タイトル | 上京アフロ田中 |
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原作・漫画 | のりつけ雅春 |
出版社 | 小学館 |
アフロ田中、ついに本格上京。
何となく「会社の事情」から、
別会社に移籍した上で東京に
行くことになった田中は、
そこで新たな仲間を得て、
相変わらずの大暴れをしていく。
熱く笑えるダメさが大人気の
アフロ田中シリーズも第三作、
今までよりも大人になった田中君が
相変わらずのハードな日常を送る、
爆笑必至の注目作です。
上京アフロ田中のあらすじ紹介
実家で暮らしながら、ドライバーとして
給料を得ていた田中君。
上京的な話を社長に相談しても、
実家にいた方が親孝行だと
一蹴されてしまいますが、
その時かかってきた電話により、
社長の態度が理不尽に一変、
上京し別会社で働くことになります。
新たな勤務先での同僚たちは、
当然田中君の知り合いではなく、
地元の友人とも疎遠になりますが、
遊び好きで酒好きでもある
タフな鈴木さんや西田さん、
普段は大人しいものの、
柔道九州チャンピオンの経歴があり
底知れぬ潜在能力を持つ高橋君など、
一癖あるものの面白い人材揃いで、
田中君は充実した生活を送りますが、
一方で自分の生活空間が欲しい田中君は、
寮の真裏に部屋を借りたりして
相変わらずの自由人でもありました。
上京アフロ田中のネタバレと今後の展開は?
テレビでアメリカの洪水の報道があり、
川は怖いなと思っていた田中君。
しかし先輩たちに、川遊びに行こうと
誘われたために、参加することに。
しかし河川敷に着いたところで、
既に飲んでいた鈴木さんと西田さんは
酔い潰れてしまったため、
田中君は高橋君と二人きりで
イベントを進めることになります。
舟遊びにも徐々に慣れる田中君ですが、
結構一緒に仕事をしてきたのに、
高橋君との距離を感じていました。
しかし早くに日が暮れ、
身動きが取りにくくなる中、
いきなりの豪雨が発生。
携帯は使用不能になり、
焚き火も消え川も増水するなど、
二人は大ピンチに陥ってしまいます。
やむなくテントにこもりますが、
防水シートを貼っても防げない豪雨と、
声すらかき消すほどの水音に、
危機感を覚えた田中君たちは
高台に逃げることを決意します。
しかし、豪雨の夜、テントを担いで
移動するのは簡単なことではなく、
田中君は大苦戦しますが、
高橋君の強烈に熱い態度と
掛け声に支えられる形で、
どんどん足を前に進めていくのでした。
上京アフロ田中の読んでみた感想・評価
ドライバーとして真面目に働き、
すっかり社会人生活が
板についてきた田中君。
しかし、社会人は働きますが、
だからといって全員が
「普通」じゃないという現実を、
勤務先の社長自ら率先して
示してしまうというハードさは
本作ならではの無軌道感です。
また、体よく仕事から外され
東京に向かった田中君も、
慣れない作業にめげるどころか、
自分の時間が欲しい的な
かなり雑な理由から、
寮の真裏で一人暮らしを始めます。
一見地味な行動ですが、給料や
貯金のことを考えると絶対に
できそうもない話であり、
不意打ち的に爆笑してしまいました。
また、上京した先でも、
クセの強い面々が待っており、
一見大人しそうな高橋君が、
柔道の九州王者だったり、
色々と悪い想像をこじらせた
今井さんがいたりと、
とにかく人材豊富で笑えます。
勢いで川に行った田中君と高橋君が
秘境でも何でもないところで、
命懸けの経験をするハメになったりと、
新シリーズのキャラたちは、
田中君との絡みも強力なものがあり、
普段真面目に仕事していることを
読んでいてたまに忘れてしまうほど
熱く楽しい事態が連発します。
しかし、昔からの友達とは、
またちょっと距離感が違って、
良い意味で「大人の付き合い」的な
部分があるのもいいですね。
上京アフロ田中はこんな方におすすめな作品!必見
本気の「仕事」と「バイト」の境界は
非常に曖昧なものですが、しかし、
確実に「ある」ものではあります。
たとえフルタイムで働いても気持ち的に
遊び半分ということも有り得ますし、
逆にたまの仕事に全力という話も、
とても良く聞く話ではあります。
本シリーズでは、田中くんが、
成り行き的に本気の上京をすることで、
何となく社会人として大人になる、
良く知らない人とも(無茶しながら)
うまくやり、社長のヤバい指示にも
とりあえず従う、的な「大人」で、
しかもヤンチャで元気な感じも
忘れずに進んでいく彼の成長が
描かれたお話という感じです。
今まで常に作品を彩ってきた
地元の友達が本筋に絡まないため、
少し寂しい感じはありますが、
一般的な若者のリアルな
環境の変化を完璧に描くという
部分において、本作は希少です。
多くの作品では、昔からのキャラ、
すなわち友達や家族を、
身近に置きたくなるものですが、
本作はそうした容赦は一切なく、
色々と余裕がない「現実」を
前面に押し出しています。
もっとも、「大人」とは言え、
田中君のハチャメチャさは
完全に健在。
何故か寮の裏でお金を出し
一人暮らしを始めるような
豪快ライフを楽しみたい方には、
ぴったりなシリーズと言えるでしょう。