タイトル | 契約婚~目が覚めたら結婚してました~ |
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原作・漫画 | 日向柚希 ほり恵利織 |
出版社 | 双葉社 |
目が覚めたら見知らぬ家で
男性と一緒。しかも婚姻届には
彼の自分の名前が……。
泥酔と婚姻届が呼び込む縁!?
真面目な要素しかないのに
たった一度の泥酔が思わぬ
展開を呼ぶ、
ハイテンポコメディ的な
ドタバタが冒頭から面白い、
新感覚の恋愛物語です。
契約婚~目が覚めたら結婚してました~のあらすじ紹介
アラサーの咲穂は、近頃彼氏と別れ、
友達の結婚や出産の知らせに、
取り残されたような気になっていました。
学生時代からの親友で、
彼氏いない同士として良く会っては
お酒を飲んでいた容子からも、
結婚するという話を聞いてしまい、
行きつけのバーで泥酔。
しかし目覚めてみるとそこは
自宅ではなく見知らぬ男性の家で、
しかも咲穂はその男性との、
婚姻届にまでサインをしてしまい、
しかもその由貴という男性は、
知り合いでもない咲穂との結婚に
超前向きであり、記入がなされた
婚姻届をいきなり役所に
提出するというほどでした。
そこで咲穂は昨夜飲んだバーに
事情を聞きにいくも再び泥酔し、
また由貴の世話になってしまいます。
契約婚~目が覚めたら結婚してました~のネタバレと今後の展開は?
最近友達が出産したりという
話が多くなり、取り残されたような
意識を持ちつつある、
アラサーの茅原 咲穂。
最近は彼氏いない同士である
親友の川崎 容子と
朝まで飲み騒ぐこともありおましたが、
ある日容子からお見合いパーティで
知り合った男性と結婚することを
伝えられます。
結婚の証人のみならず、咲穂の
婚姻届まで持ってきてくれた容子に
祝福の言葉を述べる咲穂ですが、
少なからず寂しさを感じていました。
そこで常連のバーに寄りましたが、
以後の記憶が飛んでいて、
目が覚めたら、男性と部屋にいました。
しかもその男性は、咲穂と結婚する、
とまで宣言し出し、婚姻届を出します。
その書類には何と咲穂の署名があり、
しかも筆跡からして本人です。
実は咲穂は容子とも飲んでいたために、
行きつけのバーで泥酔してしまい、
相手をした男性各務 由貴に、
泣いたり喋り倒したりと絡んだ挙句、
一方的に婚姻届にサインし、
由貴にも書いてとせがんだのですが、
咲穂はそのあたりの認識が全くなく、
しかも事情を聞きにいったバーでも
再び酔い潰れてしまいます。
そしてまたも由貴の部屋で目覚めた咲穂は、
二日続けての無断外泊の形になったことで
両親からの追求を受け、
ますます言い逃れしづらい状況に
追い込まれていったのでした。
契約婚~目が覚めたら結婚してました~の読んでみた感想・評価
何一つ非常識な「小道具」が
出てきたりはしないのに、
ムチャな展開が思わぬ笑いを
強烈に誘ってくる作品です。
第一のポイントは何と言っても
ヒロインの咲穂さんです。
いくら友達が結婚するので
寂しいといっても、実質的に
ほぼ初対面の相手に、
結婚してと迫り
持っていた婚姻届に
サインまでしてしまうのですから、
悪酔いと言っても規格外です。
そしてそんなムチャをしてくる女性を
常識的に避けたりすることなく、
どんどんと結婚計画を進めていく
由貴さんも相当心が太いというか、
動じないタイプの人です。
冒頭の場面は、
初対面でドキドキというような
シーンだったりもするのですが、
後から読み返してみると、
ときめきや不安感よりも
笑いが全面に来る感じです。
とは言え泥酔のために人生ピンチな
状況を味わってもまたすぐに
酔い潰れてしまう咲穂さんですが、
実際はとてもいい人です。
内面的な話に限らず、
きっちり仕事をして
親とも交際の話ができるといった、
社会人としていい感じの
常識が備わっているだけに、
この失敗が強烈に映ります。
こういった要素のため、
一見「普通」の
巻き込まれ恋愛ものながらも、
どこか明るくトボけた味が
全体に感じられて、
楽しく読むことができました。
また、何はなくとも
契約書には気を付けようと
思いを新たにもしましたね。
契約婚~目が覚めたら結婚してました~はこんな方におすすめな作品!必見
家にいたらいきなり美少女やイケメンが
押しかけてきたりする、というのが、
「落ちもの」というジャンルで、
理想の相手が急に来てくれるからか、
最近ではかなり人気です。
しかし、現実問題としては、
いきなり生活圏に入ってきたりすると、
相当精神的にキツくなる上に、
相手にはムチャを通すだけの
何らかの根拠があり、
押しかけられた側が苦しくなります。
「落ちもの」の破天荒さと
現実のリアル感が面白い形で
融合していくのが本作、
目が覚めたらサインしてしまった
契約書に縛られる人生となると、
まるで傑作戦争もの
「エリア88」の世界ですが、
実際入隊届でなくても、
うっかり署名すると
人生が大変になる書類は
結構あるもので、
婚姻届はその最たるもの、
バンバンテンポ良く進んでいく
コメディタッチの勢いがあり、
男女問わず楽しく読める良作ですが、
一方で「契約」の怖さが
身に染みて分かるという部分で、
非常に現代的な教訓を秘めた
一作でもあるように感じます。
「合理的な落ちもの」という
希少なジャンルを楽しみたいなら
本作は非常に優れています。