タイトル | 青龍<ブルードラゴン> |
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原作・漫画 | 木内一雅 |
出版社 | 講談社 |
友を救うために上官を撃ち、
軍を抜けた元ヤクザ龍兵。
彼の背中には名前通りの刺青があり、
そして恐るべき潜在能力があった。
確かな歴史的な知識を背景に
ファンタジー色強めの迫力バトルが
展開されていくアクション作品です。
青龍<ブルードラゴン>のあらすじ紹介
背中に龍の彫り物を入れた
度胸と腕っ節があるヤクザ、龍兵。
しかし召集令状により
兵隊になることになった彼は、
親しくなった業者の王さんが
濡れ衣により処刑されるのを
実力で妨げるべく
上官を射殺し、逃亡を始めます。
そしてそのまま
「虎丹遊撃隊」に
参加する形になった龍兵ですが、
遊撃隊のリーダーから
処刑されかけてしまったり、
襲撃先で日本軍と鉢合わせたりと、
ハードな状況が続いていきます。
しかし、龍兵は、
難敵との戦いの中で、
自分でも知らなかったパワーが、
どんどんと目覚めていくのでした。
青龍<ブルードラゴン>のネタバレと今後の展開は?
昭和五年、合気柔術の使い手であり、
現役のヤクザでもある龍兵は、
突然、召集令状を受けることに。
もちろん、ヤクザと言えども
拒否するという選択肢はなく
兵隊暮らしを始める龍兵でしたが、
持ち前の明るさと射撃の腕で
隊内でも評判になっていきます。
しかし、そんなある日、
軍の出入り業者をしている
友人の王さんが汚職の容疑で
軍法会議にかけられることに。
しかし、それは完全な冤罪で、
元々軍内部にあった腐敗を
なすりつけようというものでした。
そのことを知った龍兵は、
まさに処刑されるという瞬間に、
自らの上官を射撃し、
現場から逃走しますが、
土地勘も何もない状況では
無事に逃げおおせるはずもなく、
ほどなくあっさりと行き倒れ、
そこを盗賊に囚われてしまいます。
武器も何もなく絶望的な状況ですが、
そんな彼の前に「虎丹遊撃隊」を名乗る
男たちが現れます。
遊撃隊の男は事情を知ると、
龍兵を仲間にしてやると牢を開け、
そのままアジトへと案内します。
いっそのこと遊撃隊として働くと
決意を固める龍兵でしたが、
そんな彼の思いとは裏腹に、
リーダーからは処刑命令が
下されてしまうのでした。
青龍<ブルードラゴン>の読んでみた感想・評価
スカっとできる一作に会えましたね。
物心ついた頃から龍の刺青を背負った
若いオチャラケヤクザな龍兵が、
濡れ衣を着せられて処刑寸前になり、
そこから馬賊になって大活躍という
まず物語の全体像からして痛快ですし、
龍兵自身の性格も、情と男気があり、
甘さはないものの筋が通っていて、
いかにもパワー系主人公として
理想に近い熱さと強さを持っています。
また、彼を取り巻く馬賊たちも、
現代社会的な規範からはほど遠いものの、
独自の正義とルールを持っており、
場合によっては「悪」であっても、
あるいは「非道」でも構わないという、
強烈な美意識が、読者としては痺れます。
迫力全開のアクションとバトル、
「悪」ではあっても卑しくはない
男たちのスタンス、
そして、アウトローであるが故の
強烈な絆等々……、本作は
男を熱くする要素がまさに満載、
しかも単に娯楽的なだけではなくて、
歴史に関しての深い知識等もあり、
良質な映画を観ている気になれます。
物語の中盤から出てくる
巨大鳥たちとの戦いも、
似たようなゲームとはまた違う
絶望感が漂うものでもあり、
全体的に、完全に大人な
エンタメ作品という感じでしたね。
青龍<ブルードラゴン>はこんな方におすすめな作品!必見
ある程度の年齢に達した大人が戦うなら、
単に喧嘩が強い、技が切れるだけでなく、
そこには「動機」や「美学」が必要です。
特に創作の世界であれば、容赦なく敵と
衝突さぜるを得ない以上、なおさら、
バトル以外の人間性が問われます。
その点本作では、龍の立派な刺青をした
喧嘩も銃も強いがとにかく陽気な好漢が、
冤罪を受け馬賊になるという物語で、
時代的にも理由に破綻した部分がなく、
自然に作中世界に入ることができました。
また、第二次世界大戦前夜の中国大陸、
微妙な国際情勢や馬賊の現実等々の
難しいテーマを扱いながらも
まったく説教臭くはなっておらず、
その上で深い知識が各所に見え、
歴史好きも唸る仕上がりが
見事に実現しています。
何しろ、バリバリ本格中国語の会話が
頻出するという徹底ぶりですから、
多くの「中華風物語」とは、
明らかに肌触りからして違いますし、
満州国建国前夜の、日本からすれば
題材にしにくい分野に取り組む
果敢さも評価できますが、
何より特筆すべきは、主人公である
龍兵の良い意味での軽さでしょう。
敵からはもちろん味方からも
しょっちゅう命を狙われ、
危険な任務を任されている一方で、
龍兵のナンパな与太者を絵に描いた
おちゃらけ気質は極めて異質で、
それだけに清涼剤の役目を主人公が
自ら果たしていくという、
他作品では見られない雰囲気が
保たれているんですね。
アクションシーンも魅力十分で、
香港アクション映画のような痛快さが
楽しめる一作とも言えます。