タイトル | 砂ぼうず |
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原作・漫画 | うすね正俊 |
出版社 | KADOKAWA / エンターブレイン |
核戦後の世界──
世界は荒涼たる広大な砂漠へと化し、
人類は……懲りずに、学んでいない。
明日も知れぬ枯れた時代を、
それなりに姑息に生き抜いていた!
そんな人間達が油断なくに集う関東大砂漠にて、
誰よりも姑息に、せこくに生きる
便利屋の物語──砂ぼうず!
今日も砂塵舞う大気に
ウィンチェスターM1897が鳴り響く!
砂ぼうずあらすじ紹介
数百年もの昔。
人類は超文明を築き、
繁栄の絶頂を向かえていた。
だがある日、その文明を跡形もなく
消し飛ばしてしまう大戦を引き起こしてしまう。
人類は滅亡……せずに生き残っていた。
地球は砂漠と化し、
かつての関東は大砂漠と化し、
不毛の大地と変わり果てていた。
超文明の残骸か、もしくは墓と言うべき
ビルが建ち並ぶ南15の白骨都市。
そこに便利屋──「砂ぼうず」と呼ばれる、
砂漠の妖怪の異名を持つ、凄腕の便利屋。
水野灌太(みずの・かんた)が訪れていた。
便利屋とは、不毛な砂漠の地で、
金でどんな仕事も引き受ける者。
書いて文字の通りの「便利」を生業とする、
なんでも屋だった。
子守から散歩にお使いと、
はては銃弾飛び交う荒事など、
なんでもござれの稼業。
それが便利屋だった。
愛銃のウィンチェスターM1897に、
丸みを帯びた耐熱ヘルメットと
アラミド繊維の日傘。
そしてマントを身に着けた砂ぼうず。
南の砂漠一帯を支配する
蛙誠(かわず・まこと)の率いる大盗賊団。
彼らに奪われたお宝を取り戻す
依頼を完遂する為、
蛙一家の縄張りへと足を運ぶ。
気軽な散歩みたくに無警戒に歩く彼に、
すぐさま蛙一家の見張りの
手下三人が素早く取り囲む。
ライフルにナイフなどを向け
脅してくる三人。
だが砂ぼうずは姑息にも
無色無臭の麻痺ガスをまき散らし、
三人を動けなくする。
油断大敵と、卑怯と言われても、
依頼の為ならどんな手段も
選ばないと笑う砂ぼうず。
砂漠に悲鳴と罵声が響き、
暴力の拷問で三人からアジトの場所を
聞き出そうとする砂ぼうず。
それを見つめる人影がある事に、
彼は気づいていない。
はたしてこの人物の目的は?
砂ぼうずはお宝を取り返せるのか?
砂ぼうずネタバレ・今後の展開
蛙一家のアジトに無事に
侵入を果たした砂ぼうず。
しかし蛙誠(かわず・まこと)のもとに
砂ぼうずは手紙を送りつけてしまいます。
あまりにも挑発的な文章に、
小馬鹿にした内容。
読み上げる部下は冷や汗を流しますが、
何事もなくに聞き流す蛙誠。
ですが最後の一言が、
彼を豹変させてしまいます。
──おまえのかーちゃん、でーべそ……
と、あまりにも幼稚な一文。
理性を振りほどき、
手紙を読み上げただけの部下を
容赦なくに殴りつけます。
怒りをあらわに激高し、
筋骨隆々の大男に変身してしまう蛙誠。
──ママは、でべそじゃねぇ!
そう叫び、肉体や性格をも豹変させてしまう
ハルク病を発病させた蛙誠。
部下も恐れる程に大暴れをし、
砂ぼうず抹殺へと動きだしてしまいます。
で、当の砂ぼうずとは言うと……
行き倒れていたボインで
バインな美女を見つけて、
鼻の下を伸ばしていました。
聴けば蛙誠に気にいられてしまい、
無理やりに連れてこられたと、
可哀想な身の上を話します。
砂ぼうずは、そんな彼女を
救おうと奮起します。
アジトはと、砂ぼうずは訊ねます。
しかし彼女はあの風船の下だと「目印」と
書かれていた風船を指さします。
あまりにも行き過ぎた内容に、
砂ぼうずは対して気にした様子もなく、
蛙一家のアジトへと向かいます。
ですが、風船の下は誰もおらず、
ただの白骨都市の残骸が
晒されていた荒野でした。
そんな砂ぼうずにスナイパーライフルで
狙いをつける蛙一家の手下達。
でもあっさりと待ち伏せを砂ぼうずに
見破られてしまい、反撃を喰らう事に。
そして対峙する蛙誠と砂ぼうず。
蛙一家は仲間を殺しやがたっと、
ママはでべそじゃね。
と、敵意と殺意を向けてきますが、
何のことか解らずに
疑問符を浮かべる砂ぼうず。
三人は殺していないと言うも、
聞く耳を持たない蛙一家。
何のことか解らずに
砂ぼうずは決戦へと挑みます!
でもこの対決の裏には、
ある女性の暗躍があったことを、
彼等は知らないのです……
砂ぼうず読んでみた感想・評価
「砂ぼうず」とは、テルマエロマエなどの
コミックビームにて連載している、
うすね正俊先生の漫画です。
砂漠化した近未来の地球を舞台に、
熱い銃撃戦を繰り広げる
SFガンアクション漫画。
2004年にはアニメ化もされ、
今もなおも根強い人気を持つ作品です。
この作品の見どころは、
まず精密なメカニックと銃の構造と
銃撃の描写にあります。
構える姿勢に、射撃される銃の反動の描写や、
劇画チックに描かれるメカニックの、
武骨で精密な形式などをリアルに描いている。
また今作品の最大の見せ場とも言える
ガンアクション。
砂漠を舞台に熱い銃撃戦を繰り広げる展開が、
実に熱い作品とも言える今作。
このうすね正俊先生。
あの「こちら葛飾区亀有公園前派出所」
でおなじみの秋本治先生の
アシスタントをしていた経歴を持つ。
その際に秋元治先生の描く、
作品に感銘を受けます。
マシンのメカニズムや、
銃や兵器のディテールなどを把握。
それを漫画として書き起こす、
そのこだわりに感銘を受けた一人でもある。
そのこだわりは作品に活かされる等、
作中に登場する銃や、
砂漠を生き抜くためのスーツの設定。
また砂ぼうずの強みでもある、ウインチ。
機械などの構造に深くこだわり、
それを精密に描く表現を追求している事に、
この作品の見どころがあります。
また今作品は砂漠を舞台にし、
そこで生きる未来の人間を題材に物語が
進んでいきます。
過酷な砂漠社会と化し、
生き残る事に必死な人類。
裏切りは日常茶飯事。
詐欺や騙し合いなどは当たり前と、
奪い合う追い詰められた人類の、
醜さを濁すことはありません。
またそれをコミカルにし、
笑いを誘いながらも、
どこか哀愁を感じてしまいます。
砂漠に生きる人類の物語は、
読めば納得のできる仕上がりになっています。
世紀末な世界が魅力のSFガンアクション!
SFガンアクションを堪能したい人に
おススメの出来る内容。
銃への深いこだわりと、
マシンのディテールに追求を求める、
リアルなアクションを楽しみたい方を
満足させる内容に仕上がっています。
また砂漠と化した、
明日なき時代を姑息に生きる人類。
根深い強さや、騙し合いで生き抜こうとする、
油断なき世紀末な世界を堪能したい人にも
おススメな作品でもあります。