タイトル | 特攻会社員(リーマン) |
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原作・漫画 | 古沢優 |
出版社 | 日本文芸社 |
暴走族のヘッドだった宮城傭平も、
一念発起して会社員の道を目指すことに。
奇跡的に試験をパスし
「モストマンチョイス」社に入った宮城。
彼を待っていたのは、
個性的過ぎる派遣先の数々でした。
腕力と根性で事態を改善させようとする宮城
果たして彼は
手柄を立てることができるのでしょうか……
特攻会社員(リーマン)のあらすじ紹介
暴走族「走愛會」の頭としてその名を
とどろかせていた宮城傭平ですが、
一念発起して会社員を目指すことに。
縁あって「モストマンチョイス」社に
入ることになった宮城。
そこからさらにリクエストがあった企業に
派遣されていくことになります。
まず最初に向かったのは、
借金で首が回らなくなっている企業。
社運をかけ仕上げたユニークな包丁が売れず
ピンチに陥ってしまいました。
しかし、仲間の話から
その包丁の性能を知った宮城は独自の作戦で
包丁販売を開始していくのでした……
特攻会社員(リーマン)のネタバレと今後の展開は?
暴走族として全力で活動していた宮城傭平。
縁あって派遣会社
「モストマンチョイス」の所属となります。
その腕力と度胸で、経営に苦しむ会社に、
次々に喝を入れていきます。
新型包丁「アラジン」を売った時は
暴走族ネットワークを最大限に活用しました。
新聞拡張団に派遣された時は
仲間に新聞を取らせまくる「腕力業務」で
業績を大いに上向かせました。
リングに上がったならば
持ち前のケンカの腕と
根性で場を成立させます。
芸人として舞台に立った時には
リアルワル路線を前面に押し出した笑いで
会場の空気を和ませてみせます。
仕事以外の領域でしか通用しなさそうな
態度や技能を自由自在に用い、
傭平は今日も派遣先に出向を続けています。
しかし、暴力だけではありません。
行き詰まった漫画家や閉じこもりの学生を
暴走族の集会に参加させ
「気合い」を入れる…。
そんな、一種のサウンドセラピー的手法も
用いています。
時にはかなり危ない目にもあいますが、
持ち前の腕力と度胸で
ことごとく切り抜けていきます。
特攻会社員(リーマン)の読んでみた感想・評価
まず設定の奇抜さが素晴らしいところです。
暴走族を辞めて会社員になって…という話は
現実でも良く耳にします。
ですが、人生の門出にも関わらず
二足のわらじを選択し、
しかも双方ともまったく手を抜かない…。
そんな主人公、宮城傭平のキャラクターは
なかなか他では見られないものです。
所属先が有名な人材派遣会社なのに、
刃物の販売から大人のお店、現金輸送にお弁当屋
…等々といった場所なのもスゴイ話です。
格闘技は素人なのに
プロレスとプロボクシングのリング両方に
上がったのですから並ではありません。
企業のディテールがしっかりしている上、
物語全体が難しさを前に出さない形で
スカッと終わるところも好感度が高いです。
拳かタンカでビシっと決めて、後腐れなく
次の現場に向かっていくという明快さ。
それが良いテンポを生み、読み手を楽しませ
飽きさせることがありませんでした。
「モストマンチョイス」の派遣先である
中小零細企業など…
自らの腕と才覚で
必死に身を立てていこうとする人たちへの
温かい視線があるのも良かったです。
特攻会社員(リーマン)はこんな方におすすめな作品!必見
「派遣村」…「派遣切れ」……
しばしば「派遣」という言葉には
ネガティブなイメージがついて回ります。
ですが、本作したそうした要素は一切無縁、
とにかく色々な職場を飛び回り
問題を痛快に解決してくれます。
そのシンプルさとキレの良さは、
明日からの勉強や仕事を頑張ろうという方に
最適だといえるでしょう。
企業が絡む作品であるにも関わらず、
小難しさをまったく帯びていない
真っ直ぐな作品。
そこが娯楽作としての面白さを
より強めています。
その一方で、「気合い」、「根性」、「筋」、
「胆力」といった、細かな仕事理論以前に
重要な要素を前面に出してもいます。
ケンカや腕力にモノを言わせての解決も
多少ありますが不快感はなく、むしろ
相手側に大事な要素を注入しています。
いかつい表紙と主人公の
会社員をやりながら暴走族を兼任という
キャラ設定で敬遠しがちかも知れません。
ですが、読んでみるとかなり心が晴れる、
万人に読んで欲しい一作です。