タイトル | 非婚家族 |
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原作・漫画 | 柴門 ふみ |
出版社 | 小学館 |
飲料会社で商品企画を担当する、
エリート社員、的場。
しかし会社は失敗者には冷たく、
商戦に敗れた的場は、
やがてリストラ候補にまでなり、
一つの決断をすることに。
働き盛りの世代を主人公に、
家族とは何かをユニークに描く、
斬新なビジネス漫画です。
非婚家族のあらすじ紹介
コーヒー飲料メーカーに勤め、
ヒット商品を企画したこともある、
エリート社員、的場は、
商品広告の件で、かつて妻だった
知華子と再会することに。
少しのんびりしていたかつての
姿とは対照的に、雑誌の編集長の
要職をこなしている知華子は、
もう立派に独立している
女性という感じでしたが、
一方商戦に連敗した的場は、
営業部に転出させられ、
そこでも結果を出すことができず、
リストラ部署に回されてしまいます。
一方家庭でも妻から
離婚を切り出されてと、
とにかくボロボロの中、
非人道的な待遇が嫌で会社まで
退職してしまった的場は、
一つの大きな決断をするのでした。
非婚家族のネタバレと今後の展開は?
飲料メーカー「アリガコーヒー」に
十数年勤務し、商品の企画開発を行う、
エリート部署に勤める的場。
自分でもやり手の社員だという自覚があり、
かつてヒット作品を飛ばしたこともあります。
そして今、自分がヒットさせた商品の後継、
「スリミーカフェ2」を軌道に乗せるべく、
奮闘を続けていました。
そんなある日、製品の広告掲載をする
雑誌の編集長と会うことになった的場は、
そこでかつての妻、知華子と再会します。
最近話題の雑誌の編集長として
敏腕を振るう知華子には、かつての妻の
面影はありませんでした。
後日知華子から呼び出された的場は、
軽い気持ちで赴きますが、
知華子は公私混同を責めつつ、
「スリミーカフェ2」は甘過ぎて
推薦することはできないと、
拒否反応を示します。
的場としては、結局失敗に終わった
「スリミーカフェ」の評判を
覆すための起死回生の企画であり、
どうしても成功させねばならない
理由がありました。
そんな中的場は、セクハラに
悩まされている知華子を
うまく助けたりして、
改めて彼女の本音を聞くことに
成功したりしますが、
知華子の指摘通り売れ行きは厳しく、
その責任を取るように、的場は
営業部への転出を命じられます。
企画部での実績はあっても、
慣れない営業の仕事では
実績を上げられず四苦八苦する的場は、
さらに現在の妻、ひかるからも、
「タンゴダンサーになりたいから」と
離婚を切り出されてしまうのでした。
非婚家族の読んでみた感想・評価
こうなるのか、と思わず膝を打つ
意外性と意欲を感じましたね。
主人公の的場は、三十代半ばで、
大企業の企画担当として
ヒットを飛ばしたことがある、
バリバリのエリート社員で、
家庭では美しい妻と、
可愛い息子を持つ良い父親です。
私生活でも問題はなさそうで、
将来は安泰と思いきや、
それがいきなりの異動を食らい、
慣れない営業の仕事では
結果を出せるはずもなく、
今度はリストラ部署に飛ばされ、
その反発から仕事を辞め、
失業者にまでなってしまいます。
私生活でも奥さんからの
かなり無茶な理由で
離婚を突きつけられと、
フィクションでもあまりないような
急な転落を経験しますが、
そのうまくいかない感じは、
モヤモヤ感なども含め、
「あるある感」を強く感じました。
また、結果としては、
ずっと会っていなかった
昔の奥さんのところに転がり込むという、
社会人として相当マズい選択を
取ることになった的場ですが、
嫌味なところがまったくないために、
ハードな展開にも関わらず、
不思議と拒否感が少ないんですよね。
一方の知華子も、かつて夫だった
的場はともかく、まったくの他人の
翔太までも引き受けて、すぐに
仲良くなれてしまえるような
懐の広さが、良い意味での
頼りがいやハンサム感を滲ませています。
家族とは一体何なのか、家族になるとは
一体どういうことなのか。
この難しいテーマに、あえて
働き盛りの男女を主人公に据え取り組んだ、
非常に意欲を感じられる作品だと思いました。
非婚家族はこんな方におすすめな作品!必見
できる男性がバリバリと仕事と遊びをする、
エリートな女性が男性社会を生きる、
そういった作品は少なくありませんが、
結果を出し続けている社員がいる中、
様々なことが原因で転落し、
苦境に追いやられる人を描くのは、
爽快感に乏しい分、なかなか
難しいものですが、一方で
有意義でもあります。
本作は、妻子を持ち、
大企業のエリート部署で
ヒットも飛ばしていた男性が、
営業からリストラ部署に飛ばされ、
奥さんからも離婚を切り出されと、
短期間にまずい状況になる描写が、
かなり容赦なくかつリアルに
続けられていますが、だからこそ、
かつての奥さんと「家族」になる、
意外な展開が自然に入ってきて
ご都合主義にはなっていません。
物語上の急な動きにも関わらず、
地に足のついた物語が読める点で、
本作は極めて有意義ですし、
三十代半ばにして組織の
要職についているような
エリート社員たちの、
実は不安定な立場だったり、
彼らの知られざる苦悩や苦境を、
赤裸々に描いているという点でも、
ビジネスもの漫画としては
かなり斬新であり、視野が広がる
感じを味わえる一作でもあります。