タイトル | ベルサイユのばら |
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原作・漫画 | 池田理代子 |
出版社 | 集英社 |
フランス革命前夜。
武官として育てられた麗人オスカルは、
その美貌と剣の腕により注目され、
近衛部隊の一員として任務につき始めますが
陰謀渦巻く宮廷の雰囲気は
彼女にも容赦なく現実を突きつけ……
フランス革命期を舞台にした、歴史的な名作です。
ベルサイユのばらのあらすじ紹介
絶世の美女でありながら、武官として育てられた
麗人オスカル。
彼女はそのずば抜けた剣の腕を買われ、
アントワネット王妃の側近、
近衛部隊として実績を上げていきます。
そして、オスカルの周囲にいるのは、
常に慕ってくれるアンドレや、
信頼にも思慕にも値するフェルゼン。
彼らは性格や目的こそ違えど、
常にオスカルを信頼しています。
一方、世の中には不満と怒りが蓄積し、
王室を打倒する革命への機運が着々と
生み出されつつありました。
王室や貴族の問題点を理解し、
事あるごとに持ち前の正義感を
発揮していくオスカルですが、
もはや時代は個人の力では
どうにもならない状況に
近付きつつあるのでした。
ベルサイユのばらのネタバレと今後の展開は?
そのずば抜けた実力と存在感によって、
アントワネット王妃の側近中の側近、
近衛部隊隊長として活躍するオスカル。
しかし、様々な人との交流によって、
社会の腐敗を知り、同時に貴族社会の
腐敗やアントワネットの罪を知ります。
その結果オスカルは、いつしか
近衛の任務が苦痛になっていました。
王妃への思慕は持っていたものの、
自分の意思を押し通して
近衛隊長を辞退したオスカル。
彼女が次いで向かったのは衛兵隊。
しかし、衛兵隊は平民出身の
しかも荒くれ者たちが集う部隊。
当然彼らは「貴族の若造」である」
オスカルに反発を抱きます。
ただ、彼らの反抗も
飛び抜けた剣の腕と器量で
オスカルは退けていきます。
厳しくも身分にこだわらず、
誰もを公平に扱う姿勢から
信頼を得て行くオスカル。
しかし、衛兵隊長になるということは、
革命前夜のフランスで
平民を指揮することでもありました。
故にオスカルは過去とは正反対の形で、
革命と王室と対することになります。
ベルサイユのばらの読んでみた感想・評価
本作は男装の麗人オスカルを主人公にして
歴史に真っ向から挑みました。
その時点で大いにビックリしましたが、
何より凄いと思ったのは、
大胆な手法に走りながらも、一切の
茶化しや媚びが見られなかったことです。
本来、絶世の美女でもあるオスカルは、
ごくごく例外的な時を除いて
自らの「女」を出しません。
かと言って乱暴に振る舞ったりもしません。
そんな彼女に惹かれるアンドレの心理も
自然で物語的に都合良い変化は見えません。
フランス革命期という、貴族と民衆が争い、
罪なき庶民が命さえ危うくなるほどの苦境。
そのただ中にあって、お話上の調整を
入れないのは簡単なことではありません。
でないと現実の前に高潔なオスカルたちが
すり切れていってしまうからです。
実際、アンドレは光を失いましたし、
オスカルは女王への想いと民衆との
板ばさみとなり苦しみ抜きます。
必死で生み出し育ててきたキャラを
痛め抜くのは創作者として本当に
つらいことでしょう。
しかし、それができたからこそ
本作は不朽の名作となったのです。
登場人物の真っ直ぐさを
作者がこれ以上なく真正面から受け止めた
素晴らしい一作だと言えるでしょう。
ベルサイユのばらはこんな方におすすめな作品!必見
重厚にして耽美、華麗にしてシリアス……、
少女漫画の、そして日本漫画全体をも代表すると
言っていい本作を一言で評するのは
とても難しいように思えます。
真正面から歴史を取り扱っただけでなく、
その中にオスカルという麗人を登場させ、
重苦しいフランス革命前夜の風景を、
ふっと麗しいものに変えてしまいました。
後々の「ひな形」になったとさえ言える
オスカルの強さと美しさは
今なおファンに評価されていますし、
現在の読者をも惹きつけるのでは
と思えるに十分なものがあります。
また、苦しみ立ち上がる民衆それぞれの
顔が見えてくるほどの描写力があります。
さらに、妥協のない物語構成は
あらゆる作品を描く際に参考になるものがあり、
アントワネットすら絶対悪にしない
キャラ立てにも見るべきものがあります。
あまりに認知され過ぎて茶化すような
ネタに使われることもありますが、
それだけ偉大な作品だったのです。
今や古典でありが
非常に魅力的な歴史作品です。