タイトル | 恐之本 |
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原作・漫画 | 高港基資 |
出版社 | 少年画報社 |
何気ない平穏な日常
しかし一歩踏み外すと・・・
底に拡がるのは「恐」の世界。
引っ越し先の和室に漂う
何かの気配・・・。
興味本位から撮影した動画と
その翌日から続く恐怖体験!
窓のないはずの部屋の壁に
かつて存在した窓からの眺めとは?
ささいな出来事をきっかけとして
非日常の世界へと
引きずり込まれていく。
そんな恐怖体験の数々が
封印された
『恐之本』をどうぞ・・・。
恐之本のあらすじ紹介
恐怖その壱
「先住者」
これは私が
両親とともに
新たな家に引っ越した時の話。
事前に家の中を撮影して
室内の間取りの
確認をしていた時でした。
ふと和室の窓から
誰かが覗いているような
画面が映った気がしたのです。
急いで巻き戻したのですが
何かの故障だったのか
それきり再生は出来なくなりました。
余り気にすることもなく
引っ越しをして
1か月が過ぎた頃・・・。
庭先にいた私の背後から
呟くような声が聞こえ
振り返りましたが誰もいません。
気のせいかと
屋内に戻り
和室の廊下を横切った瞬間!
一瞬、視界の隅に
何か人影のようなものが
見えた気がしたのです。
それは
あのテープで何かが映っていた
部屋と同じ和室でした・・・。
それから数日は
何事もなく過ごしていた
ある深夜のこと。
和室の奥から
何か声が聞こえた気がして
そっと中を覗いてみると・・・。
!!!
床の間に向けてうずくまり
何か呻いている人影がそこに・・・。
恐之本のネタバレと今後の展開は?
恐怖その弐
「閉ざされた窓」
これは僕が大学に通うために
引っ越しをした時の話です。
不動産屋とともに
間取りの確認をしていた時。
妙なことに気づいたのです。
外からは見えていた窓が
何故か室内には無いことに。
壁を叩いてみると
どうやらリフォームの際に
内側から塞がれてしまったようでした。
不動産屋に相談して
そこに在った窓を元に戻してもらい
僕はその部屋を借りる事にしました。
新しい窓からは
近くの小学校も見下ろせて
その景観はなかなか良いものでした。
友人に手伝ってもらい
引っ越しを終えたその日は
うとうとと寝込んでしまいました。
ふと窓が開いたような気配に
目を覚ました僕が
見上げた視線の先には・・・。
・・・!
見知らぬ少年が
窓からこちらを覗き込んでいる姿が。
その姿は一瞬のことだったので
夢でも見たのかな?
と思いつつ翌朝を向かえました。
大学へ向かうと
昨日引っ越しを手伝ってくれた友人が
一枚の写真を見せてくれました。
そこには引っ越しを終えて
一息ついている僕らの姿と
背後の窓から何かの覗き込む姿が・・・。
その日は学校帰りに
急ぎカーテンを購入して
窓を閉ざして眠りにつきました。
しかし深夜になると
聞こえてきたのです
外から無数の子供らしき声が・・・。
急ぎカーテンを開けてみましたが
視線の先には何もいませんでした。
ほっと息をつきながら
あの小学校を見下ろした時でした!?
やはり居たのです・・・。
木造の旧校舎の中から
無数の子供たちが
こちらを見つめているのでした!
翌日の昼間
不安から
その小学校を訪れてみました。
しかし
無いのです!
その小学校には
木造の旧校舎など
何処にも存在していなかったのです。
恐ろしくなった僕は
その晩は友人の部屋に
泊めてもらうことにしました。
恐怖を抑えるために
ビールを飲んで
そのまま寝入ってしまったのですが。
夜中に目覚めると
何故か?元の部屋に戻っていたのです。
そして、スッと開いていく背後の窓・・・。
振り返ってはいけない気がした僕は
そのまま玄関へと駆け出し
ドアを開けました。
!!!
その瞬間
大勢の子供たちの姿が
開いた玄関の前に佇み、僕の腕を・・・。
恐之本の読んでみた感想・評価
心霊や不可思議な出来事など
日常の先にある
怪奇現象をまとめた短編コミックです。
どの作品も普段の生活の
ふとした出来事をきっかけに
恐怖体験が始まります。
何処にでも、
誰にでも起こり得そうな出来事。
そんな恐れの数々が
リアルな恐怖感を煽ります。
物や場所などには
以前に関わっていた人々の
様々な想いが残されているようです。
この作品の主人公たちのように
もしも何かのはずみで
その隙間を覗いてしまったら・・・。
そんなことを考えながら読んでいると
ドアの隙間や誰もいない部屋なども
急に不気味な空間に感じられたりもします。
良くないものを引き寄せると怖いので
なるべくホラーな作品はみないように
と思いつつも読み耽ってしまう。
短編で読みやすいこの作品も
引きずり込まれるような
そんな魅力を秘めた作品です。
そしてこれらの作品で
恐ろしいのは
心霊現象だけではありません。
普通に暮らしている人々が
何かをきっかけに狂気に触れてしまう。
そんな狂気によって
生み出されてしまった恐怖体験。
本当に怖いのは
あり得そうもない心霊現象なのか?
それとも
日常に潜んでいそうな
人々の生み出した狂気なのか?
『恐之本』を開いた先には
そんな恐怖の世界が拡がっています・・・。
恐之本はこんな方におすすめな作品!必見
TVドラマや小説などでは
『本当にあった○○』『百物語』みたいに
よく見かけるジャンルの内容ですが。
意外とコミックとして
きちんとまとめられた
作品集は少なかった気がします。
こちらの『恐之本』は
様々なジャンルの怪談話が収録された
読み切りの作品集。
よくある怪談話から
現代風の都市伝説的な作品など
様々なジャンルの話が収録されています。
恐怖体験のドラマ特集や
怪談小説などが好きな人には
興味をもって読んで貰えると思います。
一つ一つが数分で読めてしまう
短めの作品が多いので
空いた時間に読むのにもオススメ!
現代的なホラーコミックとしては
『クダンノゴトシ』なども
併せてオススメします。
仲間と車での旅行帰りに
見知らぬ夜道に迷い込んだ大学生。
彼らは
身体は牛で頭は人間という
不可思議な存在と遭遇します。
恐怖心から
その存在を殺してしまった彼らの
7日後に迫る死の予言とは・・・?
現代的な展開に
日本古来の妖怪伝承を絡めた
伝奇的な要素もあるホラー作品です。
どちらの作品も本当に怖がりな人は
深夜や一人の時には
余り読まない方が良いかもしれません。
収録された作品のように
ふとしたきっかけで
非日常の扉は開いてしまうかも・・・。