タイトル | 王子様と灰色の日々 |
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原作・漫画 | 山中ヒコ |
出版社 | 講談社 |
「王子様と灰色の日々」は
貧乏な女の子・大川敦子が、偶然出会った
王子と呼ばれている少年の身代りをする話。
敦子や少年たちが
身勝手な大人たちの行動に巻き込まれつつ…
なんとかその中でも幸せをみつけようとする
姿が描かれている作品です。
王子様と灰色の日々のあらすじ紹介
主人公の大川敦子は家庭がとても貧乏。
その貧乏さゆえにクラスメイトからも汚いと
ののしられ、不幸な毎日を送っていました。
そんなある日、金持ちの少年3人
至、遼、信也に出会います。
無理やり「宮殿」と呼ばれる大きな屋敷に
連れてこられてしまった敦子…。
至に服を交換させられると、
至とそっくりだという事が分かるのです。
やっとの思いで逃げ帰ってきた敦子に、
父親がヤクザの家で働けと言ってきます。
嫌なら援助交際をしろとまで言うのです。
どうしても無理だ…
と家から飛び出した敦子。
そこへ、遼がやってきて
至が行方不明になったから
身代りになれと言うのでした。
王子様と灰色の日々のネタバレと今後の展開は?
敦子が身代りを引き受けたのは、
きっかけは信也への恋心からでした。
しかし身代りを続けていくうちに、
自分が必要とされたり
大事にされていると感じます。
今までの生活にはなかった
幸せな感情を感じるようになるのです。
なぜ敦子がこんなに一生懸命
身代りを務めるのか…?
信也への愛情の深さゆえかと
遼は面白くないのですが、
それは誤解なのでした。
そんな時、敦子はクローゼットで至の
女性物の洋服を大量に見つけてしまいます。
そして信也がそんな至を
好きだったことも知ってしまいました。
「この世で一番不幸なことは、
人を好きになること」
いつも思ってきたことが
また敦子の頭の中で
鳴り響いてしまうのです。
敦子は信也に最初に優しくされた時から、
信也に特別な感情を持っていました。
信也が至を好きだと分かってからも、
その気持ちが変わることはありません。
その一方、遼は敦子と長く関わるうちに、
恋心を抱くようになります。
勝手な大人たちに負けまいと、
自由を選んだ至
至を探しに出た信也
身代りを引き受けた敦子
敦子に思いを寄せる遼
4人は人を好きになりながら、
また幸せを追い求めながら
懸命に生きていくのです。
王子様と灰色の日々の読んでみた感想・評価
王子様と恋愛するストーリーではなく、
主人公が王子になって灰色の生活に飛び込む
そういう物語だと1巻で分かり、
ただの少女漫画ではないなと思いました。
その予想通り、一般的な少女漫画である、
主人公の女性らしいふるまい、見た目等に
遼はひかれていくのではありません。
敦子は至の身代りをするために、
タバコを吸い、男らしいふるまいをして、
髪をバッサリ切り、筋トレに励みます。
遼はそのひたむきな姿や、
優しい心打たれるのです。
特に誕生日のシーンで笑顔を見せた遼は、
年相応の普通の少年に見えました。
今まで誰にも心許していなかった遼に
敦子という存在ができて
本当に良かったなと思いました。
この作品は貧乏な女の子が
お金持ちの男の子と突然関わりを持つ、
というよくあるパターンではあります…。
ですが、至、遼、信也それぞれが
ただ見た目がいいだけではなく、
深刻な悩みをもっていることが特徴です。
そのことが自分に深みを与えており、
ただのイケメンで終わっていないところが
いいのです。
また、「宮殿」内部で起こっている
ドロドロとした人間模様…。
それは、昔の王族を思い起こさせ、
タイムトリップしたような感覚を味わえる、
大変魅力的な作品だと思いました。
王子様と灰色の日々はこんな方におすすめな作品!必見
「ドロドロした話が好き」
「境遇に恵まれていない人が
幸せになっていく話が好き」
そんな方に読んで欲しい作品です。
敦子の父親は借金まみれで酒におぼれ、
遼も愛人の子で
親の愛には恵まれていません。
至の母親は子供嫌いで、
至が触れたところを
ゴシゴシと布でふき取るような人間です。
このように本作品は
「灰色の日々」という題名にもある通り、
大人達の汚い感情が随所に描かれています。
しかしその中でも少しずつ
幸せを見つけていく主人公たち…。
これからどのように幸せな道を
たどっていくのか読み進めると
楽しいかと思います。
また「素直じゃない男の子に萌える」
という方にも向いています。
遼の性格は素直ではありません。
いつもツンツンしてします。
敦子のことをだんだん
好ましく思うようになっているのに、
対するときの態度はかなり冷たいのです。
しかし心の中では焼きもちを焼いたり、
優しさを感じ嬉しく思ったり、
顔を赤くしたりします。
このような不器用な遼が、
自分の気持ちを抑えられない様子は
随所に描かれています。
読んでいるこちらは敦子には遼の気持ちに
早く気が付いてほしいと思います。
このもどかしい感じも
読んでいて楽しいのです。
ですが、遼の気持ちを
敦子が知った時どうなるのかと考えるのも
楽しいかと思います。