タイトル | ごほうびごはん |
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原作・漫画 | こもとも子 |
出版社 | 芳文社 |
社会人一年目の池田 咲子の
何よりの楽しみは、
週に一度の「ごほうびご飯」。
実用的で独自性があり、
しかもおいしいお料理を、
心底美味しく頂く、
王道かつ読者に優しく、
理由付けもしっかりしている、
バランスが取れたグルメ漫画です。
ごほうびごはんのあらすじ紹介
地方から上京して社会人一年目。
忙しくハードな毎日を送る
メガネ女子、池田 咲子さん。
そんな彼女の一番の楽しみは、
週に一度の「ごほうびご飯」、
好きな料理を存分に味わう、
池田さんにとって素晴らしい日です。
食欲旺盛で料理も得意な池田さんは、
明日への活力という意味もあり、
様々な料理を仕上げていきます。
伊勢エビカレーや三種たこ焼き、
焼肉風ローストビーフなど、
創意工夫と熱意が感じられる料理は、
池田さんに期待通りの大満足を
もたらしてくれるのでした。
ごほうびごはんのネタバレと今後の展開は?
地方からの上京と社会人生活開始と、
生活環境の変化がハードなことで、
やや疲れ気味の池田 咲子。
そんな彼女ですが、
自分へのご褒美として
おいしい食事を味わっていました。
週に一度の「ごほうびご飯」の日、
今週は何にしようかと池田さんは
ウキウキと街を歩きます。
焼き鳥がいい、いやピザもと、
目移りしながら歩いていると、
カレーの匂いに食欲をそそられます。
池田さんが食べたいと思ったのは
エビをふんだんに使ったカレー。
しかし、店のセンスが珍妙で、
客層は男性オンリー、相席という状況。
引っ込み思案な池田さんがカレーを
満喫するのは難しい環境です。
気を取り直しますが、どうにも
エビを忘れられないところで、
スーパー帰りの親子を目撃し、
池田さんは自作を思いつきます。
カレーの食材を存分に揃えて、
お目当てのエビ探しに向かいます。
よりどりみどり選び放題の中で、
池田さんは伊勢エビを丸ごと使い、
カレーを作ろうと決めます。
迫力の伊勢エビカレーに池田さんは、
自分のエビ熱が完全燃焼するほどの
満足感を味わうのでした。
ごほうびごはんの読んでみた感想・評価
こんなグルメ漫画を待っていました。
食べるのが好きな私は、様々な
料理に関する漫画を読みましたが、
一流の仕事の結果絶品に描かれている
各種のお料理も、実際は食べられない、
我慢するしかないことが多かったです。
まず、高級志向のグルメ漫画の場合、
費用の壁が当然出てきますし、
頑張って働いたとしても、
地域限定の特産品だったりして、
なかなか現地に到着できない、
旅行しても既に終わっていたりと、
あらゆる料理漫画が全盛な中で、
食欲だけを持て余すことが、
少なくなかったように思います。
しかし本作では、どこにでもある料理を
池田さんが冴えた形で再現するため、
食べそびれることがありません。
しかも外で見たお店や料理から
着想を得ることも多いわけで、
手作りが苦手でも外食で満足を
得ることもできるよという流れ。
万人に優しいそのスタンスは
まさしく「本当に食べられる」
ごほうびご飯であり、
働いている身としては、
本当に嬉しさを感じましたね。
きつい残業やテストなど、
自分にご褒美をあげたくなる
イベントは意外と多いもの。
声高にはアピールしにくいですが、
ハードな状況を乗り切ったならば、
本作に載っている料理を食べて、
また今後への圧力を養い、
頑張ってやっていきたいものです。
池田さんたち登場人物も可愛く、
また性格的にも好感が持て、
読みにくくなることがありませんでした。
ごほうびごはんはこんな方におすすめな作品!必見
自分へのご褒美、といった理由で、
ちょっとした贅沢を楽しむのは
今後のやる気にもつながります。
ただ、いくらご褒美とは言え
物を自分に対して「プレゼント」すると、
後々邪魔になってしまうことがありますね。
しかしお食事なら後の負担にもならず、
満足感と充実感を楽しめます。
その意味で本作のテーマは大当たりです。
しかも、作中ではおいしそうなお料理を
自分で作るというのが中心であり、
手間をかけた分おいしさもひとしおな
充実感が、料理のおいしさ描写の
「説得力」として機能していますね。
実際、確かに自分で作った方が、
色々と楽しめるかなと思いつつ、
料理スキルや労力の関係から、
ついつい外食や出前で済ませて、
手をかけるのは難しかったりします。
しかし本作であれば、料理を作る
手間や苦労を楽しく共有しつつ、
実食というゴールに行きつくため、
実際の苦労を省いておいしさだけを
抜粋して味わうことができます。
料理が苦手な人にとって嬉しい
料理漫画だとも言えるでしょう。
一方、池田さんは外食も、
屈託なく満喫するタイプですので、
家で食べない人にも優しい雰囲気です。
高級だったり気をてらったりする
肩の凝る料理は出てきませんが、
「普通の」料理を最大限に活かす
その手腕は非常に特色があり、
次に食べる料理を選ぶ参考に
なってくれそうな
読者に寄り添う作品とも言えますね。