校に
忍び込んでいったものの、
そこでまたトラブルに
巻き込まれてしまいます。
そこを助けてくれたのが
京ちゃんとキスした
美少女の麻生さん。
彼女は相変わらずいい人で
親しくない仁菜のために
嘘まで言ってくれましたが、
キスの「理由」に納得が
いかない仁菜は、思わず
感情を爆発させてしまいます。
隣のあたしの読んでみた感想・評価
定番なストーリーですが
非常に丹念に感情を拾い上げ、
繊細かつ説得力ある物語に、
仕上げていく力量を
感じる作品でした。
冒頭、京ちゃんと圭介、
そして仁菜の三人で仲良く、
寄り添うように眠るシーンがあります。
まさに心が和む日常系の
ほんわかシーンなのですが、
本作ではその後すぐに、
高校生になった京ちゃんの変化と、
環境が変わったことで出てくる
「女性の影」を示しているんですね。
つまり平和は続かないという、
不穏を示すものですが、物語は
その通りに急展開の連続で、
読んでいてもかなり
ハラハラしてしまいました。
今まではお隣さんだったので、
気軽に会える利点があったのに、
遮る「存在」が出てきてからは、
逆に近いことが負担になったり、
とにかく構成が素晴らしかったです。
また、快活で元気な麻生さんも
男女関係で行き違いがあったりと、
各人にも二面性と言える部分や、
人には見せない表情などが
示されている部分にも細やかな、
仕上がりを感じられました。
隣のあたしはこんな方におすすめな作品!必見
幼馴染という関係は現実でも創作でも
非常に良くありますが、同時に、
一つでも歳が違うだけで対等ではなく、
まるで兄弟や姉妹のような関係に
なることも良くあることです。
大人になってからの数歳差など
会社等々の立場的にも、大した差には
ならないことが多いのですが、
幼少時の場合は年数がそのまま
発育の差になってくるので、
「関係」に違いが出てくるんですね。
本作の仁奈と京ちゃんも、
まさしくそんな「兄妹的」な関係で、
リアルな幼馴染としてはあるあるです。
しかし時間が経って互いの感情や
取り巻く環境も変化してきて、
いつまでもいままで通りには
なかなかいられないといった、
リアルな人間関係と恋愛感情を
本作では満喫できます。
一目惚れではないからこその
自分がフラレそうだと感じた
仁奈の衝撃や絶望など、
重い部分もしっかりと描き、
人間ドラマとしても納得の
仕上がりになっていますね。
軽く明るいコイバナや
大胆なストーリー展開の
アクション寄り作品とは違う、
地に足に着いた話を
楽しみたい方にも
適した一作になっていると言えます。
仁奈がソフトボールで奮闘する、的な
全体からすれば小さな「山」でも、
関係が変われば対応も変わるという、
ある種リアルな部分を含めたりと、
説得力がある構成も魅力です。