タイトル | 式の前日 |
---|---|
原作・漫画 | 穂積 |
出版社 | 小学館 |
結婚式の前日に
一緒に過ごす男と女。
ついに結婚か・・・と
感極まっていた2人。
たまにしか会えない親子や
久しぶりに会った双子の兄弟。
2人の間にある
2人にしか分からない「愛」
家族のさまざまな愛の形を描いた
感動あり驚きありの
短編集です。
式の前日のあらすじ紹介
明日、結婚する。
社会人3年目の男は
寝転がっていた。
こんなところで寝ないで
と女が注意する。
ドレスを着てやっぱりあっちのほうが
腕が細く見えたかな?
これ寸銅に見えないかな?
と鏡の前でブツブツ言っている。
席の配置これでよかったかな?
料理、あっちのほうが
良い気がしてきた。
何度も考えて決めたことだったが
どうしても気になっている様子。
今日は腕をふるうよ。
何が食べたい?と聞かれ
何でも美味しいじゃんと男は答えた。
ご飯を食べ終え、
居間で一緒に寝ることに。
式の前日のネタバレと今後の展開は?
手をつないで寝ていい?
と女は泣いていた。
両親は幼いころに
交通事故で亡くなった。
親代わりになってくれた
8歳離れた姉が今日、結婚する。
(式の前日)
幼い少女、あずさのもとに
お父さんが帰ってきた。
あずさはとても喜んだ。
電車もひとりで乗れるようになったから
次は私が行くよと言うと
絶対ダメ!と怒られる。
いつの間にか別れの時間。
お父さんは1年に1回
お盆の日にしか会えない。
(あずさ2号で再会)
久しぶりに会った双子の兄弟。
2人の初恋の人・由起子の
葬式での再会から4ヵ月後に
弟は帰らぬ人となった。
やっぱり由起子は俺がもらうよ
と言っているように見えた。
(モノクロ兄弟)
たった2人の兄妹は
カンザスで暮らしていた。
ニューヨークに逃げた兄のもとに
結婚式の招待状が届く。
妹が明日結婚する。
妹は小麦畑にあるかかしを
「ママ」と呼んでいた。
幸せになれとつぶやく兄に
かかしは言った。
「今度はあなたの番よ」
(夢見るかかし)
小説家の男は
親戚の女子高生を預かっていた。
カラスの夢にうなされ、
自分に乗り移ったのか?と
不安がよぎる。
カラスが乗り移っていたのは
女子高生のほうだった。
孤独な彼に伝えたいことがあったのだ。
(10月の箱庭)
式の前日の読んでみた感想・評価
日常系の感動ストーリーなのに
予想外な結末の連続で驚きました。
結婚式の前日、
最後の日常を過ごす2人。
表題作「式の前日」は結婚を控えた
男女の話だと思って読んでいました。
2人の名前は後日談で判明します。
「あずさ2号で再会」は夫婦が離婚し
たまにしか会えないあずさとお父さん。
と思いきや年に1回、
しかもお盆にしか会えない。
このシーンで泣いてしまいました。
読み返してお父さんのところに行く
と言ったあずさを止めたシーンで
またウルウル。
ひとりで電車に乗ることを
心配していたわけでは
なかったんですね。
少ないページ数のなかでも
多くのことを物語っています。
小道具の使い方が上手く、
登場する動物やかかしのセリフなど
細かいところまで
考えぬかれていると感じました。
淡々と、丁寧に描かれています。
特別何か大きなことが
起きたりはしませんが、
後からジワジワと心にきました。
多くの人から評価されているのも
納得です。
この作品がデビュー作というのも
驚きました。
式の前日はこんな方におすすめな作品!必見
短編集でひとつひとつの
ストーリーは短いのに
深みのある作品です。
5話の短編と、表題作の後日談。
どの話もそう来たか!と
予想していなかった結末になります。
最後の最後まで
作者のこだわりが見えて
後日談までクオリティが高かったです。
なるべく予備知識なしで
読むほうが新鮮味があって
楽しめると思います。
ネットで良い漫画無いかな?と
探していると多少のネタバレは
避けられないものです。
しかし
ネタバレの文字だけでは
伝わらないこともあります。
言葉で伝えるのは難しく
動くキャラクターたちの言葉、
間を読むことで初めて分かる物語です。
私もネタバレがきっかけで
この作品に興味を持ちましたが
読んで良かったと思えます。
あちこちで話題になった
有名な作品なので
結末を知ってしまった!
という方も多いと思います。
すでに結末を知っていても
楽しめる作品です。
男女の恋愛ではなく
家族の愛がテーマになっています。
それぞれの家族愛に心温まるので
疲れたときに読むと癒されます。