タイトル | プライスレス家族 |
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原作・漫画 | 桜沢鈴 |
出版社 | ぶんか社 |
学校ではセレブ的なのでは、
という感じで一目置かれている
綾小路 かぐや。
しかし実際は超ビンボーで、
色々なことを経験しながらも、
父母や弟と一緒に
河原で暮らしていました。
お金が全面に出てくる、
面白コメディ系作品です。
プライスレス家族のあらすじ紹介
学校ではセレブオーラ全開で
人を寄せ付けない綾小路 かぐやですが、
実は家は超ビンボーでした。
和やかでひょうひょうとしているものの
外でまったく働く気がない父、連治と、
一家を支えつつ
のほほんとしている母、令子、
ヤンキーで態度も荒っぽいものの、
実は家族思いな弟、仙太と一緒に、
色々ありながらも
河原で明るく暮らしています。
しかし、かぐやの目標は
あくまでもセレブであり、
そこに至る道は
果てしなく険しそうですが、
果たして彼女は自分を隠しつつ、
セレブになることができるのでしょうか……
プライスレス家族のネタバレと今後の展開は?
実際には超貧乏ながら、
学校ではお上品なセレブとしての
自分を演出している綾小路 かぐや。
中学校の頃の彼女を知る
幼馴染の柴田君などの
懸案事項はありながらも、
うまく自分を演出できていました。
外でろくに働きもしない父親と
同居しての耐乏生活も
慣れたものでしたが、
クラスで友達ができたことで、
テーマパークで遊ぼうという話が浮上。
資金調達のために印刷所で
ハードなバイトを経験し、
クラスメイトでもある岩木さんとも
知り合うことになりました。
しかし、苦労して稼いだ初給料で行った
テーマパークでのことがきっかけで
(自業自得気味ではあるとは言え)、
かぐやは仲間外れや
いじめに遭うようになってしまいます。
それでもめげずに
楽しく高校生活を送っていた
かぐやでしたが、
ある夜帰ってくると
有無を言わさず引越しということに
なってしまいます。
夜逃げ、とも思いましたがそうではなく、
実は父親が超セレブな立場から
逃げ回っていただけと言うことが
明らかになりました。
しかし完全に身柄を押さえられた以上、
もはや家業に精を出すしかないということで
人の上に立つことになり、かぐやは
スーパーレベルのご令嬢ということに
なってしまったのです。
プライスレス家族の読んでみた感想・評価
良い意味で驚かされました。
タイトルと登場人物紹介、
そして序盤の展開だけをみると
優れてはいるものの
良くある形の「ビンボーもの」
といった感じなのですが、
いい具合に勘違いされていたかぐやが、
友達とテーマパークに
行ったことがきっかけで嫌われ、
いじめの対象になるなど、
展開の落差が強烈でした。
生まれて初めてのバイトを通じて
岩木さんとの友情が芽生えた後だけに、
なおさら精神的に来るものがありました。
かと思うと、実は超セレブの一族で、
かぐやが憧れるアイコが
叔母さんだということを知らされ
金持ち生活に激変するのですから、
まさに息をつく暇もない
という感じでした。
また、昔からかぐやを良く知り、
姿を消してしまった時は
心底から心配してくれた柴田君が、
かぐやの正体を知るなり
悪心を持って近付くようになるなど、
人の心の闇にも踏み込んでいたりと、
とにかくキャラの作り込みも
充実しています。
本来であれば作品の
ブレ幅が大きくなり過ぎて
収拾がつかなくなるところですが、
かぐやをはじめとする
登場人物がしっかりしているので
まとまりが失われていないところも
凄さを感じましたね。
タイトルや序盤の展開と
ラストがここまで違う作品は珍しいですが、
その中でもどこかほっとできる感じなのは、
貧乏暮らしにもめげなかった
綾小路家の面々の
ほのぼのした雰囲気によるところが
多いように感じますが、いずれにせよ、
ここまで意外性と充実感に富む作品も
少ないのではないかと思いました。
プライスレス家族はこんな方におすすめな作品!必見
誰にでもついて回るのが経済ですので、
お金持ち、あるいは困窮をテーマにした
作品は少なくありません。
優れたものももちろん多いのですが、
どうしてもお金を軸にする関係上、
物語のパターンが
限られてしまうという
弱点がありました。
しかし本作は
「ビンボーものコメディ」と
思わせておいて
主人公の境遇や周りからの
評価が激変したりするので、
先の展開が読めない特徴があり、
同じ種類の作品を読みこなしてきた人にも
安心しておススメすることができます。
また、基本となる日常パートを
かなり丁寧にこなしており、
各登場人物の性格付けにも
必然性があるため、
相当派手な物語展開にも関わらず
キャラに無理が生じず
安心感があります。
また、内容が非常に濃密な一方で
単巻になっておりますので、
値段的にも情報量的にも
非常にリーズナブルで、
読み始めてすぐに満足したいという方にも
向いている作品と言えるでしょう。
意外性とハードさがある展開に
負けないだけの
基礎力を持った作品だけに、
類似のシチュエーションでは
ダメだったという方でも
楽しめる可能性は
大いにあると言えます。